明確に聞こえない音を採譜した日々の巻

宇宙戦艦ヤマト完結編BGMの Symphony of the Aquarius をDTMで制作中で、徐々に仕上がってきました。

この曲で大変だったのは採譜です。遡ると2012年11月から採譜を始めているので、10年以上前から取り組んでいたことがわかります。

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その後も思い出しては少しずつ採譜していたものの、本格的に採譜に取り組むのは2020年6月になります。そこから夏にかけて採譜を終えました。しかしヴァイオリン以外の弦楽器が明確に聞き取れる場面が少なく、独奏ピアノがオケをマスクしてしまう部分が多かったことで、オケパートの採譜は満足のいくものではありませんでした。結局、主要な弦楽器パートはSymphony of the Aquariusの弦楽合奏版「アクエリアス・レクイエム」を採譜して流用しています。羽田氏もスコアを流用したはず、という推測に基づきます。

また、このとき思い立ったのが2018年に出版された「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」(交響曲ヤマト)のスコアでした。交響曲ヤマトはSymphony of the Aquariusの作曲者である羽田健太郎氏の作品で、第四楽章はピアノとヴァイオリンによるニ重協奏曲ということで、相似性が高いです。つまり交響曲ヤマトのスコアを参考にすればSymphony of the Aquariusの採譜の精度が上げられると考えました。

そこで、交響曲ヤマト第四楽章の初演版スコアを作成することにしました(ピアノパートが初演とはかなり異なっていたため)。この採譜作業は昨年(2022年)前半に終わらせることができ、その後に改めてSymphony of the Aquariusの採譜の仕上げにかかりました。

すると、いままで聞こえなかった音が聞こえてくるようになり、管弦楽のパートが充実してきました。また明確に聞こえないところでも羽田氏ならこう書くだろうと想像してフレーズを補完することができました。

こうして10年かかってSymphony of the Aquariusの採譜を終えた、というお話でした。