ラフマニノフ ピアノソナタ1番ほか スティーブン・オズボーン の巻

ラフマニノフピアノソナタといえばもっぱら2番が演奏されていましたが、近年は1番を演奏する人も増えてきました。今日取り上げるスティーブン・オズボーンはラヴェルの全集で見事な演奏を聞かせてくれた人で、ラフマニノフ前奏曲、練習曲、ピアノソナタ2番、コレルリ変奏曲のCDも実に素晴らしいです。次は「楽興の時」と、他に何を演奏するのかと思ったらソナタ1番でした。

このCDの演奏も素晴らしいことは間違いありません。ただ楽曲の理解が非常に難しい。リストのピアノソナタの影響があって循環主題を使っているので、そこを聞き取ろうとしてもあまりにもたくさんの音符で修飾されているため、非常に難儀です。もちろん惰性で聴いているとただの音の洪水にしか思えません。その流れに身を委ねてもよいとは思いますが、アタマで理解したいと思ってます。ちなみにゲーテファウストが元ネタということで、第一楽章がファウスト、第二楽章はグレートヒエン、第三楽章はメフィストフェレスという副題まで付いていたそうですが、破棄したそうです。でも聴いてみるとこの3者の印象がしっかり残っていることはわかります。

オズボーンはスコットランド生まれで、ロシアとの直接的な接点はないと思われますが、これまでプロコフィエフピアノソナタ6・7・8番や先のラフマニノフメトネルカプースチンに至るまで、ロシアの作曲家を録音だけでなく演奏会でも取り上げています。西欧のピアニストでここまでロシア音楽を演奏する人はかなりめずらしいと思います。