宇宙戦艦ヤマト完結編BGM「ユキ」を演奏してUPしましたの巻

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ヤマト2202の森雪っていいなと思ったので弾きました。
最速先行上映会を見終わった後で猛烈にこの曲が弾きたくなって採譜したんですけど、本公開を見たら「大いなる愛」を弾きたくなってしまい、そっちを優先しました。

動画コメントの通り、羽田健太郎氏による「宇宙戦艦ヤマト音楽全集」(楽譜集)付録の模範演奏を耳コピして、少しアレンジしています(最後をメジャーコードにした)。いつも採譜したあとは自分なりに表現をつけて弾いてますが、今回はハネケンの演奏をできるだけ忠実に再現してみました。いつもより左手のタッチが強くて押しが強い演奏になったと思います。

 

 

さらばヤマトを否定するのではなくアンサー作品だった宇宙戦艦ヤマト2202の巻

もしくは、福井晴敏のいい仕事を見させていただいた宇宙戦艦ヤマト2202の巻。ネタバレ全開でいきます。

おそらく福井氏はガンダムイデオンほどにヤマトに思い入れがあるというわけではないのです。なにしろヤマト2202の舞台挨拶でも口を開けばガンダムイデオンですから。でも、それゆえ客観的目線でヤマト2202に対していることが当初より発言の端々から伺えたので、整合性が取れないことはやらないだろうとは思っていました。たしかに序盤は演出がギクシャクしていて緩急も良くなかったのですが、13話もかけて丁寧に波動砲問題を取り扱ってリアリティのある落とし所へ持っていったので、後半も大丈夫だろうとなんとなく思ってました。

さらに、ヤマト2199で謎だったデスラーの行動に対して後追いで理由付けをして、森雪の記憶喪失ネタも改めて焦点を当てて回収しようとするなど、先人に対するリスペクトが半端ないし、ドラマの伏線を丁寧に追っている姿勢が伺えました。

さらにさらに、20話でゴレムというガトランティスに対する決定的な軛(くびき)*1が登場したので、これが発動してガトランティス全滅エンドもしくは桂木サーベラーがズォーダーの精神を浄化させるエンドになるだろうと思っていました。それに22話まで各キャラが全力で生き残る路線を突っ走っていました。
だから、さらばエンドにはならないと思ってたんです。

でも、そうなりませんでした。もっとひどかった。もっとすごかった。
という話を書きます。(以上が前置き)

ヤマト2202には1974年の宇宙戦艦ヤマト第一作と、さらばヤマトの両方に対するアンサーが含まれています。実はこの2つの作品では重要なテーマが置き去りになっていました。

1.第一作の置き土産
第24話「死闘!!神よガミラスのために泣け!!」のラストシーン、いままで何度もこのブログで書いてますが、このエピソードの終わりで波動砲を使ってガミラスを滅亡に追い込んだ古代が「我々は戦わずに愛し合うべきだった」と嘆きます。でも実際にどうすればいいのかは描かれませんし、「イスカンダルに行こう。ほかにどうしようもないから」という、痛みを残す形になります。*2

2.さらばヤマトの置き土産
ラストシーンで星になって結婚しようという古代と雪の前にテレサがあらわれ、「ありがとう、古代さん。私はあなたの中に勇気と愛の姿を見せて頂きました。あなたのお陰で人々は目覚め、より美しい地球と宇宙のために働きだすでしょう」と語り、ヤマトとともに巨大戦艦に特攻します。これでさらばヤマトは終わりですが、本当に人々は目覚めるんでしょうか?美しい地球ってどういうことでしょうか?何も描かれないまま「ヤマトより愛をこめて」が流れて終わります。

このあたりのとても重い命題(というか宿題)に対して、真摯に向き合ったのがヤマト2202だと感じます。

・人は戦わずにわかりあえるのか?

ガンダムでも出てくる「人はわかりあえるのか?」という命題です。リメイクヤマトシリーズ(ヤマト2199、星巡る方舟、2202)では一貫して古代は異星人ともわかりあえるというスタンスを貫いていて、2202においては引き金を引かない古代のキャラクター像につながります。これがお花畑だと揶揄されたりするわけですが、2202の第23話で決定的な場面がやってきます。この場面の描き方がいいのです。みんなわかりあえるよね、とか、わかりあえるはずだ、とか、ララァにはいつでも会いに行けるから、とか、全員死んで転生してハッピーバースデー、といったかりそめの希望を描きませんでした。

ガトランティスは1000年も思考停止していたけど、考えようとしなかっただけだった。自分たちは、自分たちのことを何もわかってないんじゃないか。そして戦わないで済む方法があるというなら、ここで立ち止まってみてはどうだろうか。

こういった現実な落としどころへ着地します。
そもそも人間は別々の魂を持つ異質の存在なのだから、軋轢や争いが生じるのは当然です。愛し合うことはできないとしても、それでも一線を超えずに踏みとどまる勇気を持って、お互いに折り合いをつけられるように努力しよう、ということです。これは福井氏がガンダムUCやNTで描いたニュータイプ観や、違う魂を持つ人間も死ねば1つになってわかりあえるといったイデオンや旧エヴァ的な死生観とは本質的に異なっていて、リアリティと説得力がある着地点だと思います。
こうして第一作に対するアンサーが示されるのですが、残念ながらこの着地点は無残にも瓦解し、やはり人は戦うしかない、しかもどちらかが滅びるまで戦いは終わらないという悲劇的な結末、つまり「さらばヤマト」のルートへと舵を切ります。この痛ましい展開には、とてもヤマトらしさを感じました。

さらば宇宙戦艦ヤマト。その後の地球は、人はどうなるのか?

ヤマト2202第25話のサブタイトルが「さらば宇宙戦艦ヤマト」です。そして26話が最終回、つまり、さらばヤマト後の世界が描かれます。これは見ていただくしかない話です。初見のときは、なんだこりゃ、と面食らいました。でも人々が「より美しい地球と宇宙のため」の選択をしたとしたら、このエンディングになるのも理解できます。実際にはそうならないかもしれないし、ヤマトならではのロマンティックな後日談ではあります。でもその一方で、さらばヤマトでのテレサの言葉は40年の時を経てここに成就したと思って胸がいっぱいになりました。

※余談
真田さんは「古代進は、あなたです」と観客に向かっても言っているのですが、これは古代と同年代以下の若い人でないと響かない言葉ではないかと思いました。30代以降になると「私は芹沢です」という人のほうが多いと思います。実際、自分がツイッターでフォローしているヤマト好きの人たち、特に旧作世代の40代後半~50代の人は芹沢容認派がすごく多いです。大人はしがらみから逃れられないのよね。そんな大人目線だと、ヤマト2202の終わり方はファンタジーに過ぎないのですが、アニメの世界くらい夢を見てもいいと思うんですよ。そういうヤマトファンが見た夢を具現化した最終回だったと思います。第六章まで出番が少なかった森雪がしっかりヒロインの座に戻ってきたのも嬉しかったです。時間断層の決着もつけてくれると思っていましたが、人が自分たちの意思で決着の付け方を選ぶという展開はカタルシスがありました。しかもそのときのBGMが「Great Harmony」です。奇跡は起きるものではなく、ヤマト、大いなる和が奇跡を起こすのです。こりゃ泣けますよね。そして最後は愛を知った人間・ズォーダーのナレーションで終わります*3。最後まで抜かりのない、福井さんのいい仕事でした。
初見のときはこの最終回の流れが納得できなかったのに、2度、3度と見るにしたがって腑に落ちていくのが面白いです。

以上でヤマト2202の感想は終わりです。
でも音楽については、まだまだ書きたことがいっぱいありますし、いろいろ演奏したいと思っています。

*1:人物や動物を束縛する事象や道具のこと

*2:その後のさらばヤマトで描かれた古代の愛は「自分が信じる愛のために、断固として戦う」というものに変質していたので、けっこう批判がありました。別人になっているわけです。

*3:コメンタリーによるとあのズォーダーは若い頃のメンタリティに戻っているとのこと

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章 BGM「大いなる愛」を演奏してUPしましたの巻

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賛否両論あるヤマト2202第七章ですが、私の感想はこの演奏で表現したつもりです(かっこつけ)
このアレンジは1985年に発売されたヤマトの公式楽譜集のオマケでついてきたカセットテープから羽田健太郎氏の見本演奏を耳コピしたものです。公式楽譜の10倍くらい音が増えてますけど。なおYAMATO SOUND ALMANACシリーズの「ピアノが奏でるヤマト・ラプソディ」というCDに収録されています。

いつもは自重して左手をセーブした演奏をしているのですが、ハネケン自身がかなり左手を強調していたのでラストは一切セーブしないで思い切りフォルティッシモでピアノを鳴らして気持ちよく弾かせていただきました。

ヤマト2202については書きたいことが山ほどありますが、そんな暇があったら劇伴を弾いていきたいです。そのくらい音楽が良かった。

大友克洋「童夢」イメージアルバム、35年を経てついにCD化の巻

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1980年代にアニメ音楽系レーベル主導で漫画の音楽アルバムがたくさん作られていました。漫画作品のイメージアルバムについてはこのブログではすでに何度か書いていますが、レーベル主導の制作はお決まりの粗製乱造を招き、OVAの台頭もあってイメージアルバムというジャンルは衰退します。そんな中にあって、このアルバムは作曲者が原作者に企画を持ち込むという形で作られた異例の作品です。イメージアルバムからOVAへ転換する1年前の1984年にリリースされています。

このアルバムは基本的にはエレクトロなロックサウンドで作られていて、テクノっぽい要素もあるので当時YMOやJapanが好きだった自分はかなりハマりました。でも、ある程度オトナになったら、わずかに入っているアコースティックな曲の良さに気づいてこんな曲をコピー演奏しています。

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原作の「童夢」も長らく絶版で入手困難ですが、これを期に再版していただきたいと思います。大友克洋先生の初期の傑作です。

DISC UNIONで予約するとレコードジャケットの帯がつくそうですw

 

体調不良中の巻

昨年末にひいた風邪と同じようなタイプの風邪にかかってしまいダウン。今回はしっかり発熱して辛かったです。ようやく復活してきました。

花粉症も出ているはずですが、風邪の症状でマスキングされてしまいよくわかりません。今年度は比較的体調が良くて、夏も無事に乗り切ったのに冬になってからガタッと弱くなってしまい残念極まりないです。

でも嘆いていても仕方ないので、切り替えていきましょう。
とりあえず超人ロックの新刊(ガイアの牙2巻)が週末に出ますし、別エピソード(鏡の檻)の4巻も4月末に発売決定でさっそく年間4冊ペースに戻りそうです。聖先生はどうか無理せず、がんばってください。

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章 新星篇 最速上映に行ってきたの巻:ネタバレ注意

※できるだけネタバレを避ける方向で行きますが、ま、ちょっと覚悟はしておけ。

すべての予想を覆しとのことでしたが、ガンダムNTと同様に根幹となる設定にイデオン的な要素があり、改めてテレサがイデと同じような存在だと思えてきたところで見たので、いろいろびっくりすることが起きても「まあ、そうなるよな」と納得できる範囲におさまっていました。

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ただ、細かなところでは予想を覆されています。たとえば23話(冒頭)のデスラー回です。自分は古代vs.デスラーという関係にはあまり興味がなくて、この23話も期待していませんでした。意地の悪い見方をすると2202のデスラーは2199で残った伏線の回収要員にすぎないキャラといえますし、ただの士官である古代と星間国家の総統が好敵手という旧作の関係性もありえなさすぎなのです。だからこの二人を描いたら絶対に白けると思っていました。キーマンvs.デスラーのお家騒動を描かれるのもイヤでした。

ところが今回は古代vs.デスラーという対立軸を描かず、お家騒動では総統が見事な挟持を見せつけ*1、その後は物語が予想外の方向へ転がります。結果としてここが2202における最大の転換点となっただけでなく、第一作の第24話に対するアンサーにもなるという神回に化けました。特に古代に対するデスラーの視点が適切なものになっていたことが高く評価できます*2
自分はヤマト第一作の第24話「死闘!!神よガミラスのために泣け!」でヤマトが徹底的にガミラスを破壊しつくしたあとに、古代が泣きながら「愛し合うべきだったんだ」というシーンが大嫌いなんですが、あれから45年を経てついに総括されました。人類は、やられたらやり返すを永遠に続けていいのか。1000年も愛を憎み続けてきたガトランティスは変われるのか。この回が全ヤマトシリーズの中でベスト1といっても過言ではないです。内山くん、山寺さんの演技も見事でした。泣けました。

あとは、滅びの方舟との戦いがあってエピローグで終わりですが、23話があまりにも良かったので尻窄みに見えてしまいました。それだけ自分の中で旧第一作のシコリが大きかったということです。戦闘の迫力はすごいし、新しいギミックや昔のギミックまで登場するまさに総力戦で、ドラマチックな展開だったんですけどね。

そして主要キャラがまんべんなく伏線を回収していく中で、モブが印象に残りました。モブ兵士は容赦なく死ぬし、モブに撃たれて死ぬ奴もいるし、ガトランティスにおびえるモブもいれば、ヤマトに希望を見出すモブもいます。そういう名もない市井の人々の丁寧な描写が、大いなる和を象徴するラストシーンへつながったように思いました。

*1:この挟持に説得力を持たせるために、デスラーやキーマンの過去の描写があったと考えられる

*2:旧作はプロデューサーがデスラーを好きすぎて変な思い入れがあったらしい

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち BGM 「想人」を演奏してUPしましたの巻

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明日はもう第七章の最速上映会なんですけど、そのまえにどうしても弾いておきたかった想人の2202バージョンです。

第9話で使われた曲をもとにピアノソロにアレンジしています。もとの演奏がとてもエモーショナルだったので自分も負けないように魂を込めて弾きました。

盛り上がるところが鬼の難易度なので多少弾きやすくしたバージョンの楽譜を乗せておきます。なんとか弾き切れましたが、だめならこっちを弾くつもりでいました。

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ossia

(マニアックな話)

演奏しているのはヤマハMONTAGEなんですけど、例の光るノブでリバーブが変えられるので、冒頭と最後だけたっぷり長いリバーブをかけて余韻を作ってます。