ラヴェルについての巻

お気づきのようにラヴェルに関する記述が非常に増えているのですが、これは「音楽図鑑Classic」に掲載するラヴェルのコンテンツを準備しているからにほかなりません。ショパンは準備期間を入れると10年近くかかってしまったので、今回は短期決戦に持ち込みたいです(希望)。ひとくちに10年といいますが、小学校に入学した子供が中学を卒業してしまう年月です。それだけの時間をかけても理解できないショパン先生には本当に困ったものですが、ラヴェルはきちんと勉強すると意外にわかりやすいということがわかってきました。ラヴェル自身が誤解や憶測を書かれたくなかったようで、折に触れて自作品について語っていることから、さまざまな情報が得られます*1。20世紀に仕事をしていた人ということも大きい。19世紀のショパンは伝説上の人ですが*2ラヴェルは作曲者本人と交流のあった人たちが最近まで生きていて、実在の人間として受け止めることができるのも大きな理由です。
もっとも、20世紀に活躍した人なのに楽譜が誤謬だらけとか*3、問題はあったりします。ラヴェルの楽譜選択についても書こうと考えてます。我々のような素人が弾くときはペルルミュテール版の併用は必須です。作曲者本人が入れたアーティキュレーションが書かれている、という事実は何よりも替えがたいアドバンテージです。ありがたや〜。
あと今回はオーケストラ曲も分析する予定です。理由は、ピアノ曲ではラヴェルの一面しか伝えることができないため。この人の本質は、ストイックな枠組みの中でエロスを表現することにあるのですが*4、どういうわけかピアノ曲になると良い子ちゃんぶって見せる傾向があるのよね。あまりに身近すぎてエロスの対象にすることができなくなったのかな、とか考えていますが。この辺を掘り下げようと思います*5

*1:本人がガセネタをバラ撒いてることもあるので、ラヴェルの発言だからと鵜呑みにしてはいけない。

*2:ショパン結核が表面化してから社交の場に出ることが減り、少人数の取り巻きしか会えなくなったのが原因。

*3:春秋社版ラヴェル集の解説で森安先生が盛大に批判を書いていてワロス

*4:いきなり結論を述べてしまった。

*5:エロいピアノ曲は「ガスパール」で卒業している。なぜ?