ハウルの動く城の巻

amazonの22%offにつられて買ってしまいましたが、やはり素晴らしいです。難解とか説明不足とかいろいろ言われていますが、見事なファンタジーだと思うので、未見の方はぜひ。以下ネタバレなので、要注意です。
「ソフィーの外見がクルクル変わるのがさっぱりわからない」という人が時々いるのですが、いくらなんでもそれは鈍感ではなかろうかと。この映画のソフィーは90歳(腰が曲がってヨボヨボ)、70歳くらい(老けてるが腰はまっすぐ)50歳くらい(元気なオバサン)、実年齢(若い)の4パターン程度が入り乱れます。外見だけでなくちゃんと声色も変わります(倍賞さんがんばってます)。絵と声がいっしょになってキャラクターの心情を表現をしているんです。これが大きな見所なので、「ソフィーの外見がクルクル変わるのがさっぱりわからない」「倍賞の声がオバサンっぽい」という点で違和感全開になって思考停止してしまうと、さっぱり理解できず面白くない映画になってしまいます。ソフィーの外見描写に気づけばこの映画の理解はそれほど難しくありません。サリマンと対峙するソフィーがどんどん若返っていくシーンなどが説得力を持ってきます。
あと荒地の魔女が力を失ったあともハウルの心臓に対する執着を失わないところとか、サリマンがハウルのクローンみたいな男の子たちを侍らせてる様子とか、ソフィーがすぐに落ち込んで90歳に戻っちゃうとか、自己中心的な悪魔論理で動くカルシファーとか、登場人物のマイナス面の性格描写も徹底してるのが宮崎作品としては珍しいです(それが嫌味っぽくならないところがさすが)。
あとすごいのはカルシファーを連れ出して城をぶっ壊すシーン。これはわかりにくい演出ですが、ハウルが執着を持っていたものを壊すことで呪縛を解き放とうとしたんでしょう(でもうまくいかない)。その後紆余曲折があってカルシファーとの契約も切れ、めでたく心を取り戻したハウル。みんなありがとうさよならー!…と終わりそうなものですが、結局カルシファーは戻ってきて新たな城が空を飛んでるのね。これ、すごく泣けるんですよ。呪縛であり、自我を守る鎧でもあったハウルの城は、実はみんなの「家」でもあったと。いい演出だな〜と思いました。