フィリップ・ジャルスキー&ヴェニス・バロック・オーケストラ

東京オペラシティ 武満メモリアル
先週の金曜に行った演奏会です。

「伝説のライバル ファリネッリ&ポルポラ VS カレスティーニ&ヘンデル」と銘打ったプログラム。
コメ印はオケのみのインスト曲です。

  • 第一部
    • ポルポラ:歌劇『ジェルマーニコ』序曲 *
    • ポルポラ:歌劇『アリアンナとテーゼオ』より「天をご覧なさい」 
    • ポルポラ:歌劇『身分の知れたセミラーミデ』より「これほど憐れみ深く貴方の唇が」 
    • ヘンデル:《12の合奏協奏曲》第4番 op.6-4 HWV322 * 
    • ヘンデル:歌劇『アルチーナ』より「甘い情愛がわたしを誘う」 
    • ヘンデル:歌劇『アルチーナ』より「いるのはヒルカニアの」 
  • 第二部
    • ヘンデル:歌劇『オレステ』より「凄まじい嵐にかき乱されながらも」
    • ヘンデル:歌劇『アリオダンテ』より「戯れるがよい、不実な女め」 
    • ヘンデル:《12の合奏協奏曲》第1番 op.6-1 HWV319 * 
    • ポルポラ:歌劇『ポリフェーモ』より「いと高きジョーヴェさま」 
    • ポルポラ:歌劇『ポリフェーモ』より「愛しの人を待つあいだ」 
  • アンコール

全然知らないカウンターテナーの人ですが、連れが行きたいというので行ってみたら、ほとんど満席の大人気公演。
幸せめな曲が多い中で、自分が心を打たれたのは、ダークな感情がほとばしった「戯れるがよい、不実な女め」でした。戯れといえばスケルツォですが、「このビッチめ、戯れろ!」と命令形で怨みつらみが歌われます。スケルツォって冗談じゃなかったの?なんだか、ショパンスケルツォ(冗談に聞こえない曲)は、このあたりの感性かもしれないなと思いました。
声質的にアンコールは「私を泣かせてください」じゃないかなと思ったら、そのとおりでした。それで、隣りに座っていた女性が大泣きしていました。本当に泣かせてしまうとはすごいなあと思いましたが、そのくらいの素晴らしい歌唱でした。ピアニッシモの表現がとても繊細。器楽も同じですけど、弱音の表現力って重要なんだなと、しみじみ感じました。

全体にわたって、オケと歌手のアンサンブルの一体感が見事な演奏会でした。リュートを含んだ古楽オケで、リュートを初めて生で聴きましたが、いい音ですね〜。