「碧水晶」や「虚空の邂逅」がこんなに難しいの巻

まず、この2つの演奏。記憶を頼りに弾いた右側の演奏のひどさを体感ください。これはもう、抹消したい気分です(涙)
 
http://www.youtube.com/watch?v=OHzJr-XVHRc                 http://www.youtube.com/watch?v=ZtHVJo24O30

右側の演奏は、わたしの悪いところ(抑制ができずガツガツ弾く)が、よく表れていると思います。いくらなんでもひどすぎます。これを左側のレベルにまで、強引に引き上げましたw
というわけで、この曲については、やたらと「難しい曲」ということを連発していたんですが、どのあたりがどう難しいか、説明いたします。

冒頭の部分です。この「レードレードレードレドレミ」が、2分間で4回も出てきます。4回をそれぞれ違うニュアンスで弾かなければならないのが、難しいポイントその1です。
花言葉のとおりに「秘めた想い」というイメージで始まって、少しずつ感情が高まり、4回目で堰を切ったようにあふれ出す、という流れになっています。あと、冒頭の「ソ」がすごく大事。この1音を意識的にたっぷりと弾いてます。自分はこういうアウフタクトドミナントを、しっかり溜めて弾きたいし、そういう演奏をするピアニストが好きです。クラシックの曲では、ショパンの「別れの曲」が同じような1音から始まるんですけど、自分は鍵盤を弾いて、音の響きを感じ取ってから、メロディを弾きだすようにしています。
当初は、オーケストラが入る前に堰を切ってあふれ出してしまって、セーブするのが大変でした(笑)。

次に、動画の0分48秒からのフレーズです。この部分はちょっと大変です。
青い線の部分は、旋律が高音に移った瞬間に弱音にしなくてはいけないんですが、そのときにペダルの踏みかえを失敗すると、音楽的につながらない(途切れてしまう)ので、慎重にペダルを上げています。
次に赤い三連符。このフレーズが、ものすごく好きなんです。だから大事に弾きたくて「sentimento」(感傷的に)という指示を書いています。次の緑の和音は、左手が弾きにくいです。
こういう、難しいことが連続して発生する場面で、弾きにくさを感じさせずに、表現したいことをしっかりと伝えるための手段が、演奏技術というものだと思います。

上記以外もいろいろ考えて弾いていますが、こういうことを考えないで、その場の勢いだけで弾いた右側の演奏との差を感じ取っていただければ幸いです。その場の勢いで弾いた演奏の方が良かったりすることが、往々にしてありますけど(汗)、今回は後で弾いた方が勝ったと思ってます。

あと、オマケで弾いた「眠れる想い」のエレピですが、音が左右にフラフラ飛び交うエフェクトを使っていて、何回もリピートして聴いていると、軽い乗り物酔い状態になりますwww