機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ:第1クールまとめ感想の巻

ほぼヤマト2199ぶりに熱くなって見ているアニメ*1ですが、いろいろと問題点が。
だいたい3〜4話単位のエピソードでしっかりとした起承転結がある上に、それぞれのエピソードで異なるキャラクターの掘り下げもあって、その点ではすごく面白いんですけど、このエピソードを取り外して骨組みを書くと、以下のとおり、内容が非常に希薄です。

<第1クール(1話〜13話)のあらすじ>
植民地である火星の地位をなんとかしようという使命に燃えたクーデリアが、その火星の最下層クラスタにある傭兵団を興味本位に使って地球へ行こうとしてうまくいかず、木星を経由しようとしてやっぱりやめて、ゴタゴタがあって地球に着くことができない。なお、傭兵団はいつのまにか鉄華団と名前を変え、家族のような集まりになったらしい。
引いた目線でみると、クーデリアと鉄華団ギャラルホルンスケープゴートになっているだけ、ということが見て取れる。

この文章を書いている時点で、15話まで放映されています。
ファーストガンダムだと、15話までのエピソードで地球に降りて、ガルマが死んで、シャアが退場して、ランバ・ラルが出てきて、ククルス・ドアンの島なんですよ!

まあでも、キャラクターの関係性描写と、各エピソードで萌えられるから別にいいか!とか思ってます。ちょろい。
特に、男性キャラの微妙な気持ちの揺れ動きを、しっかり描いているのが印象的です。腐女子狙いじゃないかなと思うんですが、あざとくなり過ぎない程度にあざといという、絶妙なラインになっていると思います。

※公式によるストーリー解説
http://g-tekketsu.com/story/index.php
上記に則って、自分の感想を書いていこうと思います。

第1部(CGS編:#1〜#3)
この3回で三日月、オルガ、クーデリアという中心キャラをしっかり確立させたところと、当面の敵=ギャラルホルンを印象づけることに成功しました。
第1話は、CGSの少年兵を虐殺するオーリスが操縦するグレイズが、真っ先にバルバトスにやられるという、視聴者の胸がすくような展開ですけど、このアニメはその後も理不尽に殺戮を繰り広げようとするキャラはバッタバッタとなぎ倒されるので、まさにその第1号です。
キャラ描写的には、ここでクランク二尉の苦悩を掘り下げたのがよかったと思います。まあ結局、大人の事情をふりかざすだけなのですが。さらにポイントになるのが、アイン君の存在です。
腐敗しているギャラルホルン火星支部にあって、それなりの矜持を持って仕事をしているクランク二尉と、純情まっすぐなアイン君は敵役ポジションながら良い印象をもたらします。しかし、アインのクランク兄(アインがしゃべるとこう聞こえる)への想いは、もう完全に腐女子狙いですね。

第2部(鉄血編:#4〜#6)
ここで火星圏から離脱します。
このエピソードにおけるポイントは、やはりマクギリスvs.三日月ですね。農場で鉢合わせしてから、宇宙で対決、という流れです。自分としては、いきなりマクギリスが出撃したことに違和感を覚えましたが、クーデリア確保が困難になった状況下では、まあ妥当かなと考えています。あと小惑星フォボスダイモス?)を利用した方向転換は迫力がありました。

第3部(テイワズ編:#7〜#9)
タービンズとの対決から、テイワズへの加入となるエピソードです。
つなぎエピソードなのですが、オルガが「鉄華団は家族である」という信念をはっきりと言葉にしたのは、非常に重要です。また、三日月や昭弘が、タービンズの船で戦闘訓練を受ける描写が入ります。昭弘じゃないけど、かなりしつこく訓練をやっていることを印象づけます。三日月と昭弘は、第1話から2人で訓練をする描写があります。これらは明らかに、今後この2人がモビルスーツ戦で活躍する伏線になっていると思います。
またタービンズの本部がある歳星では、サブキャラの細かな描写もありました。風俗に繰り出す若い男性キャラを描くアニメは珍しいと思います。おっぱい魔人なシノ、それを見てムクれるヤマギのような子、筋肉以外興味が無い(たぶん)昭弘、酒に弱くて奥手なオルガと、これまであまり表現されていなかった、各キャラの性格の違いが明確になってきました。
ここでも、シノ、ヤマギ、ユージンの関係性が、それとなく腐女子を意識したものになっていて、なかなかあざといと思いました。ヤマギはシノに恋してるとしか思えないので、ヤマギ女子説すら出てますね。

第4部(ブルワーズ編:#10〜#13)
むしろ「ヒューマン・デブリ編」と名付けたいエピソードです。第一クールの最後にあたる部分でもあり、本作品の一つの山場です。
ここでも、いくつかポイントがあります。まず、ブルワーズのデブリの子たちをも家族として受け入れる鉄華団という存在、2つめはクダルに「殺しを楽しんでいる」と指摘された三日月がその後にちょっと変わること、そして3つめは弟を失った昭弘が前を向いて戦う決意を新たにすることです。鉄華団は家族である、とオルガが繰り返しメッセージを伝えることは、とても意義があると思います。子供っぽい発想だとは思いますけど、わかりやすいですし、まともな家庭生活をできなかった子たちが、人生をやりなおしているようなところも、確かにあると思います。
ただ、鉄華団とブルワーズ双方の若い子が大勢亡くなるので、視聴者的には厳しいエピソードでした。特にブルーワズの戦艦において、シノがデブリの子供たちを見逃す→しかしデブリの子が発砲→やむなく応戦、という流れはきつかった。こういうところを適当に描写しないで、しっかり見せてくる演出が、この作品の真骨頂ですね。またファーストガンダムイデオン以来、もっというとザンボット時代からの富野由悠季イズムを継承していることの、あらわれではないかと思います。
この第4部の11〜13話の最後に流れた「オルフェンズの涙」があまりにもストーリーに合っていて切なくて、それがきっかけで演奏してみた動画をUPすることになりました。

ストーリーの感想は、ここまでです。
第5部の冒頭で、クーデリアと鉄華団スケープゴートにされていることに気づいたことで、第2クールではストーリーが大きく動くと思います。新モビルスーツも登場するようですし、今後もますます目が離せません。

*1:ガンプラ大人買いをしてしまった。