「シェ・ショパン」 24の練習曲と24のレシピ集 by の巻

ピアニスト兼料理研究家?*1の、Evelyne Brancart先生によるショパンエチュード全曲集+24曲をオマージュしたレシピ集という、世紀のトンデモ盤。2枚組みで、1枚は普通に演奏が入っているオーディオCDで、もう1枚は見た目も鮮やかな料理のレシピ集のCA-DATAです。

肝心な演奏ですが、さぞやイロモノだろうと思って身構えて聞いたら、すごい名演で、普通にショパンエチュード全曲録音としても非常に高水準だと思います。
速い曲は流れを重視、そうでない曲はカンタービレ重視するという方向性で演奏されています。op.10-2の神経質なまでの丁寧さ(右手の2パートを厳密にコントロールする)、op.25-6の丁寧なアゴーギクデュナーミク表現など、難曲ほど演奏表現の密度が高いのはさすがです。あとレガートとカンタービレ表現がめちゃくちゃうまいです。うますぎ。素晴らしい。インディアナ大学でピアノを教えていた先生だそうで、こんな人に教えてもらえる学生さんは幸せですね。ちなみにライヴレコーディングらしい。恐るべき完成度。すごい。でも、さすがにこの料理は24品をライヴでは作れないだろうw

ご本人が解説を書いていまして、それもなかなか面白いので、もし購入されたら読んでみてください。
ショパンの書法の特徴や音楽性に始まって、自分自身とショパンエチュードの関わりなどが書かれています。子供のころから50年間ショパンエチュードを弾いてきて、その間ずっとキッチンにも立っていたのよ!とか書かれていて面白いw
もちろん、レシピについてもコメントがあって、op.10はショパンが若い時期の曲だから、ちょっと軽めのビュッフェスタイルのレシピを合わせてみたの、みたいなことが書かれていて、可愛いです。

プロモーション映像がyoutubeにあります。


 (この動画に、 Brancart先生のお弟子さんを名乗る人がコメントしています)

*1:どこかで見たようなプロフィールですね。