スペルビアの原罪の巻

マンガ技術から見るタコピーの世界【タコピーの原罪】|scop00

またまたブレイバーン考察だっピ!

ブレイバーン第10話を見ていて、というか、いままでのブレイバーンを振り返っているうちに、スペルビアおかしいよな?というかスペルビアが救われなさすぎだ!おまえなんでこんなに優しいんだよ!って思ったので、大慌てでこのエントリーを書いてるっピ(今夜放映される11話でネタバレが来てもおかしくないっピ!)

<スペルビアのおかしいところ>
1.デスドライヴスにも関わらず希死念慮が見られない。
2.しかしブレイバーンに推して参ることに異様な執着を見せる。
3.ブレイバーンなら自分を死に追いやってくれるから、というわけでもないことは10話冒頭の未来の話を見ればわかる。ただ純粋に推して参りたいだけ。
4.10話冒頭の未来の話はスペルビア的にも実はものすごく怖い。なぜなら太陽系が消滅して人類が滅んでもスペルビアは永遠に生き続けるしかないから。スペルビアの未来には絶望しかない。
5.この絶望を一切語らずル↑ル↓を過去に送り出すスペルビアすごく泣ける。
6.とにかくスペルビアはブレイバーンと推して参りたい。その理由はわからないけど、おそらくスペルビアの奥底にあるゴーストがそうせよと彼に叫び続けている。なんなんだよ、これ!(CV:鈴木崚汰

またループもののお約束のお話をしますが、特異点を消さないとループは終わらないのです。ブレイバーンの最大の特異点はブレイバーンそのものなので、ブレイバーンには消えていただかないとこの話は終わりません。これは確定事項です。そもそもブレイバーンが生き残った先は未来のスペルビアと同じで、永遠に地球を見守る神になるしかありません。気の遠くなるような長い時間の流れの中でブレイバーンはかつてヒトであったときの名前を忘れてもなお、イサミへの想いを抱えて永遠に生きるのです。美しいですね。

でもそんな昭和時代のBLみたいな終わり方はダメです。ちっとも勇気爆発してないです!!

スペルビアは理由はわからないけど、とにかくブレイバーンと推して参りたい。
ブレイバーンは何度もスペルビアと推して参っているという認識でいる。

いったいどういうことだろう?

 

こういうことじゃないかな。

せーにん on X: "#勇気爆発バーンブレイバーン 第5話 スミスとイサミが拳で語り合うお話。 互いに抱えてたものを全部吐き出して分かり合うという  なんか河原で殴り合う青春をしていました。 もう半分ぐらいボクシングアニメだよこれ。 …普通に良い話のはずなのにたまに ...

つまりスペルビア=イサミ。

ねじれたループのどこかでイサミがスペルビアに取り込まれる世界線があった。目的はスミスをブレイバーンから取り出すため。何度もループしているうちにスペルビアはイサミだったときの記憶を無くしてしまい、ブレイバーン=スミスと推して参りたいという気持ちだけが残った。

この仮説を元にスペルビアの描写を見ていると、イサミと共通する要素が提示されていることに気づきます。勇気に関わる部分です。とりわけ10話の冒頭で「あの頃の我に勇気があれば」というセリフ。デスドライヴスのくせに勇気なんて言葉を口にしていたのでブレイバーンやルルに影響されているなあ、と思ったのです。でもスペルビアのメンタルがイサミだとすると、こういうことをいうのも理解できます。

 

以下は「双炎の肖像」の歌詞からの引用です。

(スミス)果てるなら 語り合うまま
(イサミ)護るなら 己を捨てながら

捨てちゃったんですねえ。

(スミス)君がいま 闇の中 戦えるなら
(イサミ)その姿 その声が 輝くのなら

スペルビアが記憶を失ったイサミだとすると「闇の中」という言葉の説明がつきます。(この言葉が謎でした)

ラストバトルはブレイバーン対スペルビアで確定だと思います。そしてどちらも消えるでしょう。たとえスペルビアがイサミでなかったとしても(←予防線を張っておく)、そうしてほしいです。生き残ったら永遠に生き続けなければならないからです。ブレイバーンとスペルビアが対消滅して終わるのが最も美しい終わり方なんです。そしてイサミとスミスが再会する。こういうベタな展開でいいと思うんですよね。

もう一つの世界線は、スペルビアもスミスだったというものです。
これは単純に、上記のボクシングの絵でイサミが赤のグローブをつけ、スミスが青いグローブをつけていることからの連想です。赤はブレイバーンのメタファーで、青はスペルビアのメタファーです。こんなわかりやすいことをやるかなあ?という気もします。そもそもスペルビアもスミスだとすると、スミスの掌中で話が進んだことになり後味が悪いです。ただ、特異点自身や特異点を生んだ人物の掌中でストーリーが展開されるのはループ系作品のお約束(注)という話もあり、スミス=スペルビア説も捨てがたいところがあります。

とはいうものの、この番組は常に視聴者の想像を上回ってくるので、以上の妄想とは別の展開になりそうな予感しかしません。

 

※注解
超時空世紀オーガス:主人公であり特異点の桂木桂は、自らが特異点であることを徹底的に満喫する尖った展開でした。もう一人の特異点であるオルソンはそんな桂木と対立します。最終的にはループの開始点に戻って、原初の二人を消去することでねじれたセカイを分割します。ところが特異点たちは並行世界でさまざまな人生を謳歌するという楽天的なエンドとなり、結局のところ桂木桂の掌の上で話が進行していたことが暗示されて終わります。
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