クラダルマ 柴田昌弘

ブルーソネットを軽くして、お色気というかエロ要素をたっぷり加えた風味。敵キャラ設定がソネット、メレケスをそのまんま継承してるため、簡単に先が読めてしまった。どうしようもないほどに自己模倣の世界である。その点については作者も自覚しているようだし、ブルーソネットを知らない世代が読んだら十分楽しめる点で商業漫画としては成功と言える。絵はだいぶ洗練されているし、スペクタクルな場面での描き込みの密度は濃く迫力がある。その反面でキャラ描写は中途半端であり、物語としての必然性や情念などが果てしなく薄まったのが痛い。いつものことだが、中盤の引き伸ばし具合と後半のたたみかけのバランスも悪い。ラストが駆け足なのもお約束なので仕方ないとはいえ、カタルシスを満喫できないのがよろしくない。全18巻を約5時間で読破したが時間を返して欲しいくらいの納得できなさ加減。ウボアー(AA略)。