DTM用のオーケストラ音源調査の巻

UVI Orchestra Suiteが物足りないので(なにが足りないのかは後述)、他のオーケストラ音源を調査しています。巷のDTMブログはメジャーなものが紹介されることが多いのですが、そうではないところでなかなか良いものがあったのでメモしておきます。

  • Vienna Instruments Smart Orchestra
    https://sonicwire.com/product/41230
    老舗のViennaです。Smartという名前からもわかるように軽量版(15GBくらい)です。ただ仕様が独特で、起動時にパッチを全部一気に読み込むようになっているので、ハードディスクから立ち上げると30分くらいかかるそうです。SSD必須ですね。安いのですが、ティンパニとハープがありません。どっちもKONTAKTとかに入ってるからなんとかなるのかな。Viennaはサウンドはいいけど高い&重いということで近年は他社に押されているようなので、こういう安い音源でプロモーションしようとしているのかもしれません。
  • Best Service THE ORCHESTRA
    https://sonicwire.com/product/40901
    これも軽量版のオケ音源。会社名も商品名もド直球。初心者向けで、楽器の配置なども固定になっているお安い音源です。壮大なサウンドがお手軽に出せるので人気です。いま割引中なので売上ナンバーワンになっていたりします。ただしソロ楽器が入っておらず、合奏だけです。UVI Orchestra Suiteはソロ楽器は入っているもののあまり良い音ではなく、どうせ合奏しか使えないならこれを買えばよかったかな~と思ってますが、UVIの2倍くらいのお値段ですから微妙なところですね。
  • Vienna Epic Orchestra 2.0 (+ Vienna Ensenble Pro 7.0)
    https://sonicwire.com/product/41360
    UVI Orchestra Suite並に安いオーケストラ音源(14000円)ですが、しかしデータ容量はUVIの10倍以上(73GB)。悪いはずがありません。Epicというのは「壮大な」という意味ですけど、Viennaは繊細なニュアンスが得意なメーカーなのでそれほどでもないような気がします。THE ORCHESTRAのほうがわかりやすく壮大です。
    この音源は単体でも買えますが、Vienna Ensenble Pro という、VSTAUといったソフト音源(Vienna製でなくてもよい)を総合的に運用できるホストアプリを買うと付いてきますので、こちらで入手するのがいろいろオトクです。Ensanble ProはDAWとは別に立ち上げて、DAWの外部音源(もちろんマルチティンバー)にすることで、CPUを効率的に使わせるのが主目的のアプリです。
    https://sonicwire.com/product/41340
  • Vienna SYNCHRON-ized SPECIAL EDITION
    https://sonicwire.com/product/41440
    弦・金管木管・打楽器と楽器種別で分売されている非常に高品位(だけど高価)な音源の廉価版です。セール中で安かったのでいくつか購入しました。これを買ったらEnsanbleの6.0が付いてきました。「ご一緒にVienna Ensanble Pro 7.0 Proもいかがですか?」という商法ですね。
  • EastWest Hollywood Orchestra
    https://h-resolution.com/product/hollywood-orchestra/
    これはメジャーですね。前身となるQuantum Leap Symphony Orchestra(QLSO)という製品がかなり売れた大メジャー製品で、もちろん今でも売れているのですが、サンプル波形がエフェクト込みのため音像が遠く分離が悪かったのです*1。また、アーティキュレーションも十分とは言えないです。容量に制限があった時代の製品なので仕方がありません。一方、Hollywood Orchesrraはかなりドライなサンプルで前に出る音になっていますし、アーティキュレーションも増えて生演奏的な追求をできるようになっています。名前の通りハリウッド映画に使われるような壮大なサウンドが得意っぽいです。なおハープが入っておらず別売です。これを買う人はほとんどQLSOを持っているでしょうし、オーケストラの配置的にハープは一番奥になるのでQLSOで十分ということなのでしょうか。

実は7~8年前にもオーケストラのソフト音源の導入を検討していた時期があったのですが(すでにQLSOはありました)、動作が重いし、値段の割に音源のクオリティが低いものが少なくなく、特にソロ楽器の表現力が乏しいので演奏する側でいろいろ補わないと生っぽく聞こえないと思って購入に至りませんでした(そしてINTEGRA-7を買っています)。当時はSSDはまだ一般的でなく、大容量の音源を扱うことが難しい時代でした。

*1:これは裏返すと「空気感があってブレンドしやすい」という長所でもある