機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ終了の巻

一期は鉄華団を中心にした一種のロードムービーで、二期は鉄華団の崩壊が描かれました。二期はなかなか視点が定まらず迷走した感もありますが、ラスタルとクーデリアの姿勢がブレなかったので、なんとかまとまったと思います。

そのラスタルですが、二期の最初のエピソードでいきなり堂々と登場させたのは、シリーズ構成上問題があると思いました。一期のうちにもっと出しておくべきだったと思います。また地球で小競り合いをだらだら続けていましたが、リソース(ヒト・モノ・カネ)には限りがあるのに、そのあたりを全く気にしないのは、演出としていかがなものかと思いました。鉄華団がいつもカツカツな状態(一期は貧乏体質、二期は人不足)でやりくりしているので、潤沢なギャラルホルンを対比として見せたかったのかもしれませんけど。

こんな感じでいろいろ問題はありましたが、性格が変質してしまったマクギリス以外は最終回までブレずに描けていて、キャラクターの魅力で持ったアニメだという印象が強かったです。

あとはそのキャラクターについての感想です。

自分が気に入っていたのが、まず昭弘です。昭弘と三日月の関係性は、一期の最初からじっくり描かれていましたし、デブリの子たちにアルトランド姓を与えるなどして、鉄華団が家族であるということを具体的に示したキャラだったと感じました。

次のお気に入りキャラが、問題のシノです。なぜ問題かというと、おっぱい魔人のノンケ男子だと思っていたら、公式からバイセクシャルという情報が出まして、ちょっと混乱したからです。ですが、よくよく考えるとバイだということで逆に納得できるシーンもあったので、腑に落ちた次第です。どの場面かというと、ヤマギが好意を寄せていることを認識して、真剣に悩むところです。そもそも真剣に悩んでいるのがノンケとしては変な感性だと思いますし、しかも「俺たち家族だろう?」と言って悩んでるんですね。家族でなかったら、ヤマギの好意を受け入れられる可能性があったのか?ということになりますが、なるほど可能性はあったんだな、ということですわ。

以上のシノのバイセクシャル判明事件*1は、腐った鉄血クラスタへの激震?になりまして、自分がこのエントリを上げるのが遅れた原因も、ひとえにこの一件が納得できなかったことによります。アニメキャラのセクシュアリティなんかどうでもいいと思っていたんですけど、シノはそういうわけにはいかなかった。過剰にノンケっぽさを装っておっぱいおっぱい騒ぐのは、若いゲイやバイセクシャル男子のあるある事情だったりするということですし、いつも明るくてバカっぽく振る舞っているシノが、実は人一倍愛情深い人間だということは端々で描かれていて、自分はそういうところが好きでした。ヤマギの気持ちがなんとなくわかります。おっと、シノの項目が長すぎですね。

あと、どうしても言及したいのがジュリエッタです。彼女はギャラルホルンにいながら、鉄華団のことを最も理解していました。ガエリオが、将来ギャラルホルンを統轄するのは彼女だと言っていましたが、この明晰な洞察力と*2、野心のなさ*3を買ったからだと思います。もちろん、マクギリスも鉄華団に対する理解というか、親近感を持っていたのは事実ですが、彼自身もオルフェンズの1人だったことを考えれば、ある意味では当然ともいえます。ジュリエッタは何度も三日月とバルバトスに圧倒されながら、「なぜ彼らはこうも抗うのだろう」と自問しながら鉄華団と戦いました。バルバトスを討ち取った勝ち名乗りには、悲痛さすらありました。さらに、鉄華団との争いが集結した後も同じように、なぜ、と考え続けていたはずです。そして最終回Bパートの結論に到達する流れは、とても納得がいくものでした。ギャラルホルン側のキャラ描写で一番成功したのが、彼女だったと思います。

ほかにも、クーデリアの成長ぶりとか*4、怒涛の攻めで正妻ポジションをゲットしたアトラとか、大勢の登場人物をよく描ききったと思います。最終回で1カットでいいからアルミニアが登場してほしかったですね。そこがちょっと残念ですけど、キャラ描写に関してはとても充実していたアニメで楽しかったです。

*1:勝手に事件化

*2:こういう能力は、ガエリオにはなかった。

*3:なんだかんだでラスタルは野心家

*4:最終回の調印シーンは、双方ともいろいろ思うところはあるけれど、ということがよくわかる名シーン