「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気の巻

宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気
http://www.amazon.co.jp/dp/4062196743

ヤマトファン、アニメファンの間で、話題騒然となっている本です。
騒然の内容がおもしろい。「うんうん、そうだよね」「ありそうだよね」という感じで、トンデモなエピソードなのに、読んだみなさんが納得しているという(笑)

販売差し止めになりかねない、スキャンダラスな事例も入っているのですが、たぶん業界の人はほとんど知っていると思います。自分も7割くらいは聞いたことがあるネタでした。残りの3割、謎だったお金の出どころもだいたいわかりましたし、アニメ界に姿を表わす前のこと(これがすごい)、虫プロに入った時のエピソード(これもすごい)、それと会社経営に関することもわかりました。経営に関しては、虫プロ時代の情報が多く、経営の才能が皆無の手塚治虫と、経営と営業(プレゼン力)に長けた西崎の対比が面白かったです。あとは西崎さんの養子になって、制作会社を継いだ彰司氏のこと。これもいままで誰も語らなかったことです。

西崎さんの性格に関しては、サイコパスの一言で要約できると思います。
サイコパスの特徴は下記のとおりなのですが、当てはまらないものがない。全部当てはまってる!すごいよ西崎さん!!

1. 口達者/表面的な魅力
2. 過去におけるサイコパスあるいは類似の診断
3. 自己中心性/自己価値の誇大的な感覚
4. 退屈しやすさ/欲求不満耐性の低さ
5. 病的に嘘をついたり人を騙す
6. 狡猾さ/正直さの欠如
7. 良心の呵責あるいは罪悪感の欠如
8. 情緒の深みや感情の欠如
9. 無神経/共感の欠如
10. 寄生虫的な生活様式
11. 短気/行動のコントロールの欠如
12. 乱交的な性関係
13. 幼少期からの行動上の問題
14. 現実的で長期的な計画の欠如
15. 衝動性
16. 親として無責任な行動
17. 数多くの結婚・離婚歴
18. 少年時代の非行
19. 保護観察あるいは執行猶予期間の再犯の危険が高い
20. 自分の行動に対する責任を受け入れることができない
21. 多種類の犯罪行為
22. 薬物やアルコールの乱用が反社会的行動の直接の原因ではない

この本の作者は、手塚治虫と西崎はタイプは真逆だけど、どちらも黎明期のアニメ業界のパトロンであったと結論づけています。製作委員会方式が主流になった業界が、つまらない作品ばかりを生み出すのはある意味必然、みたいなニュアンスも見て取れたんですが、そうはいっても手塚さんも西崎さんも結構つまらない作品がありますし、面白さとは無関係じゃないかと自分は思います。
西崎さんがアニメ界で成功したのはヤマト第一作+さらばヤマトと、もろもろの版権ビジネス。この版権ビジネスの開拓や、ファンを中心にしたマーケティング手法を生み出したのが、西崎さんの最大の功績でしょう。

宇宙戦艦ヤマトという作品や、西崎義展という稀代のプロデューサーに少しでも興味がある人はぜひ読んでいただきたい本です。
ただし読み出したら止まりません。それだけは注意しましょう。