ロジェ・ムラロ ピアノリサイタル on NHKクラシック倶楽部の巻

ラヴェルの作品による演奏会の模様です。ものすごく変なショパンを弾く、まともなラヴェル弾きピアニストという認識でいたのですが、番組冒頭のインタビューで理由がわかりました。
インタビュー内容は、ラヴェルの音楽に関するウンチクです。

    • いちいち「おっしゃるとおりでございます。そのとおりでございます」と言いたくなりました。すばらしい。以下列挙。
    • 音楽の作りが非常に古典的。形式を重視している。
    • 古典的とは、言葉のようなニュアンスで書かれているということ。この部分をかっちりと表現するのが重要。
    • ラヴェルの心の奥の様子が描かれる。
      • 表面的な感情を描いた音楽ではないのです。
    • 演奏においては、もちろん技術的な難しさもあるが、以上のような要因を念頭に置くべきである。
    • つまり、ショパンドビュッシーのように、自分の感情をこめて表現してはいけない。

ショパンだってラヴェルのように弾くべきだと思うんですけど、この人はショパンには私情をこめまくりということで、あんな演奏になったんですね。わかります。本当にありがとうございました。
放映された曲目は、ハイドンの名によるメヌエットクープラン追悼曲、夜のガスパールでした。上記のようなことを細部まで心がけた演奏が悪いわけがないのです。ハイドンメヌエットの最初のフレーズ「シ〜ラ」と、それに呼応する左手のアーティキュレーションや音色が絶妙に素晴らしく、開始2秒で早々にノックアウトされました。

動いている本人を見たのは初めてなんですけど、身長がデカい、手がデカい、指がめちゃくちゃ長い、ガタイがいい、フェロモン過剰超イケメンなオッサンでした。足が長すぎて鍵盤の下に収まらないみたいですw
あと、手を丸めた垂直打鍵をしていたのが印象的。指を伸ばすと、鍵盤のふたにぶつかってしまうのだと思います。垂直打鍵なのにとても繊細なタッチで、多彩な音色を奏でていました。グリッサンドも、きちんとコントロールして音色を作り出すのね。すごいわ〜。