「ただいま」
これがクーヌスがスミスに指摘した「内に秘めた誰にも言えぬ思い」だったのでしょう。自分を待っている家族がほしい。大切な人がいる場所がほしい。その相手がイサミとルルというわけです。
ルルとスミスの擬似親子関係はかなり尺を取っていましたが、イサミとスミスの関係が深まる過程ってそれほど描かれていないよなと思って、何度か見返しました。その結果、スミスがイサミへの想いを強くしていくさまは割としっかり描かれていることに気づきました。訓練中のイサミをじっと見ている場面が何度かあるのですが、徐々に表情が変わっていきます。好意をもつ瞬間をあからさまにせず、自然と好きになったみたいな描写はうまい。ことさらBLというわけでもないんですよね。このへんはガンダム水星の魔女に似ていると思いました。というわけで、単に自分が見落としていただけでした。当初はスミスに興味がなかったんです(笑)
スミスはブレイバーン化した直後はともかく、一戦交えたあとはスミスであったことを捨ててブレイバーンとして振る舞っていたので強い覚悟があることがわかります。最終回の「結構がんばっていたんだぜ」というセリフは泣けました。
対するイサミは冒頭こそクールにしていますが、ブレイバーンのパイロットという立場になってストレスがかかってくると自分のことで精一杯という状況になります。普通の24歳はこんなものでしょう。スミスとのボクシングのあともあまり変わっていなくて、東京での戦闘なんかいっぱいいっぱいですよね。このあたりは、本来は上司(サタケさん)が介入すべき事案だと思いますが、戦果をあげていますので結果オーライになっていったと思います。まずい事態です。
その後クーヌス戦で大苦戦し、スミスを失います。ここでイサミは初めて自分の感情に気づいてるんですけど、表面的には立ち直っているように見えるのが最悪ですね。案の定、最終回手前ではブレイバーンに依存しきってしまいます。そして最終回でもう一度スミスを失う状況になってようやく自立できます。
ラストシーンは、喪失を2度も体験させられてあげく、呑気に「ただいま」なんてふざけんな!って思っているはずです。最終的にはルルを含めて3人で正式に家族になると思うんですが、イサミの背景情報がないのでどういう形に落ち着くのか全く読めません。続編を期待します!