機動戦士ガンダムOriginの巻

三つ子の魂百までじゃないけど、安彦さんって30年前にTVシリーズをほとんど描けなかったことがそんなに悔しかったのか、としみじみ実感するほどの異様な情念が伝わってくる漫画です。あと戦闘シーンがつまらなくて*1、人間ドラマの方がずっと面白いという、いつものパターンになってます。というか、すっかりシャアが主人公になってるのが面白いですね。確かに、何もわからず右往左往するだけのアムロを追っかけるよりよっぽどドラマになるわけで。
安彦さんの絵的には、80年代が一番好きです。その後はちょっと整理しすぎというか、綺麗に描きすぎているように思います。80年代はもっと泥臭いというか、体臭・体温が伝わるようなリアルなフォルム感をもった肉体造形を描いていて、いま見ても「うまいなあ」って思うのでした。湖川さんは石膏デッサン的なカタマリで捉える造形&描線が主体だったのですが、安彦さんのは肉感的というかつまり骨の上に乗ってる肉の描き方が上手いので、絶妙なリアリティやエロティシズムが表現できていたと思います。Originの絵はエロくないので、そこがイマイチ残念だと思います。

*1:ロングのカットが少ないので、敵味方の配置が頭の中で展開できません。