クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル@サントリーホールの巻

だいぶ久しぶりのツィメルマンのリサイタルです。
1曲めの変奏曲は1810年出版の楽譜集に掲載されていたもので、1975年に学術誌に報告されたそうですが、フランツ・シューベルトの作品なのか真偽は疑わしいとのこと。平易ながらピアニスティックな技巧も見られる変奏曲でした。
D959のソナタはテンポが速めで、かなり元気なジューベルト。自分(第一楽章がかなり重め)や、内田光子さんの演奏解釈とはずいぶん違います。
D960も同傾向で、第二楽章は遅めでしたが、あとはやはり活力のある演奏でした。内田さんの、半分霊魂になってるような演奏とは真逆(笑)。
アンコールは " in memory of Pierre Boulez " と言ってました。

アンコールを含め、全曲楽譜を見ながらの演奏でしたが、相変わらず精度が高かったです。
音色の使い分けが多層的になっていて、驚きました。声部によって異なるタッチを用いたり、ピアニッシモなのにきらびやかな響きを聞かせるなど、一段とピアニズムが進化したと思います。
今回はLBデルタでペダルの使い方がよく見えたので、ペダリングの秘密もだいぶわかりました。もちろん真似できるレベルではありませんが、踏み変え方や踏み込む深さの使い分けなど、繊細なペダリングは大いに参考になりました。

D959は弾いたことがあります。不遜な言い方だけど、ツィメルマンより自分の演奏のほうがしっとりした情感を重視していると思います。ジトッとしているともいえますが、また弾きたいです(笑)。
D960は弾いたことがなく、いつか弾きたいと思っているので、今年弾こうかなと思います。
どちらも長い曲なんですけど、歌曲を含めシューベルトの曲をいろいろ聴いてきて、それなりに理解が深まってきているので、改めて勉強したいなと思います。