エヴァンゲリオン公式フォント:マティスEB版の巻

あのエヴァの公式TrueTpeフォントがついに(ようやく?)発売されました。
こんな感じです。

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自分は昔のMacintoshの漢字TrueTypeフォントにいい印象をもっていないので、あまり期待していなかったんですけど、このフォントはなかなかよかったです。

具体的には、下の絵で丸をつけた部分。
点、跳ね、払いのさきっぽの部分の処理がとても丁寧です。

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岡田博美ピアノリサイタル@東京文化会館の巻

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三善晃:アン・ヴェール
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番ホ長調 op.109
矢代秋雄:ピアノ・ソナタ
ドビュッシー:12のエチュード(全曲)

矢代先生の没後40年ということで、リサイタルという体の三善先生と矢代先生を偲ぶ会でした。なので、お二人の曲と、お二人が好きだった曲を演奏。
ですが、岡田さん自身も好きなドビュッシーの練習曲をノリノリでかっ飛ばしてくれて、天国の先生たちもビックリしたのではないでしょうか。

ビュッシーの練習曲は自分もたまに弾いてますけど、岡田さんの演奏は私より3倍は速くてめちゃくちゃカッコよかったです。もう最高。前半はベートーヴェンとかで素晴らしい演奏でしたが、ドビュッシーの遊び心と頭の回転の速そうな場面転換の鮮やかさは白眉でした。

アン・ヴェールはとても幻想的な曲で、ドビュッシーと対になっていました。
ベートーヴェンソナタは、矢代先生のソナタと対になるのですが、矢代先生の曲が現実を直視する系統とすると、天を見ている曲ですね。そのあたりの表現の違いなども興味深かったです。

ドビュッシーの練習曲は、明らかに弾き慣れた十八番という感じで、とにかくノリがいい。
ツェルニーの練習曲を揶揄した1番は、本当につまらなさそうに一本調子でドーレーミーファーソーファーミーレーって弾いて、思わず笑いそうになってしまうくらいで(笑)、そこから一気に幻想と遊びの世界が広がります。そこからもう最後まで一気に突っ走る感じで、終曲の12番は超高速で一気に弾ききってしまいました。すごすぎです。

岡田さんの演奏はいかにも日本人的で生真面目でつまらないという評価を受けていたこともあるようですが、全然そんなことはなくて、ドビュッシーの曲のアイロニーやユーモアをしっかり理解して表現していたのが印象的でした。日本人とフランス人は感性が近いところがあるので、岡田さんのような日本人的ピアニストこそ、ドビュッシー向きではないのかと思いました。

シン・ゴジラ(鑑賞13回目)の巻

先週末、シンゴジラに興味を持ってもらえなかった連れを口説き落として、一緒に見に行きました。

連れは興味を持っていなかったことが幸いしてネタバレを回避できていたので、事前情報ゼロで蒲田くんや内閣総辞職ビームからの背中ビーム(これは連れも完全に想定外だった模様)、無人在来線爆弾など堪能したようです。

自分は通算13回目でしたが、前回からしばらく間が空いたこともあって、新たな気持ちで見ることができました。あと念願の【少し小さな箱でスクリーン全体を視野に入れる状態】で見れたのが嬉しかったです。カメラワークの妙というか、非常にアニメ的で強引なレイアウトだということを改めて実感しました。とにかく電線、電柱を入れたがるし、そのためになんとしても強引にでも変な場所から撮る!というこだわりが変態だなあと思いました。

矢口が最初の頃から徐々に顔が変わっていったり、カヨコも牧教授の情報が迅速に入手できた*1ことで日本側を信頼するようになるのは、なんど見ても気持ちがいいです。
特に好きなカットは矢口の「あれがゴジラか!」となかば陶然としたような表情と、ヤシオリ作戦に出発する直前のやりとり(俺が死んでも君がいるから→おぅ、幹事長なら任せとけ)のカットです。
特に後者は廊下~階段~建物の出口とずっと歩いてるところをカメラが追っかける長いカットで、撮影も大変だと思うのですが、車に乗り込んだところでお付きの自衛官がサッと敬礼するところまで、すべての演技のタイミングが完璧で、文句のつけようがございません。ここでもう完全に涙腺が怪しいので(しつこいようですが13回目)、その先の矢口の演説が感動するのなんのですわ。

まあそんなわけで、全然興味のなかった連れも見終わった後にブルーレイいつでるの?とか聞いてくるありさまでした。あと平日午後2時上映なのに観客が半分くらい入ってて、誰も物音も立てず集中して見てるとか、しかもそれが池袋の映画館だとか、でも池袋にあるまじき客層だとか、いろいろ面白かったです。都内の上映館が減ってきているので、わざわざ池袋まで見に来ている人たちなんでしょうけど、熱心なリピーターが多いのかな。11月3日以降のツイッターにおける#シンゴジ実況祭りの盛り上がりなどを見て、改めてシンゴジラの人気を再認識している次第です。

自分も1つの映画を13回もリピートすることはもうないと思いますが、夢中になれる作品に出会えるというのは嬉しいものなんだなあとしみじみ実感しました。ということで、年内にあと1回くらい見に行くかもしれませんww

*1:タイムテーブルによると、なんと当日中に調査を終えて、カヨコに報告している!

ユーリ!!! on ICE のBGMをいろいろ演奏してUPしましたの巻

www.youtube.com

www.nicovideo.jp

セリフや効果音の合間から聞こえる音楽を採譜して弾きました。

もっとたくさん弾きたかったんですが、時間的にこれが限界でした(汗)。なので第二弾はあると思ってください。いいんです自己満足ですから。

技術的なこととしては、最初の曲のエフェクト(リバーブ)がいままでと違っています。INTEGRA-7のリバーブのパラメータのいじり方もようやくわかったのでw、もう少しアグレッシブに使えると思います。

内田光子 with マーラー・チェンバー・オーケストラ 協奏曲の夕べの巻

モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番 ヘ長調 K459
武満徹:弦楽のためのレクイエム
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K466

内田さんの弾き振りでモーツァルトのピアノ協奏曲+合間に武満さんの曲というプログラムです。

協奏曲は6型のオケで、より室内楽的なアンサンブルを重視しつつも、オーケストラ部分の演奏解釈はシンフォニックというのがユニークでした。

特に20番はいままでとはガラリと解釈を変えてきて、第一楽章ではあえて遅めのテンポを用いて濃厚なデモーニッシュさを演出。第ニ楽章で多少上向くものの、第三楽章は終始どろどろした情念が渦巻くような状況で、最後の最後、コーダでニ長調に転調したときにパッと陽が差し込むように場面転換したのは極めて鮮やかな手腕だったと思います。アゴーギクデュナーミクとも振幅が大きかったのもデモーニッシュな雰囲気を出すのに一役買っていました。

一つ間違えるとロマン派的な解釈になりかねないところもあったと思いますが、内田さんの独奏ピアノは細部に気を使いながらも折り目正しいもので、それが全体を貫く太い芯になっていたように思います。少し遅めなテンポになったことで、1つ1つのパッセージの特徴づけがより濃厚になっていたと思います。

武満の曲は指揮者なしのアンサンブルでしたが、音色が非常に多彩で、いくぶん硬い感じのあったモーツァルトよりもむしろこのオケには合っているのではないかと思いました。

今回はとにかく全く新しい内田光子の音楽とを聞かせていただいたので、非常に満足でありました。前回のディアベッリ変奏曲といい、近年の内田さんはアグレッシブな姿勢を貫いていますし、これからもさらに変わっていくのではないかと思います。

ユーリ!!! on ICE 第4滑走「自分を好きになって…完成!!フリープログラム」感想の巻

ちょっと遅くなってしまいましたが、ユーリ!!! on ICE 第4話の感想です。

勇利は3話でかなり前向きなことを言っていましたが、まだ自分に自信が持てない状態でした。環境に恵まれている自分を認識して、自分が滑る意義を見出し、いっそう精神的に成長したのが第4話です。1~3話も素晴らしかったですが、自分はこの4話がもっとも感動しました。今後も挫折や失敗はあると思いますが、この時点ではもう結論が出てしまったので、あとは蛇足になりそうな予感です。ただし、全然結論が出ていないユリオがいますので、次はユリオにも焦点が当たると思います。

ということで、すっかり姫川亜弓っぽくなってきたユリオの件です。
彼が日本で受けた衝撃は「勇利・・・恐ろしい人!(白目)」からのスケート会場から尻尾巻いてトンズラ、という行動がすべてを物語っていますが、そこで終わらないで研鑽を重ねるのが非常に良かったです。
あとバレエのコーチがマイヤ・プリセツカヤにうりふたつだったのは受けました。この人です。

f:id:Harnoncourt:20161030214603p:plain はい、そっくりさん。

「昨日までのあなたは死にました!何度でも生き返りなさい!!」
は、Wの悲劇における三田佳子の伝説のセリフ「女優女優女優!勝つか負けるかよ?!」に匹敵すると思います。

小ネタとしては、ヴィクトルより体力のある勇利の描写がポイントでした。
ヴィクトルは、フリー演技のラストに4回転ー3回転の連続ジャンプを入れられるスタミナがあるんですけど、勇利はそれ以上だということを示したんです。つまり、勇利はヴィクトルに勝るところがある。これがキーポイントになるような気がしています。

というわけで、今回はこれまで。毎週楽しみで仕方がありません。

Roland SYSTEM-8がほしいの巻

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ローランドの新しいシンセです。値段的にコンシューマでも手が届く製品ですが、自分はACB=オモチャと考えていますので、だいぶ高いオモチャではあります

boutique JP-08はオモチャなのに使いにくくて実用にならないという点では、失敗した買い物でした(反省)。しかしSYSTEM-8は、ようやく実用になりそうなオモチャなのです。試弾してきたので、特徴などを簡単にまとめます。カタログ的な機能性能は、ローランドのホームページを見てください。

<ルックス>
ユニコーンガンダムバンシィの覚醒モードみたいな、黒い筐体にグリーンのLEDがたまりません。わたしリディ大好きだから、もうこの外見だけで欲しい。これが最大の理由です。カラバリでホワイトが出たら、リディバナをセットで並べるしかないんじゃない?(笑)
NT-D発動のように赤く光るシンセ(JD-XA)もあるんですけど、最大の売りであるアナログ部が4音ポリしかない上にお値段が高価で、明らかにプロ用ですね。

<出自の件>
JP-8000 → GAIA SH01 → SYSTEM-1 → SYSTEM-8(いまここ)
おそらく上記の流れにある製品です。その証拠にSYSTEM-8にはJP-8000のトレードマークであるSuper SAWを使った音色が、プリセットの1番に入っています。自分はJP-8000やGAIAのフィルターがどうにも気に入らなかったんですが、本機はv-synthの技術を応用したと思われるキレのよいフィルターに生まれ変わっています。

<パネル構成>
ボリュームやスライダーやスイッチといった形で、音色作りに関係するほぼすべてのパラメータに一発でアクセスできます。操作性はすごくいいし、いじっていて楽しいです。
なお発光には意味があって、有効なパラメータのみが光るようになっているそうです。なので、Jupiter-8モードやJUNO-106モードで使うときは、光っている部分が減るそうな。

<サウンド>
JP-8000と、INTEGRA-7のSuperNaturalアナログシンセの中間のような微妙なサウンドです。すごく押しが強いわけでもないし、厚みがあるわけでもないので、メインのシンセとして使うにはちょっと弱いかなと思います。ただフィルターのキレがいいのと、ノイズが付いたことと、モジュレーションが豊富になったことで、音作りの幅はすごく広がりました。ノイズ混じりのPADとか、80年代~90年代初頭っぽい音色が簡単に作れます。

<自動演奏機能>
アルペジエータやステップシーケンサが充実しています。
また自動演奏に対して人間が割り込むことを想定した設計になっているのがポイントで、DJ的な用途を目的とするユーザーも取り込もうとしていることが伺えます。
ただサウンドにパンチがないので、ブリブリしたEDMっぽい音色は得にくいと思います。そういうのをやりたかったらJD-XAにしなさいという感じ。

<細かなこと>
LFOは最近の製品らしく高速モジュレーションが可能になっていて、ランダム波形を高速にするとノイズモジュレーションになります。
・ADSRのAを最小にしても、クリック感がありません。これはSN音源にも通じる欠点だと思います。立ち上がりの良い音が欲しかったら、JD-XAを買えということなのでしょう。
・フィルターエンベロープデプスなどが典型的ですが、つまみ一つでプラス方向~マイナス方向まで連続的にコントロールするようになっているパラメータが多いです。
・ノイズジェネレータがあって、ホワイトとピンクが切り替えられます。自分は低域成分が多いピンクノイズが好きなので、地味に嬉しいところです。
・鍵盤がいまひとつ。アフタータッチはなくてもいいんですが、鍵盤の長さが短かったり、沈み込みがいまひとつ足りないなど、コストダウンしすぎなのが気になりました。
・マスターキーボード機能(外部出力のMIDIコントローラを自由にアサインする)がないので、ファームアップで付くといいなと思いました。