ロジェ・ムラロのラフマニノフの巻

ラフマニノフと同じくらいの身長&手の大きさをしているムラロ先生のCDです。ラフマニノフソナタ2番、楽興の時、コレルリ変奏曲が収録されています。

ラフマニノフはピアノ協奏曲は世界的に認知されているものの、独奏曲はかなりマイナーだと思います。なので歴史的にロシアとの関係が深い日本と、亡命人が多いアメリカ、そしてロシア&旧ソ連を含む東欧以外のピアニストはラフマニノフの独奏曲はあまり取り上げませんでした。しかし以前取り上げたオズボーンをはじめ、独奏曲の録音をする人が出てきました。

ムラロの演奏はロシア人やオズボーンの演奏と違って暖かい雰囲気に満たされているので、ラフマニノフ=寒い音楽だという先入観を持っている自分的にはかなり衝撃的でした。オズボーンのラフマニノフを聴いた時は寒くないなあと思ったのですが、ムラロと比較すると十分に寒いし、鐘の音の表現も透徹しているところがあって深刻で厳しい音楽になっていると感じます。しかしムラロの演奏は、柔らかく調整されたピアノの音色や、ドルチェなカンタービレも相まって慈愛や多幸感が支配的です。

ムラロ先生は自国(フランス)の作曲家は極めてオーセンティックな解釈で演奏する一方で、そうでない作曲家は個性的な解釈を披露する人という認識で、今回もその認識通りではあります。ただこういう方向性で来るとは思わなかったのと、どちらかというとストイックなピアニズムを打ち出す人なので、かなり驚きました。

 

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