上野通明 チェロ・リサイタル@ミューザ川崎の巻

テレビでジュネーヴ国際コンクールの演奏が流れたときに一瞬で心を奪われてしまったチェリストです。

バロック、ロマン、近現代という幅広い時代に渡った選曲で、とりわけ近現代の楽曲の表現が素晴らしいと思いました。またシューベルトのロンドは伴奏を含め始まった瞬間にシューベルトらしさが全開ですごいなと思いました。「一節終わるかと思うと意外な和音が入って場面転換」が繰り返されるロンドなのですが、そのピアノと一体となった場面転換の表現がなんとも鮮やかです。ピアノの阪田さんも音色のパレットが豊かで、良かったです。

幼年期にスペインで暮らしていたということで表現がとても情熱的ですし、まだ若いのですが音楽面では十分な深みも感じられます。いままでいろいろなチェリストを聞いてきましたが、トップクラスの一人であることは間違いないです。