近年のフランス系ピアニストには優れたテクニックを持った人が複数いますが、ムラロ氏そのうちの一人です。CDはいろいろ持っていて、主観的なショパンには違和感がありましたが、ラヴェルやドビュッシーの演奏は極めてオーセンティックです。以前の日本の公演はNHKで放映されていて、これがよかったのでリサイタルに行きました。
プログラム
・モーツァルト ピアノソナタ K310
・ラヴェル 鏡
・ショパン 前奏曲集 op.28
・アンコール J.S.バッハ(ムラロ編):《御身がともにあるならば》BWV508/ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調 遺作
ラヴェルの「鏡」が予想以上に素晴らしかったです。強弱、音色表現の幅がとにかく広い。しかし楽曲の把握力がすさまじいので、何をやっても説得力があります。
なおピアノはこの「鏡」に合わせて調整されていたと思われ、モーツァルトのソナタでは第一楽章の音色制御に苦労したり(第二楽章から良かったです)、ショパンの前奏曲集はピアニッシモが抜けるなど瑕疵もありましたが些細な問題でした。
※今後のトッパンホールでの公演
私の好きなピアニストが続々来日します。
スティーブン・オズボーン 11/1 ベートーヴェンのソナタ30~32番
アレキサンドル・タロー 11/29 フランスバロックの鍵盤楽器曲