MIDIハード音源が最大16パートな理由の巻

昨日のエントリーで「Rolandは一時期32パート音源を出していたのに、なぜかやめてしまった」と書きました。この書き方に自分で疑問を抱いたので、ちょっと考えてみました。

MIDI規格はケーブル1本あたり16チャンネルまでしか、サポートしていません。音源やシーケンサが、それ以上のパート数を持っていても、1本のMIDIケーブルでは鳴らしきれないのです。SMFも16チャンネルまでしか、サポートしません。なので、これ以上のチャンネル数を持ったMIDIデータを、互換性を保った形で流通させることは不可能です。つまり、MIDIの仕様上の制約で、ハード音源は16パートまでにしておくのが、最も都合がいいのです。さらに言えば、実際に音源を鳴らすときに、16パート以上を制御必要な場面は、フルオケでもシミュレーションしない限り、めったにないことだと思われます。つまり16パート以上あっても、使えない&使わない。
このような経緯で、16パート以上の音源は廃れてしまった、と見ることができます。「性能に余裕があるから突っ込んでおこう」という、日本的なオーバースペック機能だったのです。

ローランドがソニックセルで32パートをやめた理由は、それまでのDTM用音源用の設計を用いずに、Fantomの設計を流用したことによります。1パッチに複数のトーンを有する構成です。このタイプの音源は、スプリット機能を使うことで1パッチで2パート以上の働きを持たせることが可能なため、パート数を16以上に増やす意義が事実上なくなった、といえます。この件について、ローランドがアピールしてるのかどうか調べてみましたが、よくわかりませんでした。SC/SDシリーズはこのような設計ではなく、パッチ内のトーン波形構成に手を加えることはできませんので、ソニックセルの特異性が際立ちます。

そんなわけで、Soniccellの可能性がすごいので、SC-55mkIIで苦心惨憺してコピーしたJAPANのVisions of Chinaを移植しようと考えてます。Blue of Noonが想定外に容易に移植できてしまったので、もっと高いハードルに挑戦したくなりました。Visions of ChinaはSC-88への移植をやりかけて断念しているので、リベンジしてやろうと思ってます。