自分にとってうまい歌手とは、ピッチがよいことでも声量があることでもなく、曲を理解し、楽曲表現として自由自在に倍音成分を制御できる人のことを意味します。
http://www.youtube.com/watch?v=dEb9mdzzhng
ピッチと音量だけでなく、倍音成分まで分析制御するのが真のぼかりす。残念ながら、この動画は元の歌手の倍音成分制御能力が不十分なようで、ぼかりすもあまり上手く歌えなかった模様です。ここまでできるなら、実在のヒトがうたった波形のモノマネではなくて、歌うまエミュレータを作ってほしいです。たとえば下記のリストにある人のエミュレータとか。できるでしょ、きっと。そのうち。*1
※倍音成分制御がうまい人リスト(随時更新予定)
- 鬼神:マリア・カラス(オナシスと付き合いだす前あたりまで?もっと早くにカルメンを録音してほしかったなあ。十分すぎるほど素晴らしいんですが「ああ惜しい!」という場面が2つや3つで済まないので。
- 神:美空ひばり(子供時代から最後のステージまで一貫して倍音を制御しきっているのがすごい)
↑↓ この間に壁というほどではないけど、ちょっと差がある。 - 女神:岩崎宏美(2000年まで*2)
- 復活神:ホセ・カレーラス(白血病で倒れたあとは、以前より衰えたように感じますが)
- ホーミーNo.1の人:ホーミーは倍音成分に旋律を歌わせる唱法。ちなみにNo.2は日本人男性という話。
===神の壁===
- キリ・テ・カナワ:引退ツアーを生で聴きましたが、すばらしかったです。カラスなどのドラマティコな声とは真逆ですが、自分はこういうタイプのソプラノ・リリコが大好き。
- 石川さゆり(デビュー当時はいまいち*3→向上→あざといほどのレベルにまで上昇)
- バーバラ・ボニー:この人もソプラノ・リリコ。元気のあるお譲さんという感じの声質です。(いつまでもかわいいし*4)
- チェリーリア・バルトリ(動画を見る限り、25歳くらいまで。いまも表現力はすごいけれど、若いころは段違いです)
- アンジェラ・ゲオルギュー(ソプラノですが中低音域の制御が抜群にうまいです。なのでカルメン*5とか歌うし、アバドが指揮したヴェルレクの独唱もこわいこわい)
- 大橋純子(声色の種類は多くないけれど、ピッチ、滑舌などの総合力で文句のつけようがない。まだ現役)
- 松田聖子(「風立ちぬ」まで。コキ使われたせいで声帯を痛めた説が濃厚ですが、そこがちょっとハスキーでいいと逆にウケたので、以降そのまま。デビュー直後の聖子ちゃんに夢中になった自分としては非常に歯がゆいです)
- 吉田美奈子(完璧な制御。完璧というのは、たとえば複数回歌った時に音程だけでなく倍音成分まで限りなく一致するレベルのこと。これをやったのが坂本龍一の「黄土高原」で、だからこの曲のコーラスはちょっと機械的に聞こえますが、たぶん教授はそれを狙ってますし、教授の演奏を含めあのアルバムのコンセプトが機械と人間の融合だと思います)
- 吉田美和(音域ごとに使える声色が1種類しかないので、表現的にはバリエーションに乏しいけれど、倍音成分を固定させるのも立派なテクニックでしょう)
- 今井美樹(歌手デビューした直後はひどいオンチで、友人とバカにしていました正直スマンカッタ。練習すればここまでうまくなるという見本)
- 清水ミチコ(モノマネとはすなわち倍音成分の模倣にほかならない)
===普通にうまいの壁===