音楽図鑑 - 近況報告

はてなダイアリーから移行しました。

ローザンヌ・バレエコンクールとSWANモスクワ編の巻(ながいです)

ローザンヌで日本人が1位になったそうで、まずはバレリーナへの第一関門突破おめでとうございます、という感じです。ここで喜びたいけど、喜べないのよね〜。ご存知の方も多いと思いますが、バレエコンクールは音楽コンクールと同様にいわばその辺の泥の中からダイヤの原石を見つける場所でして、最初から採掘場で選ばれた石たち(王立バレエ学校に通ってるような子たち)とは生まれも育ちも違うのよー。だから超絶難関になってしまうの。・・・というのが私の認識ですが、なにかもちがってますか?
それで本題はローザンヌじゃなくて「SWANモスクワ編」。私がガラスの仮面とともにあまたのバレエ漫画を偏愛してるのをご存知の人もいると思いますが、SWANはそういうバレエ漫画の頂点にある作品です。連載自体はずいぶん昔に終わっていて、最近では豪華版として再発しています。宿命のライバル(超天才)がいてコンクールでそいつと主人公(努力と根性)が戦って・・・というパターンです。ええもう「トップをエースをねらえ!」の世界です。もちろん宗方コーチみたいな人もいます。死なないけどな。
ここまでなら単なるスポ根ですけど、なにせ作者が激烈なバレエヲタで、コンクールの描写がすでに芸術。ライバルの超天才:リリアナ・マクシモーヴァが踊る「瀕死の白鳥」、この描写がすさまじい。私はいろいろなバレリーナがこの演目を踊るのを見ましたが、こと幻想性にかけてはリリアナが最高、異論は許さない。という感じです。おそらく同じ思いの人もいると思います。漫画が現実を超えてしまう瞬間ですね。
しかしこの作者がそのままスポ根&幻想世界で満足するはずがなく、コンクール後は一転してバレリーナの苦悩に焦点を当てた展開になります。主人公は愛憎まみえてもうドロドロ。ジョルジュ・ドンがモデルとおぼしき夭折の男性ダンサーが出てきて話をひっかきまわします。そして天才リリアナにも苦悩があり、それを打破しようとする姿も描かれます。この辺ほんとうにすごいんだけど、連載されていたのが昭和時代の週間少女マーガレットで、なにしろ私もガキだったのでスポ根調でなくなったこの漫画についていけず、脱落しました。あとになって全巻そろえて、コンクール以降の展開を読んでビックリ&奥深さに感服です。これを少女漫画誌でやっちゃダメだろ。まあ当時はそういう作品がいっぱいありました。竹宮恵子の「風と木の詩」とかな!
SWANは主人公がひととおりの結論というか、まだまだ未完成だけれども将来への見通しを得たところで連載終了となり、自分的にはそれで満足していました。この終わり方はスポ根的には「今後の活躍にご期待ください!」なんだけど〜、なにしろ作者が(ry)なので、「バレリーナの苦悩は一生続きます」なのよね。まあでも世の中の真面目なバレエ漫画はどれもこういう終わり方をしますけどね。これとかこれとか。これなんかそういう話が一切出てこなくてバトル系少年漫画ノリで連載していたのでものすごくムカついてたんだけど、最後にいきなりそっち方向に舵を切って俺号泣&いままでの読者ポカーンな終結
かように熱烈なバレエ漫画ヲタな私のココロにはいつもリリアナ・マクシモーヴァがいたわけよw主人公ではなくて。
SWANはその後、主人公の子供世代の話が連載されました。これはぶっちゃけ「テレプシコーラ」大ヒットを受けて子供のバレエレッスン事情はうける!と判断した作者が軽くでっちあげたスピンアウト作品だとは思いますが、そこでのリリアナの描かれ方が気になって。やっぱり亡くなってしまっうんだな、ということが読めるので。そのことを詳しく書かないのがせめてもの救いだと思っていました。
が!
この作者まったく容赦ないから、そのことを書いちゃった(泣)というのがいまのところのSWANモスクワ編です。連載しているのはヤングSWANエースエヴァ漫画版のためのヤングエースと同じタイプの雑誌)*1です。もちろん買っていて、相変わらずというかさらにすごいのよバレエの描写が。とてつもなくて。多くの読者は主人公&ヒモの今後のことが気がかりなんだろうけど(ヒモ扱いw)、自分はやっぱりリリアナで。久々に漫画読んで悲しみにくれたわ。彼女は幸せだったと思うから満足してはいるけれども ・゚・(つД `)・゚・ ウェーン。ということでもうこれ以上は本当に涙腺が怪しくなるのでさよーなら。興味持った人は最初から全部読んでください。ついでにテレプシコーラも。アラベスクも。スバルもw

しかしこのままだと音楽の話題を期待してブログを読んでいる皆さんに申し訳ないので若干追記します。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートのこと。
あれって必ずバレエのシーンが挿入されるでしょ(結局バレエの話題かよw)。私はあれが大好きで。なんだけど、今年のNHK中継で音楽評論家が「バレエなんかいらない。オケと指揮者だけ映せ。」とバレエ全否定、同席したバレエ解説者のババア苦笑い、そして司会者フリーズという心温まるシーンがありました。その評論家はすぐ氏ぬか、猛烈に反省すべきです。舞踊を否定してウインナワルツを評論するなど笑止千万。おまえら全員生きる価値なし。小一時間どころか3年くらいかけて毎日説教したい気分です。もうね、なんのためのワルツかと。呆れてモノがいえないっすよ。日本人がワルツ演奏ヘタクソな原因がここに集約されたってかんじ。ワルツわかってない連中がワルツを評価するという滑稽な悲喜劇をこれからも味わっていくのねあたしたち。自分はどちらかというとオケや指揮者の映像のほうがいらないかんじ。もちろんカルロス・クライバーのようにまるでワルツを踊るがごとく指揮をする人は別格ですが。
男性がサポートしながらプリマが跳躍するときのあの浮遊感、重力がなくなって空中に静止するような雰囲気、この素晴らしさがわからないのかしら。あの空中浮遊こそが、ウインナワルツのリズム−2拍目がのびる−だということくらいわかってほしい。1拍目で軽くステップ、2拍目に跳躍して、3拍目でストンと着地。こんなの基本中の基本です。だからあのリズムになるし、ラヴェルの高貴なワルツは3拍目にアクセントがくるんじゃ。このくらい素人でもわかるわヴォケが。そんでもってショパンはウイーンを敵視しつつもワルツを好んだから、いかにもウインナワルツ風のワルツ第1番でも3拍目にアクセントを持ってくるのを極力抑制して、でも憧憬はどうしようもなく止められなくて、ちょっとやっちゃうんだ。下記の部分が「やっちゃった」ところ。>にしないでv(軽いアクセント)にしている。ここがいい!ラヴェルのワルツを勉強していたらショパンのワルツがわかちゃったw

だれでもサン=サーンスの「白鳥」を知っていると思いますが、あれが「瀕死の白鳥」に昇華するのがクラシック・バレエ。リリアナが踊ったシーンもすばらしい描写だけど、だいぶ前にNHKで放映されたマイヤ・プリセツカヤ(いわずと知れた20世紀最高のプリマのひとり。クラヲタ的にはシチェドリンの奥様。)の瀕死の白鳥がすごくて。あれで本物のバレエにはまってしまいました。ケネディが暗殺されたときにプログラムを変更してこれを踊ったという逸話もあるくらい、彼女にとっては思い入れのあるプログラムです。ようつべにいろいろ上がってるんで見てください。瀕死だけど懸命に羽ばたく白鳥が、命のはかなさとともに輝きを表現する。これが芸術というものです。
そしてここにきてようやくピアノの話になりますが、チェロとピアノの二重奏の「白鳥」をピアノソロに編曲した人がいます。こういうことをやるのは当然、ゴドフスキー。楽譜が届いたので、ひとしきり練習します。最近バレエとかフィギャースケートの曲ばっかり弾いています。「高雅で感傷的なワルツ」はバレエ曲でもあるので。仮面舞踏会を弾きたい人はいま出したリンクの楽譜をオススメします(現在は日本では入手不可能)。全音のピースではトリプルアクセルも狂ったステップシーケンスも見えてきませんが、この楽譜で弾くと真っ赤な衣装を着た浅田真央が登場します。フィギャースケートだけにリアルフィギュアが登場ってお後がよろしいようで。

*1:全然ヤング対象じゃないとか、連載の進みがカメのようにノロマところまでいっしょ。季刊だから遅いだけで1回あたり40ページくらい載るけど。