最近、当ブログで最もアクセス数が多いのがエヴァ関係のネタです。ただそのネタも旧エヴァ(1995年のTVシリーズと、その後の旧劇場版)が主体で、新劇場版3作品のことは公開時点の感想しか書いてきませんでした。新劇場版に関しては、いまさら謎解きをするのも面倒だったので放置してました。そんなわけで、謎解きを期待してこのブログに来た方は大変落胆したことと思います。
ですが、シン・エヴァンゲリオン劇場版の公開まであと1ヶ月になって(延期されてしまいましたが!)、予告編や新しいキービジュアルやキーワードが発表されて、先々のことがある程度予想できるようになったので、シンエヴァのこととか、周辺のことを書こうと思います。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版の流れについて
現状で序破Qまで公開され、シン・エヴァンゲリオンも冒頭10分程度が公開済みです。序破Qはきれいに起・承・転という流れになっていますので、シンエヴァはちゃんと結末を迎えるのではないかと思います(期待を込めて)
起・承・転について書きますと、エヴァ序で「ここはこういう世界ですよ」という説明がシンジ(=視聴者)になされて、エヴァ破で「ほかにもこういうことがありますよ」と世界の成り立ちやキャラクターについて掘り下げた描写がなされますが、エヴァQでシンジ(視聴者)にとっては卓袱台返しを受ける、という構造です。この構造を踏まえて以下をお読みください。
新劇場版でわかっていること・わかっていないこと
・わかっている=劇中で明示されたこと
・なんとなくわかる=劇中の情報から推測できること
・わからない=上記以外の謎
ということでまとめていきます。
1.サブタイトルの件 <わかっている>
・当初のサブタイは Rebuild(再構築)という言葉が入っていた
・序破急+?に変わり、さらに序破Q+シンエヴァになった
・Qまでの英語副題は (not) つきで二面性を表現している
新劇場版の世界は、旧エヴァ後に再構築(Rebuild)された世界ではないか?という考察があちこちでなされています。
そもそもヱヴァ新劇場版は当初 Rebuild of Evangelion という英語のサブタイトルが付いていて、エヴァという作品を再構築することだと説明されていました。その上で、物語に登場する世界も再構築されているとすると、きれいにダブルミーニングになります。でもあまりにもネタバレですし、衒学的なことはもうやらないという方針があったようで、日本語表題はヱヴァンゲリヲン新劇場版:序破急+?となり、英語副題としてまず第一部は You are (not) alone. という形に落ち着きました。みなさんもおわかりのように、英語の副題が作品ごとのサブテーマを示し、(not) をつけることでエヴァという物語が内包する二面性を表しています。
2.赤い海の件 <わかっている>
・旧作と違って、新劇場版の海は赤い
・海洋生態系保存研究機構は赤い海を青く戻す研究をしている
エヴァ序のファーストカットは旧エヴァ劇場版「まごころを、君に」のラストシーンを想起させる赤い海でした。ただ、エヴァ序は先に述べたように起承転結の起なので、新劇場版の海は赤いということが視覚情報で示されるだけです。
エヴァ破では、国際環境機関法人 日本海洋生態系保存研究機構(略して海洋研)という加地さんと関わりがあるらしい組織で赤い海以前の環境を保存し、赤い海を復元する研究をやっていて、赤い海を元の青い海に戻せる可能性があることが示唆されます。さらに、月のネルフ基地を視察したゲンドウと冬月が宇宙空間から地球を見て、赤い海がセカンドインパクトの結果生まれたことが示唆されます。
赤い文字で書いたところは非常に重要です。先行公開されたシン・エヴァンゲリオン劇場版:||のアバン1において、コア化して一面真っ赤になったパリをヴィレのメンバーたちが元の状態に復元していますが、あれこそが海洋研の研究成果だと思われます。14年前には隔絶した空間しか復元できなかったのに、かなり広い範囲でも適用できるほど実用化されたことがわかります。
3.海洋研とヴィレの件 <たぶんわかる>
海洋研は新劇場版で新しく登場した組織で、エヴァ破の時点では(表向きは)生態系の保存と環境復元の研究をやっています。これはゼーレとゲンドウが進めようとする人類補完計画の針を巻き戻す行為であり、かなり明確に反ゼーレ・反ネルフという目的があったと思われます。このことより、海洋研はエヴァQで登場したヴィレの前身の組織であると推測できます。
問題は、この海洋研を誰が創始して運営しているのか?という話です。ミサトはエヴァ破の時点で海洋研のことは知っていて、その上でシンジたちと施設訪問には帯同しませんでしたので、海洋研と関係は深くないと思われます。しかしエヴァQではヴンダーの艦長をやっていますので、ヴィレ内の立場はかなり上になっています。ただし艦長は雇われ人ですから、雇った人がいるのです。そのきっかけを作ったのは加持リョウジでしょう。ということで加地さんの役割が非常に重要になってきます。
なお、エヴァQの予告で「幽閉されるネルフ関係者たち」というセリフがありますがそこにかぶさる絵の海が青く復元されているので、海洋研つまりヴィレに幽閉されたと考えるのが自然です。(ここぞとばかりエヴァフォントを使う私)
なお、この幽閉のおかげでネルフ関係者はサードインパクトから難を逃れるできたと考えられます。なので幽閉というよりは隔離といったほうが適切かもしれません。
4.加地&マリの件 <わからない>
加地リョウジと真希波・マリ・イラストリアスは、ゼーレとネルフ(ゲンドウ)の両方の目的を把握して行動しているフシがありますので、エヴァ新劇場版における重要なキーパーソンです。
まず加地さんの件。エヴァ破 2.22(Blu-ray・DVD版)において、加持さんが第3新東京市にやってきてシンジたちと遭遇する場面がわざわざ追加されています。このシーンは、エヴァ破という作品の中ではマリとシンジの邂逅と対になるものとして追加されたのではないかと推測します。新劇場版全体の中ではシンジに対して大きな影響を与える人の登場を描いたシーンと位置づけることができます。ミサトやマリはシンジと印象的な出会いをしますので、加持にも同様の場面を付け加えることで、映画としての完成度を高める狙いがあったと推測します。また先に述べたネルフ関係者の幽閉に、エヴァ破の冒頭で加持が言っていた「大人の都合」の中身が見えていると感じます。加持は反ネルフなのですが、使徒は殲滅しておかないと困るのでそれまではゲンドウに従っているのです。そしてサードインパクトが起きる前に、ゲンドウと冬月以外のネルフ関係者を連れて逃げ出したと考えられます。だからエヴァQの世界でも加地は生存しているものと思われます。
一方のマリは、名前が狂言回しであるデウス・エクス・マキナのようでもあり、実際それっぽいセリフが多いものの、いろいろ匂わせているだけで正体はさっぱりわかりません。貞元氏による漫画版でマリはユイと面識があることが描かれていて、エヴァQでも綾波のオリジナルを知っている旨の発言がありますので、ユイやゲンドウたちと同じ時代を生きていた可能性は高いでしょう。ということは、セカンドインパクトも知っているはずですし、加持と同等の立場にいても不思議ではないということになります。
5.白線の巨人の件 <わからない>
エヴァ序に登場する伏線くささしかない白線で描かれた巨人。あれはネルフの地下にいるリリスと考えるのが妥当ではないかと思いますが、そもそもリリスは本当にリリスなのか?という問題があります。
6.リリスの件 <わからない>
というわけでリリスについて。エヴァ序において、ミサトがセントラルドグマで磔にされている足なし巨人がリリスだと早々にネタバレして観客の度肝を抜きました。しかし、あの仮面は使徒の顔ですよね。ということはリリスではなくアダムかもしれません。ミサトさんたちや、自分たち視聴者は、旧作に続いて新劇場版でも騙されているのかもしれません。とりあえずリリスかアダムか現時点ではわからないので、ドグマの巨人と呼称します。巨人はエヴァQにおいて綾波の顔をしていることから、綾波と共通の因子を持っていることは確実であると思われます。その結果、綾波の正体もリリスなのかアダムなのかわからないということになります。
7.エヴァ初号機の件 <たぶんわかる>
エヴァ序において、第6の使徒(旧作のラミエル)でシンジがエヴァ搭乗を拒否した際に、ゲンドウが「ダメなときはレイを使うまでだ」と綾波を初号機に乗せることを言い出します。そのときに冬月が「あまりにも危険ではないか」と忠告します。この場面で、エヴァ初号機と綾波の相性が旧作とは全く変化していることがわかりますし、新劇場版のエヴァ初号機は旧作とは異なり、ドグマの巨人をコピーして作ったものではない可能性が高いことも示されました。
なぜ危険なのかいろいろ考察している人もいますが、現時点では明確に示されていないのでわかりません。初号機の中に碇ユイがいることはエヴァQで開示された確定事項なので、ユイのクローンであるレイが搭乗しても問題ないと思うのです。ただ、初号機が持つ因子と綾波が持つ因子が、アダムとリリスのように対立するものであるとしたら、危険と言えるでしょう。おそらくその可能性が高いです。
しかしゲンドウはユイを絶対的に信頼しているので、対立因子を持つ綾波が初号機に乗っても大丈夫だと思っているのでしょう。
6.Mark 6の件 <わからない>
エヴァ序において、旧作のリリスのお面を付けた状態で建造されていたエヴァンゲリオンMark 6は、エヴァ破のエンドパートで天使の輪のような光輪つきで登場しました。
仮面を付けていたので、アダムもしくはリリスが素体になっているとエヴァ序の当時は考えられていました。なぜ月に存在していたのかはわかりません。エヴァQにおいてはアダムスの器という呼称も登場しました。
7.アダムスの器 <たぶんわかる>
アダムスはエヴァ破のセカンドインパクト回想シーンで登場した4体のADAMSのことと思われます。器という言葉はあまり深く考えず「木の器」「ガラスの器」などと同じで、ADAMSを原材料として作られたモノと考えるとスッキリします。アダムスの器は何らかのきっかけで光輪を持つことができる=シン化できることも示されています。新劇場版のアダムスの器として確認されているのは、いまのところ下記の3体のエヴァです。
・Mark 6
・Mark 9
・第13号機
器=入れ物ということになりますが、入れるものはもちろん「魂」です。エヴァQでリリスの結界を破るには2つの魂が必要ということで、ダブルエントリー式のエヴァ第13号機が用いられたのでした。
8.アダムスの器の役割 <わかっている>
問題はこれらアダムスの器がなんのために作られたか?ということです。エヴァ2号機は兵器として作られたことが明白ですが、アダムスの器たちは兵器としての機能はオマケで、中に入った魂との相乗効果でシン化することによりインパクトを起こすこと、つまり神(アダム・リリス)によらず、人為的にインパクトを起こすことが目的です。そのシン化を起こすときに光輪ができますが、魂が2つ存在すると光輪も二重になります。
ちなみにヴンダーは綾波を取り込んだ初号機を主機として使っていて、なにかあると光輪を発生します。ヴンダーはエントリープラグがあることからわかるようにエヴァと同等の存在であり、アダムスの器である可能性すらあります(神殺しなどという別名を持っているくらいですからね)。なおヴンダーの光輪が2重であることより、ヴンダーの中の初号機にはユイと綾波(ポカ波)の魂が存在していると推測されます。
初号機にはシンジ君とは別の魂が入ってしまったので、シンジくんはもうシンクロすることはできません。
9.インパクトについて <たぶんわかる>
インパクトは行き詰まった人類の強制進化であり、人類の魂の補完が目的(カヲルやゼーレの談話より)だそうです。なんのために進化や補完するの?というところがわかりませんが、まあそういうことです。人類補完の扉を開くネブカドネザルの鍵にしても、ゲンドウはユイに会うために使うのです。いずれにしてもインパクトは手段にすぎないと言えます。
10.渚カヲル <たぶんわかる>
カヲル君は新劇場版でもわけのわからないことを喋っている風を装って核心に迫る発言をしていますが、その中の最大の問題発言と見ているのがこれです。
「第1使徒のぼくが13番目に堕とされるとは」
新劇場版のナンバリングなら第1の使徒という言い方になるはずなのに、旧作と同様に第1使徒と口にしています。この言葉でカヲル君の魂は旧作から継続していると推測されます。カヲルくんは月の棺の中にスペアが何体も存在しているらしいことはエヴァ序で示されていますので、インパクトを超越して何度でも蘇ることができると推測されます。
なおエヴァQで13番目になった理由は、Qの前に起きたサードインパクト以前に殲滅されたはずの第12の使徒が生きていたからでしょう。
シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| について
シンエヴァの予告でカヲル君が出てきてますが、これは月の棺桶からやってきた何人目かのカヲルの可能性もあります。なんやかんやでファイナル・インパクトが起きるものの、おそらくゲンドウとシンジの両者が折り合いをつけた形になる思います。
リピート記号に従ってもう一度やり直すとか、コスモリバースよろしく世界がもとに戻るというドラマはどうでもよくて、父と子が折り合いをつけることが大事です。なぜなら、新劇場版は碇シンジの物語だからです。
また、テレビ版は最後に「父にさようなら 母にありがとう」と告げてシンジが両親から自立して終わるという、一種の大団円になっているのですが、旧劇場版は「気持ち悪い」で終わりでしたからね。いや確かに「まごころを、君に」のシンちゃんは相当に気持ち悪かったけど、そこで終わることないんじゃない?って思いますよね。
このブログは音楽ブログでもあるので音楽のことも書いておくと、予告編があと2つほど作られて、その1つに弦楽四重奏版の次回予告の曲が用いられると思います。この曲は鷺巣さんがツイッターで録音したことを報告しています。さらに、数年前から公式が残酷な天使のテーゼを推しまくってるので、どこかで流れるかもしれません。またエンディングもしくクライマックスに緒方恵美さんの歌が使われる可能性が高く、そうなると選曲は Fly me to the moon しかないよなあと思ってますが、エヴァ破では綾波に「翼をください」を歌わせているので別の曲の可能性も否定できませんね。
おまけ
ざっくりと新劇場版:序破Q+シンエヴァをまとめてしまいましたが、最後にシンエヴァ後の展開について考えます。
シン・エヴァンゲリオンは「さらばすべてのエヴァンゲリオン」と銘打たれていることから、宇宙戦艦ヤマトシリーズのように続編やスピンオフが作られることを想定していると考えられます。もっとも、庵野氏がその監督を引き受ける可能性は低いでしょう。