Pianoteq 5 を試してみたの巻

物理モデルのピアノ音源ソフトです。アマチュアの人がUPしている動画を見ていたら、非常によさげに思えたので試してみました。
https://www.pianoteq.com/try
ここから試用版をダウンロードして使えます。今日は時間がなかったので、D4(スタインウエイのシミュレーション)だけを試してみました。

いきなり「大いなる愛」とか、モーツァルトとかショパンを弾いてみるわけですが、すげえ!本物のスタインウエイだ!!(笑)

タッチに対する音色変化の反応性がホンモノそっくりです。なので本物のスタインウエイを弾いているような気分になれました。ただし、音色そのものはいまひとつ厚みが不足しているのと、金属っぽい倍音が少々耳障りです。おそらく調整で抑制することができると思われますが、ロングトーンを鳴らすといろいろ厳しい。また最高音部の1オクターブは音色があまり良くなくて、実用には少々遠い感じです。
共鳴シミュレーションがかなり良く、ペダルを踏んだときにふわっと音が広がる感覚は気持ちいいです。ただ、見境なくペダルで音を混ぜていくと前述の金属倍音が干渉して、響きが汚くなります。音響が汚くなるピアノ音源に初めて遭遇したので、けっこうカルチャーショックでした。しかしまあ、初期バージョンからよくぞまあ、ここまできたものです。

気に入ったところ

  • ベロシティ(打鍵の強弱)の段階に分けて音色を調整できるところ。
    • ベロシティ値が小中大の3段階*1でハンマーの硬さを調整できるので、極端に柔らかい音色のピアニッシモなどが容易に設定できます。
      • 丸くて柔らかい音色が好きな人にはたまらないと思う。
      • 高音域は少し倍音が出過ぎる傾向があるので*2、音域別に調整したいです(Pianoteqの最上位版で可能)
    • 中レベルの音色の設定がツボにはまると、演奏表現しやすくなります。INTEGRA-7のSN音源ピアノほどタッチにシビアでなく、弾きやすいと思いました。
    • ベロシティが小さいほど硬い音色とか、変なセッティングもできます。
  • ウナコルダ(ソフトレベル)の変化幅の調整余地が大きいこと
    • ありえないくらい大きいので、リヒテルみたいな音色が簡単に出せます。たぶんこれも気に入る人多いでしょう。

プリセットのピアノ音は、挙動が完全に生楽器で、タッチに対する反応がスムーズですし、音量も音色も127段階しっかり滑らかに変化しますので、生演奏派の人には嬉しい音源だと思います。ただ打ち込みには向かないと思いました。でも物理音源ということもあって、セッティングを変えるといくらでも変な音になっていくので(笑)、生ピアノの音色にこだわらなければシンセ的に使うこともでるのではないかと思います。

あまり試せなかったんですが、エレピも相当に優秀。たぶん最高のエレピ音源の1つと言えると思います。
ヤマハはさっさとこの会社を買収したほうがよいと思います。

このPianoteqですが、気持ちよく演奏するためには、使用する鍵盤の質や、ベロシティの調整が重要がキーポイントになります。
自分のような、アコースティックピアノで育ってきた人間が「リアルだ」と考えるピアノ音源は、波形のリアルさはどちらかというと2の次で、自分の演奏に対する音源の反応性のリアルさを重視します。その意味では、pianoteqはINTEGRA-7のSN音源(V-pianoエンジン)を上回るリアルさだと思います。INTEGRA-7はあまりにもベロシティに対してセンシティブで、演奏しづらい面があるんですが、pianoteqは気持ちよく弾けます。もちろん、pianoteqはシビアでセンシティブなセッティングもできて、これがまたスタインウエイのじゃじゃ馬っぽい感じを再現していて憎めませんw

*1:このペロシティ値が記載なし。範囲をエディットできるかも?

*2:実はこの特性こそがスタインウエイっぽいのですが。