忖度なしのアコースティックピアノ評価の巻

1ヶ月ほどかけていろいろピアノを試弾してきた中で、自分自身が感じたことや調律師の方々のお話も交えて忖度なしでピアノの評価をします。

  1. 新品か中古か論
    自分の耳に自信がない人や、ピアノという楽器の仕組みに詳しくない人は新品を選ぶべきです。この自信というのは「好きな音、苦手な音が明確に定まっている」と言い換えてもいいです。
    中古に関しては、スタインウェイなど一部のメーカーを除き年代によって音の傾向がかなり違うので、根気よく試弾を繰り返して好みのメーカーと好みの年代が定まってから本格的に選定に乗り出しましょう。
  2. おすすめ海外編
    スタインウェイ:結局みんな好きなのだと思います。自分も好きです。
    ペトロフ:グランドに関してはスタインウェイの半値くらいでスタインウェイに近いピアノが手に入ります。スタインウェイほど盛大に鳴らないところも日本の家庭事情にあっています。またアップライトも品質がよい上に、特注になりがちな白いピアノを標準で作っています。
    ボストン:スタインウェイジェネリック的な触れ込みですが、確かに小型グランドピアノの豊かな音量が特徴です。
  3. おすすめ日本編
    ヤマハ(グランドのみ):普及モデルであるCXはコスト対策で妥協したピアノです。しかし機械生産のメリットを生かし品質の安定性が極まっています。購入にあたっては掛川の工場で選定できますが、選定する必要がないくらい同じピアノが並びます。
    カワイ(グランドのみ):次点。ヤマハより貪欲で他社のいいところを真似しがちですね。
  4. おすすめできないピアノ
    ファツィオリ:コスト無視で妥協しない精神ゆえ、常に発展途上のような製品になっていると感じます。また設計が頻繁に変わるため修理部品を入手できるか心配です。ピアノは一点物の工芸品ではなく、ある程度の汎用性が求められますのでリスクが大きいです。
    ベーゼンドルファーヤマハ傘下になり音が以前とは変わってしまいました。214 VCはスタインウェイB-211とほぼ同価格なので大半の人はB-211を買うでしょう。
    ベヒシュタイン:グランドピアノは良いものもありますが、アップライトは品質低下が著しく買うべきではないです。
    新品のアップライトピアノスタインウェイなど一部のメーカーを除き、新品のアップライトピアノを買うべきではありません。その理由はコストダウンのために部品や組み立ての質がどんどん低下していることと、出荷前の検査や調整も甘いため不具合があっても見逃されやすいからです。新品よりもきちんとメンテナンスされた中古のほうが良いでしょう。

各論

  • スタインウェイ
    新品のハンブルク製O-180、A-188、B-211は鉄板のピアノです。でもこの三者を比較して結局みんなBを買います。OやAが悪いというわけではなく、Bが突出して良いのがその理由でしょう。低音部が手巻き弦で音色にかなりの個体差があるため、複数から選定できないショップでは買わないほうがよいです。
    またS-155とM-170およびNY製は買ってはいけません。品質に問題があります。これらは自分が試弾したすべてのピアノに問題がありましたし、スタインウェイジャパンの方もNY製に関しては言葉を濁すほどです。
    K-132(アップライト)は間違いなく世界最高のアップライトピアノです。スタインウェイが諦められずSやMを買うくらいならKとペトロフ(グランド)の2台もちをおすすめしたいです。アップライトでもスタインウェイの音色がしっかりと鳴ります。しかも響きの豊かさはO-180に匹敵します。その理由はアップライトゆえ中音〜最高音部の響板が広いからです。
    SPIRIO(自動演奏ピアノ)は明確な目的がなく買ってはいけません。なぜかというと、自動演奏の部分は家電製品なので10年ほど壊れるからです。このピアノはiPadでコントロールします。でも10年後に同じiPadは入手できませんよね。なのでスタインウェイを弾きたい人は、普通のスタインウェイを買うべきです。BGMのように自動演奏させておきたい人などはジュークボックス代わりに買ってもいいでしょう。(実際、そういう用途で買われる事が多いとのこと)
    中古は100年くらい前のNY製が非常に良いです。アップライトのKやZも良いものが多いです。それ以外は良いものは少ないです。MやBの中古を何台も試弾しましたが、非常に個体差が大きい上に音が新品とまったく違うものばかりです。スタインウェイのピアノは、古くてもスタインウェイの音が出るのが最大の特徴です。なので自分がイメージするスタインウェイの音が出ないピアノは選ぶべきではありません。残念ながらそういうピアノが多いのには理由があります。中古の多くはアクションやハンマーを交換しています。この交換部品が純正でないのです。このようなピアノは、手放すときにスタインウェイとして売れないでしょう。
    なおペトロフヤマハのS4/S6、カワイSKを売ってスタインウェイB-211に乗り換える人がかなりいるそうです。特にピアノの先生はそのパターンになりがちという話です。スタインウェイは新品中古問わず値上がりする一方で下がることはないので、いずれ買うなら借金しても早めに買ったほうがいいと思います。金利と値上げ率が大差ありませんし、来年にはB-211の新品価格が2000万(税込み)を突破します。
  • ペトロフ
    P 173 BreezeとP 194 Stormは非常に良いです。スタインウェイの同サイズと比較すると多少スケールの小さい音になりますが、繊細な表現が得意で日本人向けと感じます。2m以上のサイズのグランドピアノは残念ながらバランスが良くないです。白いアップライトが200万そこそこですし、白いグランドピアノもあります。白いピアノならヤマハ・カワイよりこちらをおすすめします。名前が知られておらずブランド力が低いためか、中古になるとさらにお買い得になります。それゆえすぐに売れてしまうそうです。ペトロフは趣味で弾くなら最高のピアノだと感じます。
  • ボストン
    GP-163、GP-178は同サイズのグランドピアノより響板が大きく、それゆえ見た目以上に音量が豊かでダイナミックな表現に優れます。また音量が大きいとタッチが軽く感じるようになるため、それも含めスタインウェイ風に思えるピアノだと感じます。ただGP-193以上はあまり良くないです。
  • ヤマハ
    C3X espressivoとC5X、C6X、CFがおすすめです。C3X espressivoは共鳴の立ち上がりが遅いのですが、その遅れゆえ奥行きのある響きに聞こえます。C5Xは立ち上がりが速く、ポップスやジャズにも向きます。C6Xは倍音の持続時間が長くスタインウェイ的な響きになります。音量はスタインウェイBの7割ほどに感じますので、天井が低い日本家屋でも十分に対応します。なおグランドピアノがほしいが予算がない場合はC2Xが有力候補になります。以前のヤマハの2型はかなり問題があったのですが、C2Xになって大幅に改善しています。
    最も売れているというC3Xは個人的には立ち上がりが遅さが気になるので、C3LAなど少し前のモデルのほうがよいかもしれません。しかしこの遅さをまろやかな耳あたりと捉える人も少なくなく、好みの範疇だと思います。
    S3XはC3X espressivoと比べるとぐっと重心が下がって厚みのある音になります。音量も上がるので満足感が高いピアノです。しかしほぼ同サイズのスタインウェイペトロフと比較するとスケールが小ささは否めません。S6Xは立ち上がりが速く極めて鮮烈な音色が出せる素晴らしいピアノです。しかしとても音量が大きい上にピーキーでコントロールが難しいので注意が必要です。自分はS6X狙いでいたのですが、あまりにも弾きにくいピアノでどうにもなりませんでした。弾きこなせる人なら素晴らしい演奏ができることでしょう。CFは部材の妥協がないという点でスタインウェイにも匹敵するピアノです。
    中古について。ヤマハはアップライトを含め中古が数多く出回っています。先に述べたように、製造された時代によって音色の傾向が異なりますので、さまざまな時代のピアノを実際に弾いて耳で確認するのが重要です。2000年代前半に製造されたS4、S6は雑音が少なく絶妙なピアニッシモが出せるという美点があるものの、フォルテの音量がまったく足りないピアノのため勧められません。ただし部屋が狭いなどの理由で音量が小さめなピアノを求めている場合や、アンサンブルや歌の伴奏として用いる場合は第一選択になるくらいのポテンシャルはあります。S400Bはかなり良いです。ただこれもペトロフの中古と比較したほうがよいと感じます。
  • カワイ
    SK2、SK3がおすすめです。この2つは甲乙つけがたいです。2型の国産グランドピアノで最も優秀なのは間違いなくSK2です。SK5はアクションが異なりタッチが微妙に重いのが特徴です。SK6、SK7はスタインウェイに勝るとも劣らない豊かな低音域が魅力ですが、中高音の厚みや華やかさが足りないので厳しいと感じます。ただ逆にそこを生かして、歌(とりわけ女性歌手)の伴奏に合わせるとよいと思います。実際、有名な女性歌手がSK7を購入されています。目の付け所がいいなと思いました。
    なおSKは2010年頃にモデルチェンジしています。自分はモデルチェンジ前のほうが好きでしたが、モデルチェンジ後のほうが良いという人もいます。SKは人気があり、中古はすぐに売れてしまうので購入を考えているのであれば楽器屋さんに確保しておくようお願いしましょう。
    なおカワイのトーンが好きでグランドピアノがほしい、しかし予算がないという場合はGX2が有力候補になります。このピアノもローコストながらバランスのよい仕上がりになっています。

シン・仮面ライダーを見たの巻

備忘録的に書いておきます。ネタバレあり。

  • 巨大建造物や高速戦闘シーンに黒かった頃の弐瓶勉を想起→時系列逆。
  • 庵野の歯止めが効かない映画だという評があるけど、最初から最後まで、それこそコマ単位でコントロールしきっている映画に対してその評はおかしいと思う。つまり制御が行き届いている。
  • 電柱少なめ
  • 「昆虫が混ざってる」という設定をビジュアルとしてわかりやすく提示してくる。昭和の頃に見ていた子供だったわけですが、当時の自分はライダーが昆虫だという概念がなく、なんであんなに飛べるのか謎だったわけですが、そりゃバッタだったら飛べるわな、と50年ぶりに納得しました(遅い)
  • バイク変形シーンのカット割りの気持ちよさは庵野ならでは
  • サソリオーグの出オチ感とやるせなさがすごくよかった。助演オーグ賞はサソリオーグ。
  • 安定の「モーションアクター庵野秀明

ヤマハ/カワイ/スタインウエイ/ベーゼンドルファー/ベヒシュタイン グランドピアノ試弾感想の巻

2月末~3月初旬にかけていろいろなグランドピアノを試弾してきたので感想をまとめます。

 

ヤマハヤマハ銀座店および山野楽器銀座店で試弾

  • C3 TD(Traditional)
    C3Xで以前のヤマハの音色とはかなり変わってしまったので、伝統的な(Traditionalな)音が好みな方のために用意されたモデルだそうです。自分は平成期に発売されたC3LAよりも古い世代の音のように感じました。ただ旧型で問題だった低音域の金属的な濁った響き(主に第22倍音=4オクターブ上の減五度が原因)は大幅に軽減されています。
  • C3X
    従来のC3のドギツさや派手さを払拭して、少し重心を下げた音作りになっていて、柔らかい音色も出せるようになっています。C3LAやC3TDとは異なり、大人の男性(わたし)が全力フォルテで弾いても破綻しなくなりましたが、最大音量は若干下がったように思えます(全力フォルテでもうるさくない)。また最低音域はほとんど音程感が判別できなかった過去モデルより大幅に改善されています。ただE(ミ)以下は厳しいです。といってもめったに使わない音ですし、これでいいんじゃない?という人も多いでしょう。
  • C5X
    C3Xの拡大版です。このサイズでE以下はもちろん、Low-Bまでしっかり出せるのがヤマハの特徴です。響板があまり鳴らないのですが、それゆえ響きの歯切れが良くジャズに向きそう。
  • C6X/C7X
    6以上は設計が違っていて低音域がいっそう安定します。やはり響板が大きい割にあまり響かないので室内で弾いてもうるさくないですし、なによりスピード感があります。ポップスやジャズで使われるのもそのためだと思います。
  • C3X espressivo
    S3Xの廉価版。響板が良く鳴るので、音の伸びや共鳴の度合いがノーマルのC3Xとはかなり違います。じっくり弾くと、アリコートがよく響くため高音が伸びることがわかります。低音域はノーマルとは弦が違うということです。ただ自分が試弾した個体は納入されて2日しか経っていないこともあり反応が遅かったです。
  • S3X
    SXシリーズは従来のヤマハとはまったく違うピアノです。S3Xは共鳴が大きいので、3サイズとは思えないスケールの大きな音になっています。共鳴音が音色を全体的に支配するためか、とても甘い(ドルチェな)音色に仕上がっています。演奏においてはこの共鳴のコントロールが重要だと思います。
  • S6X
    こちらはさらに大きさが効いてきて、とても雄大な響きを堪能できるピアノです。1音鳴らしただけでもいいなと思えました。20年前のS6より雄弁です。ただ音量が大きなピアノなので、狭い部屋には置けないと思います。SシリーズやC3X espressivoの響板を豊かに鳴らすという設計思想は、買収したベーゼンドルファーの影響があるのではないかと思います。
    なおヤマハのグランドピアノは全体的に鍵盤が軽く、タッチが弱い人でも演奏しやすいと感じました。

カワイ:カワイ南青山店で試弾

  • GXシリーズ
    カワイのグランドピアノGXはヤマハのTraditionalに相当します。重めのタッチで、重心が低い、従来のカワイらしいシックな音色を意図しているそうです。ただ高音域の音色は固めになっていました。おそらく弾き込まれているためと思われます。
  • SK2/3
    SKがすごいのは2型ですら最低音~最高音の全音域が普通に演奏できるという事実です。スタインウエイやベーゼンドルファーでも小型グランドになると低音域は捨ててしまうので、これは本当にすごいと思います。ヤマハC3Xの低音域が改善したのは間違いなくSK2/3の影響だと思います。音の傾向はヤマハC3X espressovoやS3Xより共鳴が控えめで、なおかつわずかに重いタッチになっていることにより、弱音部の繊細な表現を得意とするように思えました。
  • SK5
    大きくなったSK3です。SK6との差が大きいのでそのような評価になってしまうのです。割りを食ってる感じがしました。なおSK5まではヤマハ比でタッチが重めに感じます。
  • SK6
    ここでタッチが軽くなり、共鳴成分がぐっと増えます。本領が見え始めます。
  • SK7
    SKの本領はこのSK7だと思いました。スタインウエイBを凌駕する深みのある低音域と豊かな音量に圧倒されます。ただ音量が非常に大きいので普通のご家庭では置けないと思います。

スタインウエイ

  • B-211
    中古を扱う工房で試弾しました。ヤマハSやカワイSKと比べると響板があまり鳴らず、フレームで響かせる構造なのできらびやかな音とは裏腹に潤いに乏しく腰高の響きに感じます。音量もS6Xに及びません。もちろん低音域を含めたしかに全音域がスタインウエイの音なのです。しかし弾いていて楽しくないですし不満が残ります。あと雑音がすごく多いです。スタインウエイの場合は雑音も含めて楽器の音だというポリシーがあってそのような作りだと思うのですが、スピード感(音の立ち上がり)がとても速いこともあってタッチが雑だと演奏が荒っぽく聞こえてしまいます。
    フルコン(D-274)の小型版という印象です。なのでプロの方が練習するためのピアノとしては適していると感じました。
  • D-274
    おなじみのフルコンです。温厚篤実なSK7を弾いてきたあとだったので、カミソリのような切れ味の音色にビビりました。最低音域はピアニッシモで弾いても金属っぽい響きが乗ってきます。以前はこれが好きだったんですが、SKのコシのある低音のほうが好きです。
    コンサートホールで演奏することを考えると、この金属っぽい響きからエネルギー感を得ているようにも思います。

ベーゼンドルファー:山野楽器銀座店で試弾

  • Model 170VC
    サイズが小さいので低音部(とりわけ巻弦音域)は残念な音ですが、共鳴は非常に豊かなので中高音以上はサイズからは想像できないほどよく伸びていて、満足感の高いベビーグランドです。
  • Model 214VC
    中高音域がスタインウエイBによく似た音色で、スピード感があります。共鳴はS6XやSK7ほどではないものの、スタインウエイよりは豊かですし雑音が少なく演奏しやすかったです。S6XやSK7のような圧倒的な音圧で攻めるのではなく、やや控えめで上質な音色ということでかなり気に入りましたがすごく高いです(約2000万円)
    ベーゼンドルファーはほとんど手作りのため個体差がかなり大きいそうですが、214VCは新しい設計になったことで個体差が小さくなるのではないかということでした。

ベヒシュタイン:山野楽器銀座店で試弾

  • コンサート A-192
    やはり雑音が少なく、ベーゼン214VCよりもさらにストイックな音色です。214VCは中高音がスタインウエイ的にキラキラするのですが、ベヒシュタインはキラキラ感が控えめ、スピード感も控えめです。また共鳴音は腰高なのでSXのようなドルチェな音色にはなりません。

ミハイル・プレトニョフ ピアノリサイタル@タケミツメモリアルの巻

<プログラム>

スクリャービン 前奏曲

ショパン 前奏曲

アンコール

ショパン 前奏曲嬰ハ短調

ショパン ノクターン2番

 

ピアノはご愛用のカワイSK-EXでした。
スタインウエイを弾いていたときよりも楽器の響きを大切にしているようで、懐の深い演奏に鳴っていました。

プレトニョフなので演奏解釈は終始ユニーク極まりないわけですが、ポゴレリッチのように常軌を逸するほどエキセントリックというわけではないし、ギリギリを攻める演奏ではなく虚心坦懐にピアノ演奏を楽しんでいるようにも聞こえました。

明確に聞こえない音を採譜した日々の巻

宇宙戦艦ヤマト完結編BGMの Symphony of the Aquarius をDTMで制作中で、徐々に仕上がってきました。

この曲で大変だったのは採譜です。遡ると2012年11月から採譜を始めているので、10年以上前から取り組んでいたことがわかります。

harnoncourt.hatenablog.com

 

その後も思い出しては少しずつ採譜していたものの、本格的に採譜に取り組むのは2020年6月になります。そこから夏にかけて採譜を終えました。しかしヴァイオリン以外の弦楽器が明確に聞き取れる場面が少なく、独奏ピアノがオケをマスクしてしまう部分が多かったことで、オケパートの採譜は満足のいくものではありませんでした。結局、主要な弦楽器パートはSymphony of the Aquariusの弦楽合奏版「アクエリアス・レクイエム」を採譜して流用しています。羽田氏もスコアを流用したはず、という推測に基づきます。

また、このとき思い立ったのが2018年に出版された「交響曲 宇宙戦艦ヤマト」(交響曲ヤマト)のスコアでした。交響曲ヤマトはSymphony of the Aquariusの作曲者である羽田健太郎氏の作品で、第四楽章はピアノとヴァイオリンによるニ重協奏曲ということで、相似性が高いです。つまり交響曲ヤマトのスコアを参考にすればSymphony of the Aquariusの採譜の精度が上げられると考えました。

そこで、交響曲ヤマト第四楽章の初演版スコアを作成することにしました(ピアノパートが初演とはかなり異なっていたため)。この採譜作業は昨年(2022年)前半に終わらせることができ、その後に改めてSymphony of the Aquariusの採譜の仕上げにかかりました。

すると、いままで聞こえなかった音が聞こえてくるようになり、管弦楽のパートが充実してきました。また明確に聞こえないところでも羽田氏ならこう書くだろうと想像してフレーズを補完することができました。

こうして10年かかってSymphony of the Aquariusの採譜を終えた、というお話でした。

「地球の運命」を演奏してUPしていました:宇宙戦艦ヤマト3 BGM

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YouTubeにアップしたままブログに掲載するのを忘れていました。すみませんです。
なおこの曲は宇宙戦艦ヤマト3では1回しか使われていないようです。しかも前奏の部分のみです。放映が1年間続いたらちゃんと流れていたかもしれない曲でした。

ヤマト3の曲はあと3曲くらいで終わりで、その次は宇宙戦艦ヤマト完結編の楽曲に鳴ります。その完結編のクライマックスで流れたSymphony of the Aquariusはすでに制作中です。いままでやってきた中では最大規模の曲でとても大変ですが頑張ります。

「流浪」を演奏してUPしましたの巻:宇宙戦艦ヤマトⅢ BGM

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ガルマン・ガミラスのテーマその2です。
ヤマトがガルマン・ガミラス本星を訪れたときに使われますが、そのときのデスラーに対する古代の態度が不遜でひどい。ヤマトⅢで良くないのは(デスラーはともかく)古代はじめ地球側のキャラクターが己の立場を全く理解していないところだと思います。当時すでにガンダムが流行っていたので、ヤマトの地球側も軍隊としての組織や古代は艦長代理という指揮官としての態度をきちんと演出として描写する必要があったと思うのです。しかしそのあたりの演出がなされなかったので残念でした。