ヤマハから新しいフラッグシップ・シンセサイザーが発売になります。MONTAGE(モンタージュ)という名前です。
<要約>
・最近の流行にあわせてリアルタイムコントロールを重視した、パフォーマンス用シンセサイザー。
・音源はAWM2(サンプリング音源)128音+FM-X(FM音源)128音ポリ。
・AWM2の波形容量はMotif XFの約8倍で、CFXやベーゼンドルファーのステレオサンプリング波形を搭載。
・Motif XFと互換性あり。
・鍵盤は61/76/88の3モデル。
・シーケンサはリアルタイム入力のみ。*1
・アルペジエイターは最大8パート、約10000プリセット、ユーザセットは256まで。
英語サイトには、「DXとMotifが好きなら、絶対気に入ると思うよ」と書かれていました。
現時点で日本語サイトに情報がないので、以下の文章はUSAサイトからコピペです。(私自身による翻訳なので間違っていたらすまん)
http://usa.yamaha.com/products/musical-instruments/keyboards/synthesizers/montage/?mode=series
日本語サイトがようやくできたので追加!(2016/2/3)
http://jp.yamaha.com/products/music-production/synthesizers/montage/?mode=series
<詳細>
1.Sophisticated Dynamic Control
直訳すると「洗練された動的制御」ですが、要はパラメータをリアルタイムに動かすことができる機能です。制御手段は、いくつか用意されています。
- Super Knob
- LEDを仕込んだ大きなロータリーボリュームが付いています。このつまみには、複数のパラメータがアサインできるそうです。
- つまみと同じ動作をするフットコントローラ用端子もあるので、両手がふさがっていても使えます。つまみのサイズが大きいので、操作しやすそうです。この大きさがかなり大事ですね。
- Motion SEQ
- Envelope Follower
- こちらはインプットのオーディオ信号のレベルを利用して、音色パラメータを動的に制御する機能です。たとえば声を入力して、トーキング・シンセのようなことをさせることができるそうです。これはわかりやすいですね。
上記以外にも、本体のスライダーやつまみ類でコントロールできるはずです。
2. Massive Sound Creation
直訳すると「ガチムチなサウンド作成」ですが、これはVarious(多彩な)のほうが適切ですねえ。
AWM2(PCM)、FM-X(FM音源の発展形)という、それぞれ128音ポリの2つの音源を利用します。往年のSY99のような構成です。
- AWM2
- FM-X
- 音色の互換性
- ヤマハのサイトでは、旧モデルとのボイスデータ互換性が強調されていて、わざわざ「compatibility」という項目まで作られています。
- DX系列のシンセ(DX-7、TX816、DX-7II、TX802)はWebアプリでパラメータ変換する仕組みを準備中ということで、詳細は4月まで待てということ。使わないからいいやって思ったのですが、DX-7の坂本龍一ROMとか生福とか持ってるので、こういうのは変換するかも。
- motifに関しては、事実上XFのみのサポートのようです。つまり、それ以前の機種は、PCのエディターソフトを駆使してXFフォーマットに変換せよ、という形になっています。S90 XS、S70 XSのボイスデータもエディター経由でmotif XFフォーマットに変換すれば読み込めるとのことです。いずれにしても、実際の出音でどのくらいの互換性があるのかは気になるところです。
3.エフェクト
「とにかくすごい」みたいなことが書いてありますが、実際問題大事なのはバス数ですね。以下コピペで失礼。
Reverb x 12 types, Variation x 76 types, Insertion (A, B) x 76 types*, Master Effect x 15 types *A/D part insertion x 71 types (Preset settings for parameters of each effect type are provided as templates) Master EQ (5 bands), 1st part EQ (3 bands), 2nd part EQ (2 bands)
4.Pure Analog Circuit
アナログ回路にも力を入れて、バランス出力も装備したということです。
5.Streamlined Workflow
日本人的には「シームレスなワークフロー」といったほうが良さそうな言葉。
- USB Audio/MIDI
- send 16ch、input 3chのオーディオインターフェース機能があって、DAWにマルチで音声データを送れるようです。
- 現状44.1kHz/24bitですが、将来的には192kHzまで対応できるようになる模様。
- SSS (Seamless Sound Switching)
- パフォーマンス時の音色切替に伴う音が途切れない機能。同時に8パートまでだそうですけど、そんなめちゃくちゃなレイヤー音色ができるんですか(白目)。
6.シーケンサ
・MIDI 16トラック+テンポトラック+シーントラック
・入力:リアルタイムのみ。置換、オーバーダブ、パンチイン・アウトの3モード。
・記録イベント数:130000
・分解能:1拍=480
・ソング数:64
・フォーマット:MONTAGEオリジナル、SMF 1/0
見た目がKRONOSに似ていますので、操作性や起動時間が気になるところです。
自分はFM音源にはすでにそれほど愛情がないのですが*2、MOTIF XFに加えてベーゼンとCFXの波形が入っているなら欲しいと思います。INTEGRA-7のような、表現力を生かした演奏ができればいいんですが。
シンセサイザーは、アナログ→数値演算デジタル(DX-7)→PCMデジタル→物理系と発展してきて、ここ数年はアナログ回帰傾向が強まる中で、ついにヤマハのフラッグシップシンセでFM音源復活ということで、歴史の繰り返しを実感しています。ヤマハとしても、初代motif以来久しぶりのラインナップ更新ですが、流行りのアナログシンセモジュールを載せないかわりにFMで行く!ということで矜持を見せてくれたと思います(笑)。