ずっと聴きたかったのですが高くて手が出ませんでした(5000円くらいした。いまでも3500円くらい。)。しかし病院近くの(というか会社の近くの)中古盤屋を見ていたら発見。しかも1500円です!即ゲットしました。ライヴ録音だそうですが、エル=バシャさん相変わらず完璧ですごいです。リズムの扱いがするどく、付点音符が厳しいまでの切れ味で、独特な躍動感があります。
難曲の2番、4番だけしかきちんと聴いてませんが、2番はエル=バシャをしても演奏困難なようで、第一楽章カデンツァの例の大アルペジョからいきなりテンポが落ちてしまい(安全運転ですね)、それでもアルペジョの音符がさらに増えたところでコケそうになるなど、ライヴらしいスリリングなところがありました。2番に関してはほかは完璧ですが、ガヴリリュクのような抑えきれずにほとばしる情熱が感じられないという点でまったくエル=バシャらしいとしかいいようがありません(⇒ほめてます)。4番は2番ほどグロテスクな曲でなく、諧謔性を生かした解釈が光ります。
全体としては、アーティキュレーションがうまく、ペダルも使うところ・使わないところのメリハリがはっきりとしていて、知的なプロコフィエフという印象です。感情的に入り込みすぎないのはプロコを演奏する上ではプラスになると思います。
それからオケがいいです。大野さんがうまいのか?わかりませんが。これ全曲ライヴ録音ですが演奏会は大喝采なんですけど、プロコで大喝采というのも玄人っぽい聴衆だなあと思います。そもそもピアノ協奏曲をぜんぶ一度に演奏するってのが理解できない。でもプロコの協奏曲全集というと、ロシアの知らない人(笑。安いけど)、ガヴリリュク、ブロンフマンくらいしかないという話があり、この全集は割と貴重です。