analog 米倉利紀の巻


米倉利紀「NOTHING LEFT」MV

去年のアルバムですが改めてさかのぼって聞いてみて非常によいと思ったのでレビューします。
このアルバムの前の3枚くらいはポジティブな内容が多く、プライベート的にもステディなパートナーができて充実している様子が伺えましたが、その人と別れて、いろいろダメージがあったものの、結局のところ米倉利紀は音楽を作ることでしか生きていけないない、という基本に戻ってきた様子が伺えます。

「NOTHING LEFT」*1から始まって「大切な日々」で終わるという構成で、その間にいろいろな曲で折々の想いを綴っています。中盤の「キーホルダー」「君は僕の大切」「ボクノキミ、キミノボク」「GOODBYE, MY LOVE」の4曲が圧巻で、ほとんど私小説のような歌詞はそれまでの恋に恋する乙女のファンタジー的なメンタリティとは完全に一線を画した、地に足についた力強い言葉で書かれています。

このアルバムで彼はいつも以上に弱くて脆い自分を認めているのですが、壊れた心を再生させる過程をしっかり見つめることで逆に今までになかったレベルでポジティブな力強さが表現されていて、そこがすごく感動的です。
6分半ものバラードの「GOODBYE, MY LOVE」がこのアルバムの頂点ということに異論はないと思いますが、構成力が図抜けていてソングライターとしても新たなステージに入ったことを伺わせます。

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*1:なんにもない、という意味