自分で作成した楽譜を海外のサイトで販売する方法の巻

自分は日頃からmucomeやPiascoreといった楽譜販売サイトを利用してアレンジや採譜した楽譜の販売を行っていますが、これらのサイトでは、日本国内で著作権の管理をしている楽曲(JASRACやNexTone管理の曲)は、日本国内のユーザしか購入できません。そのため、海外の人から楽譜を販売してほしいという要望をいただくことがあります。そこでsheetmusicplus.comやsheetmusicdirect.comといった、海外の方でも利用できるサイトで楽譜を販売するようにしました。アカウントさえ作ってしまえば日本のサイトで販売するよりも簡易な手順(著作権情報を検索をしなくてよい)で楽譜を販売できます。

<概要>

  1. ArrangeMe にアカウントを登録します。 ArrangeMe - Self-Publish Your Sheet Music
  2. ArrangeMe で販売したい楽曲が販売可能であるか検索し、販売可能だったら楽譜をArrangeMeに登録します。
  3. 登録データの審査が行われ、問題がなければおおむね24時間以内にsheetmusicplus.comやsheetmusicdirect.comで販売開始されます

※事前に準備が必要なもの
楽譜販売代金の受領口座として、PayPalのアカウントが必要です。楽譜販売に限らず海外サイトにおける決済手段PayPalデファクトスタンダードなので、アカウントを作っておいたほうがなにかと便利でしょう。

以下に詳細な手順を書きます。

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新世紀エヴァンゲリオン劇場版death/Air BGM「偽りの、再生」を演奏してUPしましたの巻

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「偽りの、再生」を演奏してUPしました。

ようやくLASS3.0に慣れてきたので弦楽器が多少マシになるかと思いきや、ゴリゴリした音色のためにChris Hein Ensemble Stringsを大々的に使ったので演奏表現や音量バランス調整がうまくいかず、課題が残る仕上がりになってしまいました。

ただ、目標にしていた「暴力的なサウンド」は達成できたと思うので、そこは満足しております。

備忘録:演奏しようとしている曲目一覧の巻

アニメ曲を演奏してYouTubeやニコ動にUPしておりますが、自分の備忘録を兼ねて今後の予定を書いておきます。

 

・制作中
偽りの、再生(旧エヴァAir劇伴)

・採譜済み
救出(イデオン発動篇劇伴)←「偽りの、再生」の次はこれ

・採譜中
空しき流れ(旧エヴァAir劇伴)
pensées intimes: piano dans l’orchestre à cordes(シンエヴァ劇伴)

・依頼あり
アンドロメダ(さらばヤマト劇伴)

・その他やりたいもの
シンエヴァ劇伴いろいろ
ヤマト劇伴いろいろ
※リクエストいただければ優先でやります

動画の公開だけでなく。できるだけ楽譜も販売するようにします。過去にアップした動画の楽譜も販売していきます(すでに何曲か販売開始しております)

宇宙戦艦ヤマトの旧作の劇伴は1970年代の第一作から順ぐりでひととおりやろうと思ってます。演奏難易度が高いゴージャスなアレンジは控えてシンプルな形でしたいです。アレンジに手間がかかる上に演奏の練習が必要になるという時間的な問題と、楽譜を作っても演奏できない人がいると思うので、手の込んだアレンジは控えます。
戦闘関係の楽曲をどうやってピアノで演奏するか?というのは問題ですが、いざとなったらお得意の連弾アレンジに頼ります(笑)

シン・エヴァンゲリオン劇場版BGM i'll go on loving someone else =version orchestre= を演奏してUPしましたの巻

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エヴァ新劇場版:序でも流れた曲です。シンエヴァではオーケストラアレンジになっていますが、あえてピアノで弾いてみました。(実はそのオーケストラアレンジの楽譜も採譜中だったりします)

アレンジの方針は「あまり音を増やさずできるだけ最小限に留めつつ、エモーショナルな盛り上がりをしっかり作る」です。特に前半は和音の構成音をかなり吟味しています。縦の響きはもちろんですが、横の流れも意識しなければならないのでなかなか大変でした。後半は左手はオクターブか単音しかなくて響きが単調に思えたので、録音時に少し音を増やして和声感を出すようにしました。なので録音後に楽譜を直しています。

演奏はなかなか大変でした。ポリフォニックな作りになっているので、しっかり聞かせるメロディと脇役となる対旋律の対比を明確にした上で、自由で、なおかつスケールの大きな演奏表現をするのが難しく、またおもしろかったです。

シン・エヴァンゲリオン劇場版 BGM berceuse:piano を演奏してUPしましたの巻

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シンエヴァでトウジが第三村の説明をする場面で流れた曲です。タイトルの意味は「子守唄」。

音楽集CDと劇中で流れた楽曲に少し差異があったので、劇中バージョンを採譜して演奏しています。

ドラマ「消えた初恋」BGM『運命の消しゴム』を演奏してUPしましたの巻

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演奏してみました。原曲(おそらく連弾)に忠実に採譜したのでソロだとちょっと厳しいフレーズがありますが、気合いで乗り切りました。

原曲はピアノ以外にもシンセが入ったりして全体的に打ち込みっぽい雰囲気なので、自分はピアノソロ曲らしい起伏を意識して演奏表現をつけています。

田村由美「7SEEDS 」は小松左京「復活の日」への意趣返しなのか?の巻

 

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7SEEDSは、「近未来SFサバイバルストーリー」という触れ込みのポスト・アポカリプス作品。当初、こんなハードSFを少女マンガ誌で連載するのはすごいと思って読み進めていったところ、ストーリーの重点が徐々に人間関係にシフトしていって、生き残りメンバー間で性犯罪(未遂)が発生したところで、ああこれがテーマなんだ、いつもの田村由美先生だわ、と納得しました。ポスト・アポカリプスという法秩序のない世界において、性犯罪者と被害者の関係性をしっかり掘り下げながら並行でサバイバルストーリーを完結へと導いていきます。本編35巻、外伝(実はこれが完結編)1巻という大長編で読み応えありました。

全体としては、小松左京の「復活の日」の影響を強く感じる内容です。田村先生的には、復活の日における女性の扱いが許しがたいようで、オマージュと言うより小松左京への意趣返し的なエピソードが多いです。

復活の日」はパンデミックで人類の大半が死んだあとに、南極基地でわずかに生き残った人々を描いた物語ですが、女性の扱いがひどいのです。7SEEDSの中でも「復活の日」に関する話はチラッと出てきて、あの南極では女性が複数の男性の共有物となってセックスをし、子供を生み、育てる役割を担うということが説明されます。実際、すべての女性はその扱いを受容しており、主人公男性の母のように振る舞う人までいるのです。小松左京氏としては女性を聖母として描いたつもりらしいですが、現代的な感覚では人権無視も甚だしいです。

田村先生も「小松先生、それ違うと思います!そんな綺麗事じゃないです!」という気持ちで7SEEDSを構想したのではないでしょうか。そして人権感覚に乏しく強い生存本能だけで生きのびたキャラクターたち(夏Aチーム)と他のキャラクターの確執を描く中で、田村先生の考える女性像を表現していきます。とりわけ重要なテーマとして、『心に傷を負ってしまったら(負わせてしまったら)その傷は永遠に修復できないこともある』ということが7SEEDSの中で何度も描かれています。性犯罪者となったキャラクターですら、心に傷を抱えて苦しんでいる。この痛々しいリアリティこそ田村由美の真骨頂だと思います。

なので、意趣返しと言うより「復活の日の二番煎じになるとしても、女性である田村由美でなければ描けないもの描こう。それは男性である小松左京が描けなかったことでもある」という作者の揺るぎないジェンダープライドが全編にわたって溢れた作品といったほうが良いと感じます。