Symphony of the Aquarius よもやま話の巻

宇宙戦艦ヤマト 完結編(1983年)サントラのSymphony of the Aquariusを採譜し始めた件は前回書きましたが、今回はその作曲者であるハネケンこと羽田健太郎氏が関わった他の作品の話です。

Symphony of the Aquariusは、ヤマトシリーズの劇伴としては初の本格的なピアノ協奏曲スタイルの楽曲になっておりますが、実はハネケンはそれ以前に科学救助隊テクノボイジャーでピアノ協奏曲風の劇伴を書いています。サントラ盤には「地球荒廃」というタイトルで収録されています。

ANIMEX 1200シリーズ 70 科学救助隊 テクノボイジャー 音楽集

ANIMEX 1200シリーズ 70 科学救助隊 テクノボイジャー 音楽集

  • アーティスト:TVサントラ
  • 発売日: 2004/09/22
  • メディア: CD
 

テクノボイジャー石黒昇さんがスーパーバイザー的な立場で参加していたようで、彼の意向でシンフォニックな劇伴になったそうです。これは宇宙戦艦ヤマトの影響ではなく、「2001年宇宙の旅」など海外のSF映画の影響でしょう*1。そしてテクボイの仕事ぶりが評価されてマクロスへの抜擢が決まって、あとはみなさん御存知の通りの大活躍となります。

なお、ハネケンが独奏ピアノを担当したピアノ協奏曲としては弾厚作加山雄三)のピアノ協奏曲も有名ですが、この第1楽章はハネケンが書いたとしか思えないほどハネケン節全開です。全体としてはラフマニノフっぽいのですが、おそらく加山氏の好みでしょう。この楽章が作られたのが1975年だそうです。
ほかにも「さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅」のサントラで「再会」というピアノ協奏曲調の劇伴でもピアノを担当しています。この曲もピアノパートはハネケンにお任せのようですね。というか、スタジオにやって来てろくな譜面もなしで「チャチャッと弾いて」(本人談)このクオリティというところが、彼が引く手あまただった理由と思われます。

音大ピアノ科卒でクラシック一辺倒だった彼が、なぜこんな即興アレンジや演奏ができたのか謎だったのですが、70年代にコロムビアが出していたクラシックのイージーリスニングアルバムでさんざんアレンジをやらされたようで(なにしろ人材不足)、ピアノインストのアレンジなどお茶の子さいさいになったようです。しかし、アニメサントラでピアノインストがメインになった作品は少なく、存分に彼のピアノを堪能できるのは「夏への扉」(竹宮恵子原作)くらいしかありません。

ANIMEX 1200シリーズ95 夏への扉 音楽集

ANIMEX 1200シリーズ95 夏への扉 音楽集

 

そして竹宮恵子先生といえば風木(風と木の詩)です。実は「風と木の詩」のイメージアルバムにもピアノ協奏曲(!)が収録されています。その話はまた別の機会にしようと思いますが、わざわざ話題に出したということは採譜して演奏する気満々ということですw

 

おまけ:ハネケンが関わった名曲を演奏してみたシリーズ


竹宮恵子「夏への扉」メインテーマを弾いてみた 羽田健太郎作曲:楽譜つき

 


竹宮恵子「風と木の詩」イメージアルバムより セルジュのテーマを弾いてみた

風木のイメージアルバムでピアノを担当したのはたぶんハネケンです。楽曲もハネケンっぽさ全開で、「夏への扉」に通じる、爽やかでロマンティックなピアノインストです。作曲者としてクレジットされている横山菁児先生がハネケンに絶大な信頼を寄せていて、かなり仕事を手伝っていたということなので、実質的にハネケンの作品ではないかと思います。

*1:富野さんのイデオンほか、この世代のクリエイターは2001年の影響が大きい。