高田馬場管弦楽団 第86回定期演奏会の巻

フランク/交響詩「呪われた狩人」
グノー/歌劇「ファウスト」よりバレエ音楽
フランク/交響曲ニ短調

今回は文京シビック大ホールでした。このホールは初めて行ったんですけど、よくある自治体の大ホールということで、音響が悪いだろうなと思っていたら違いました。とても音響が良くてびっくりしました。残響が濃厚で長いのに混濁しないという、最高の響きです。初期反射音もうまく分散しています。壁面の作りがよいのと、床材(石)が効いている感じです。あと低域が膨らむ特性があるようで、コントラバスバスクラリネットがよく響いて気持ちよかったです。
とりあえず、音量は通常のホールの3割増くらいに聞こえます。広いホールなのに、響きが拡散しないためです。開演前のざわめきも心地良いアンビエント感があって、このざわめきを録音したいなあ、とか思ってしまうほどでした。都内近郊のホールをあちこち聞いてきましたが、2000人クラスのホールでは美しい残響を聞かせる点ではオペラシティのタケミツメモリアル、厚みのあるサウンドという点では文京シビックが最高ではないかと思います。

ということで演奏内容ですが、前半2つは演奏機会がほとんどない曲で、もちろん初体験です。
「呪われた狩人」は、18世紀の詩が元になっているということで、かなり描写的な音楽でした。フランクは絶対音楽しか聞いたことがなかったので、標題音楽でわかりやすい視覚的な表現もできる人というのは意外でした。鐘の音が象徴的で怖かったです。一つ残念だったのが拍手がはやかったことで、前述のように残響がとてもよいホールなので、この響きが消えるまでは待っていただきたいと思いました。
グノーのバレエ音楽は、数曲の組曲ですが、楽曲によって音楽の密度の差が顕著なのが面白いです。たぶんパ・ド・ドゥと、群舞の楽曲が組み合わさっていると思うんですが、パ・ド・ドゥの曲と思われるものは音楽だけを聞かされても少々イメージしにくいと思いました。
最後はフランクの交響曲ですが、わたしはこれが苦手で、大変でした。最初の主題の増4度とか、しつこい半音階とか、もうフランツ・リストの亡霊が憑いてるとしか思えないんです。でも、調性の扱いはすごく先進的というか自由なところがリストと違っていて、とにかく転調につぐ転調で、すぐにあさっての調性に逃げてしまうので、追っかけるのが大変です。だから苦手なのです(笑)。オルガン的に分厚い和音が多く出てくるので、ホールの音響と相まってとてもゴージャスな演奏でした。演奏している人たちは、気持ちよかったのではないでしょうか。クレシェンドするときに音がぐっと前に出てくる表現と、ディミヌエンドで音量を落とした後に、さらに音量を絞っていく表現がとても気に入りました。
実は、先日のアンスネスマーラー室内管の演奏会では、アンスネスピアニッシモまでしっかり表現するのに、オーケストラがいまひとつ音量を絞り切れていない場面があったのが少々不満でした。わたしは神経質だからピアニッシモにこだわるのです。←あえて繊細だからとは言わない。その性格のどこが繊細じゃ!?と言われそうなので(笑)。

次回はミューザ川崎で、メインプログラムはカルミナ・ブラーナです。ミューザは行ったことがないし、カルミナも生演奏は聴いたことがないので楽しみです。