宇宙戦艦ヤマト2199ヤマトーク「星巡るミュージック」の巻

12月18日新宿ピカデリーで行われたヤマトーク「星巡るミュージック」に行ってきましたので、レポートしたいと思います。
ぶっちゃけまくって止まらない彬良さんのお話をメインに書きます。自主規制が多い公式ツイッター https://twitter.com/new_yamato_2199 と合わせて、ご覧ください。

  • 登場
    • ブンチャカヤマトとともに彬良さん、吉田さん(音響監督)が登場。司会は小林さん(ただのヤマトオタク)
  • 挨拶
    • (宮)わたしは人前に立つのは慣れているんですけれど(一同笑)、もっとも敷居が高いのはヤマトークなんです。こう、敵に包囲されているような気分になるんですね。お手柔らかにお願いします。
    • (吉)急な発表(ランティスからのサントラの発売中止)で驚いたり心配した方もいると思いますが、サントラは出ます!(大拍手)
  • 「星巡る方舟」の企画を聞いたときは、どう思ったか?
    • (宮)やっぱりね、あそこで終わるわけにはいかないよね!乗りかけた艦(ふね)だし、この先どうなるかわからないし、糸が切れた凧みたいにならないように、以前と同じ轍を踏まないようにしたいじゃないですか!(拍手)。
  • 父親の件
    • ヤマトの音楽を作っているときの父は、機嫌が悪いんです。第一作と第二作(さらば)、テレビのパート2までかな、あれは父も40〜50代の脂がのりきった時期で、まさに宮川泰の歴史を飾ることになった、大プロジェクトですよ。あの「都市帝国」って曲なんか、ものすごく苦労して書いていたのね。だけどさ、そこからの続編よね。「またやるの?」「え?また!?」みたいな(爆笑)。よくやったと思いますよ、ほんとに。
  • 星巡る方舟について
    • (宮)「寄り道」かな。あと、自分が幸せに生きられるかは、出渕監督次第って思ったよね(笑)
    • (吉)出渕さんらしいストーリーなんです。でも、どうやって劇場で見せたらいいのか。ほら、過去の亡霊がいっぱいいるので(※注:吉田さんは2520がヤマト初参加で、次いで復活篇、2199と続くいばらの道を歩んでおりますw)
  • どんな打ち合わせをしたのか
    • (宮)はじめは出渕・吉田・宮川の3人でやるんですけど、とにかく「出渕語る」なんですよ。語り出して終わらない。それを吉田さんが交通整理して、通訳してまとめていく。
    • (吉)そのあとで、改めて宮川さんと2人で打ち合わせしました。
  • フィルムスコアリングの件(映像に合わせて音楽を作る)
    • (吉)完結編はね、250曲!10時間分!!もの音楽をあらかじめ録音しておいたの!!(一同「うおおおおおお」w)そこからチョイスしたんだけど、この贅沢さが、ヤマトだったと思うんです。でも、もういまはできないんですよ。たしか「ヤマトよ永遠に」は、2割くらいフィルムスコアリングだったという話で、今回はスケジュールの問題もあって、全編それで行くことにしました。
    • (宮)実は今回、すべての曲を録り直しているんです。オトナの事情ってやつ。だったら、映像に合わせてやっちゃおうと。映像っていっても、コンテ撮(さつ)ですけどね。これがね、ワクワクするのよ!楽しかったなあ。やってよかったです。
    • (吉)当初の予定だと、新曲と録り直しが7:3くらいだったんですけど、スケジュールが足りなかったので比率が変わりました。
    • (筆者=わたしの観点でのまとめ)サントラをランティス以外から出すことにしたので、原盤権の関係で、劇伴全曲を再録音する必要が出てしまったようです。ただ、スケジュール的に厳しく、ボツ曲を出したくなかったので、場面の長さに合わせて曲をハメていくことになったのだと思います。
  • レコーディングはいかがでしたか?
    • (宮:すごく楽しそうにしゃべりまくる)前回よりアナログな録音なんです。まず、主題曲以外は一切シンセを使っていないの。全部、生楽器!それでね、スタジオミュージシャンが、40後半から50代のベテランが中心でね、もう、みんなヤマトのファンなの!だからさ、篠崎さんが「真赤なスカーフ」とかヴァイオリンのソロを弾くじゃない?そうするとほかのみんなが「それ俺が弾きたい!!」って言いだして大変なのwいまはね、シンセでオケを作って、そこに生楽器をちょこっとかぶせて作られるサントラがすごく多いんだけど、自分としてはそういう手を使わずに、全部生楽器でやるのが当たり前なのね。でもそういうレコーディングって、最近は珍しいから、ミュージシャンもみんな大喜びしていたの。あとフィルムスコアリングということで、尺が決まっているんだけれど、みんな伸び伸びと演奏していて、最後に音響編集で、長さを調整するようにしてもらいました。だから、演奏のグルーヴ感が素晴らしい。
  • ここで実際に使われたSEや劇伴の解説。まずは火焔直撃砲のSEから
    • (吉)「やべえ!ヤマト2だよ!!元ネタ探さなきゃ!!」(大爆笑)
      • オリジナルのSE(ノンエフェクト)が流れたんですが、モーグのフィルターレゾナンスでピューンって下がる音に対して、LFOでモジュレーションを加えてあのニュアンスを作り、そこへもう1種ノイズ成分の音を混ぜていたようでした。この音をもとに、再作成したとのこと。
  • 宮川先生が印象的だったシーン=冒頭の音楽(無限に広がる大宇宙〜タイトルロール)
    • スキャットからのタイトルなんだけど、タイトルロールの音楽が15秒だったんです。それを「18秒にしてほしい!」って言われてさ。3秒伸ばすのって、大変なのよ。(管楽器の人が)息が続かないでしょ。そこで、fp(フォルテピアノ)でいったん音量を絞ってから、クレシェンドさせることで3秒伸ばして合わせたの。「ぅぅぅわわわわわわーーーーーーーーーーーーーー!!!」どうです?(ドヤ顔)大拍手でしたw
  • 宮川先生が印象的だった音楽その2=ヤマトvs.ガトランティスの1回目の戦闘シーン
    • (吉)画とのシンクロが完璧なんです。新曲ですね。
    • (宮:割り込んで喋りまくるw)肉喰いながら、タイコ叩きながら攻めてくるっていうね。あれ太鼓だけでも、音楽としては成立するんだけど、どうしてもつまらないの。そこへ、白色彗星のメロディを加えた。あのメロディは強いし、太いのね。だから一気に引き締まったものになる。
    • (司会者)お父さんのメロディですよね。
    • (宮)親子2代で、あの世とこの世で作っているようなものですよ(一同大拍手)。たとえばね、オリジナル曲を作っても、自然にヤマトっぽいメロディが出てくるの。父が作らせてるんでしょうね。オカルトチックですけど。
  • 吉田さんが印象的だった音楽:ラストの戦闘シーンの音楽=帝都防衛戦→ガミラス国歌→帝都防衛戦→ガトランディスの大メドレー(今回大人気の曲)
    • (吉)「ヤマト渦中へ」のテンポ感で、ガミラス国歌とガトランティスの要素を散りばめて、って彬良さんに注文したんだけど
    • (宮)それだけじゃ物足りないので、メドレーにしちゃいました!(笑)
    • (吉)イメージは、「新たなる旅立ち」のヤマト、ゴルバ、デスラーの3つどもえの場面です。
    • (宮)この曲、3分28秒もあるんですけど、一発録りなんですよ。ドンカマ(メトロノーム)も使わないで。大変だけど、すごく気持ちよかったです。演奏メンバー全員のビートがうねって、盛り上がるんです。もう自分は、こういう音楽しかやりたくないんです。 ←思わず泣きそうになりましたw
    • (司会者)テレザートの曲もありましたけど。
    • (吉)あれは自分のオーダーです。
    • (宮)過去の曲を出すのは、昔の印象に縛られる危険性があるって思われるかもしれないんだけど、むしろその過去のイメージが呼び起こされることで、さらに期待感が増すんじゃない?
  • (司会者:巻きながら)Great Harmonyの最後に、彬良さんが作られた「大志」が挿入されるんですけど、あれ、ズルくないですか?(一同爆笑&拍手)
    • (宮)あれ入れたの、僕のアイディアなんだよね。ヤマト2199って、青年たちの群像劇じゃない?その象徴として自然にできあがったのが「大志」なんですよ。だから、Great Harmonyにどうしても入れたくなったの。ピアノで弾いてスタッフに聴かせて「どう?」って確認したら「すごくいいです!」ってね(してやったり)。最初は2倍の長さのつもりだったんだけど、短くしました。あと、「大いなる調和」Great Harmonyという言葉の重さ、すごみだよね。
    • (司会者)宮川先生は、常々「主題歌と劇伴は呼応するものでありたい。そのためには、劇伴の作曲家が主題歌を書かなければならない」とおっしゃっていましたが、今回ついに先生が主題歌を書かれて、その最後に「大志」が入ることで完成したと思います。(一同拍手)
    • (宮)でも、ものすごいプレッシャーだったよ!だってさ、TVの主題歌があんなことになって・・・
    • (司会者)あああああああああああああっと、ここで告知です!!!!(ぶった切り)
    • 以下、2月28日〜3月1日のコンサートの告知。
    • 最後に一言
    • (吉)2520〜復活篇〜2199とやってきました。星巡る方舟でようやく見えてきたかなと。あの艦には、あの音楽と効果音でないと、ダメですよね。
    • (宮)ヤマトが単なる戦争映画ではないということを貫きたいと、いつも考えていました。単に強いものが敵をやっつけて終わり、という映画にはしたくないという気持ちがあったんです。今回の映画で、Great Harmonyという言葉があって、それが表現できた気がします。航海は大変ですが、これからもよろしくお願いします。

最後に私の感想ですが、彬良先生も吉田さんも、この仕事をすごく楽しんでいて、さらに誇りをもっていることがとてもよく伝わってきて、感動しました。あと、自分以外に熱心にメモを取っている女性が、2名いらっしゃいました。同志よ!(笑)