KAWAI CA95をじっくり弾いてみたの巻

http://d.hatena.ne.jp/Harnoncourt/20100515
http://d.hatena.ne.jp/Harnoncourt/20100523
2年半ほど前にレビューしたCA93の後継機です。
相変わらずの木製鍵盤ですが、CA93比で支点距離をぐっと延長してグランドピアノに匹敵する長さにすることで、鍵盤の奥の部分を弾いたときの反応性が抜群に向上して、非常に弾きやすくなりました。CA93では意識的に鍵盤を押し込まないと鳴らないことがあったんですが、CA95だと自重で落とし込めば自然に音が出てきます。特にピアノ〜ピアニッシモでの演奏性が格段に向上しました。あと、93/63は押し下げたときにソフトというか、ふかふか・モコモコするタッチ感があってイヤだったんですが、95/65ではこれも改善されています。それとこれは画期的だと思いますが、離鍵の速度を検出して、音の消え方を制御できます。カワイに限りませんが、最近のデジピはこれが可能になりました。すごくうれしいです。
試弾でびっくりするくらい月光ソナタ第一楽章がうまく弾けてしまって、いつもグランドピアノでこのレベルで弾けたらいいのにな〜、と地団駄を踏むくらい弾きやすかったです。自分の演奏技術が向上したと思いたいところですが、CA95のおかげという気がしてならない。しかし、試弾でプロコのソナタ8番の冒頭とかを弾くと、「このひとあたまおかしい」みたいな目で見られて、気持ちいいですね(笑)。

今回は、新宿のビックロで試弾しました。この店はビックカメラにしては珍しくデジタルピアノに力を入れていて、ヤマハやローランドを含め機種も豊富で、商品知識&クラシックピアノ経験のある店員さんもいますので、いろいろ比較できます。ローランドは打鍵がガタガタするのがダメでした。あれはイカン。

それで、本気でCA95の購入を考え始めたので、MIDI機能などをよく調べてみました。(PDFマニュアルはこちら
その結果、このデジピは16パートのマルチティンバー音源として使えることがわかりました。なお同時発音数は256音です。ピアノの鍵盤数は88鍵。意味ねえじゃん、とか思ってたんですが、マルチティンバー使用を考えるとこのくらいの同時発音数は必要ですよねー。ただGMに対応していないし、ドラムセットもないので汎用性低いです。ちなみにRolandのデジピには未だにGS/GMマークがついてます。泣かせる!
離鍵速度検出と合わせてノートオフ・ベロシティの送受信が可能なので、完璧に演奏を再現するにはこの機能に対応したMIDIシーケンスソフトが必要です。Dominoは対応していないので、どうしたものかと悩み中。
あと、ペダルはCC64(ダンパー)、CC67(ウナコルダ)、つまり通常のソフト音源ピアノと同じなので、0〜127の128段階で制御できるはずですが、音源側が何段階まで対応するのか不明。←このあたりを技術部門の人に確認したい。
ほかにも、タッチレスポンスのカーブをユーザーが設定できる機能があるんですが、これで設定した結果がMIDI出力に反映されるのか知りたいです。この機能があると、外部音源のレスポンスに合わせてタッチをセットでき、非常に有用性が高いです。いま持っているデジピにはこの機能があって、MIDI出力と内蔵音源に対して別々のタッチレスポンスを設定することが可能です。実はこの機能こそが自分がデジピを選択するときの必須機能として、常に念頭に置いているものです。

音質だけを考えると、ソフト音源の方がクオリティは上だと思います。ただ、音源のクオリティが良くても、よい演奏ができるわけではありません。よく、ピアノ音に安価な音源を使ったものはダメとか言われますが、ダメなのは音源じゃなくておぬしの演奏じゃ、と言いたくなるケースがほとんどです(笑)。つまり音源の質と演奏の質はまったく別問題。素人では演奏レベルが圧倒的に足りないことが多くて(打ち込みではどうしても無理がある)、よい音源を使うほどその悪さが逆に目立ってしまうと思います。
電子ピアノの場合は、鍵盤とセットの商品というのがポイントです。たとえば弾き心地は、鍵盤のつくりだけでなく音源の反応もかなり影響していて、強く弾いても大きな音が出ないと鍵盤が重く感じます。こういった部分の調整が各社によって個性があって、それが電子ピアノの弾き心地を作り出していると思います。

きょうは久々に新宿に行ったので、イシバシ楽器KORG KRONOSをガッツリと試弾してきたけど、鍵盤はともかくシンセとしてはすごくいいですね。MOD-7は鍵盤の反応性までしっかりDXをシミュレートしきっていて懐かしすぎて泣けるし、ポリフォニックで弾けるMS-20はとにかく笑えます。MS-20はソフト音源を入手していてさんざん遊んでいるんですけど、いざハード音源で弾くと面白おかしさが際立ちます。ちなみにINTEGRA-7は実機置いてありませんでした。まだ見たことないです。幻のシンセですか。