GODZILLA 決戦機動増殖都市の巻

第二作ということで、地球に降下したメンバーを中心とした人間ドラマが主体のストーリーでした。みなさん利己的で自分のことしか考えていないクズだらけで、とても良かったです。

特に、主人公はゴジラから地球を取り戻すため、と言ってますけれども、地に足が付いていない子供っぽさがあって、ずるい大人たちにいいようにコントロールされてしまいます。このあたりの展開がうまいと思いました。

ただ、破壊された地球があって、大人(異星人)の勢力が2つあって、その間で揺れる地球人の青少年という図は、真・女神転生シリーズそのものです。相変わらずオリジナリティに乏しい虚淵脚本でした。また、終盤の大規模な戦闘シーンは第一作のやり直しで(戦術が同じだから仕方がない)、冗長に思えました。

以上のような瑕疵があるものの、些細な問題に過ぎません。最初から最後まで、ガチムチ野郎系種族と細身イケメン種族の間で揺れ動く主人公像を丁寧に描いていたので、腐ったBL的観点から見ても、腐った視点でない作劇として見ても心を打たれるものがありました。

自分はかように高評価ですけれども、腐った視点を取らない一般の人から見ると、ガチムチ種族は唯物的すぎるし、イケメン種族は宗教的すぎるという両極端なので、どちらかに肩入れすることができず、解釈に苦慮すると思います。もっとも、その苦慮こそが人間的な思考であり、制作者が狙ったテーマではないかとすら思います。

続編がどうなるかわかりませんが、やはり揺れ動くのが人間の本質だと思うので、物質と精神のどちらかに偏るのではなく、女神転生で言うところのニュートラルルートを進んでほしいなと思います。ニュートラルルートは明示されていませんが、暗示はされていたと思います。