プロコフィエフのピアノソナタを弾いてみたの巻(たぶんその1)

数年前に、ユリアンナ・アヴデーエワが弾いてたプロコフィエフソナタ2番が良くて、なんとなく弾けそうだったので、それ以来プロコフィエフソナタをちょくちょく譜読みしています。プロコフィエフはわかりにくいと思う人が多い作曲家で、その中でもポピュラーとは言い難いソナタに取り組んでいるアマチュアピアノ愛好家は少ないと思います。その現状を打ち破るべく、プロコフィエフソナタシリーズを書こうと思います。*1

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  1. ピアノソナタ1番 Op.1
    単一楽章形式で演奏時間8~9分。ちょっと(いやかなり?)ロマン的。演奏難易度もそこそこ高いし、音符が多く譜読みは苦労します。プロコフィエフソナタ初挑戦にこの曲を推奨している人を見るのですが、いきなり5分以上の曲を弾くのは自分には無理でした。
    Op.1ということで習作と思われるかもしれませんが、改作されていますし楽曲としての完成度はとても高いです。
  2. ピアノソナタ2番 Op.14
    四楽章形式で演奏時間20分弱。各楽章ごとに曲想がはっきり分かれていますし、ずっとニ短調の調性感が維持されるので、プロコフィエフとしてはかなりわかりやすい曲です。第一楽章はクロスリズムが少し面倒。第四楽章は音域が広く(右端の方まで使う)、弾いていて楽しいです。全体として簡素な書法で譜読みしやすく、ソナタアルバム2に入っている人なら手が届きます。
  3. ピアノソナタ3番 Op.28
    これも1番と同様に単一楽章形式で、かなり演奏困難です。でも6番や7番ほどではない。ポリフォニックな書法が使われていることもあり、この曲は自分はまだ無理だと判断しています。
  4. ピアノソナタ4番 Op.29
    まだ見ていません。
  5. ピアノソナタ5番 Op.38/改訂版Op.135
    三楽章形式で演奏時間15分程度。第一楽章はソナタというよりハ長調ソナチネという雰囲気の始まり方ですが、展開部はしっかり現代的になります。難易度はソナタアルバム1相当です。第三楽章はソナタアルバム2相当ですが、なにしろハ長調で譜読みしやすいので、プロコフィエフ初心者にもおすすめです。ただ10度和音の連打が出てくるので、手が小さい人はうまく切り抜けてください(汗)
    初版と改訂版があって、改訂版のほうが難しいです。
  6. ピアノソナタ6番 Op.82
    四楽章形式で演奏時間は25~6分程度。大作ですし、作品番号が飛んでいることからわかるように、5番までとは段違いに音楽の密度が高い名曲です。第一楽章が長くてとても難しく、専門課程で勉強している人でも苦労しそうですが、第二楽章以降はアマチュアでも手が届きます。ドラマティックな第四楽章も意外と弾きやすいです。このソナタは正攻法というか、真正面から音楽と向き合うように書かれていると思いますし、自分はプロコフィエフの楽曲の中で最も好きな曲です。6~8番の一連のソナタの中では古典的で、調性感もしっかり残っています。
  7. ピアノソナタ7番 Op.83
    7番以降は相当な上級者向けなので割愛します。7番は完成度が高く、よくこんな曲を作れるなと本当に感心します。有名なフィナーレにしても、終盤に出てくるドッペルドミナント変ロ長調なのでドミソ和音になる)がひときわ印象的で、そこからなだれ込むように終止に至るのがきわめてドラマティックな展開だと思います。

 

*1:例によって予定は未定ですが。

THE IDOLM@STER SideM 3rd LIVE TOUR 〜GLORIOUS ST@GE!〜 day1 の巻

アイマスSideM 3rdライブ1日めのライブビューイングに行ってきました。今回は映画館の最後列でずっと座って見ていました。後ろから他の人のコールが聞こえないので盛り上がり感に欠けるものの、落ち着いて見れて良かったです。

アニメを受けてのセットリストになっていたので、メインはJUPITERとその他アニメに出たグループで、ほかのグループは1曲ずつでした。Alice and GuiltyからのBrand New Fieldという流れもアニメに沿っていて、バックの映像もアニメに使われたライブ用映像が流れるなど、アニメの再現を意識した演出でした。

自分の担当のFRAMEが全然出てこなかったので(最後のほうだった)、なにかトラブルがあったんじゃないかと少し心配になりましたが、MISSION is ピースフル!をしっかり振り付きでやってくれて大いに盛り上がりました。しかしみんな歌うまくなったなー。最初口パクじゃないかと思ったくらいです。

次は今月25日の仙台公演です。現地で見ますが、さすがに立ちっぱなしはつらいので、身障者席を利用させていただくつもりです。

仙台公演は下の動画の3グループが出ます。もうラブソングとか聞く歳でもないのに、ミスチル調の1曲目は刺さりまくっていて、今から期待しています。


THE IDOLM@STER SideM 3rd ANNIVERSARY DISC 02 FRAME & もふもふえん & F-LAGS 試聴動画

 

ちなみに2年前に出たCDが下の動画で、ニチアサ調の曲がすごく気に入ってます。


THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE-08 FRAME 試聴動画

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第四章 天命篇 舞台挨拶に行ってきたの巻

27日の新宿ピカデリーと、28日のユナイテッド・シネマわかばの舞台挨拶に行ってきました。

ピカデリーの件はネットニュースにもなっているので割愛します。

ユナイテッド・シネマわかばの方は、舞台挨拶に立ったのが羽原監督と福井晴敏さんの二人だけということもあって、制作内情なども聞くことができました。13話は斉藤が第一艦橋にいて「どけ古代!俺が撃つ!」って割り込んで、キーマンが斉藤をブン殴ってから例の台詞になるという案も考えていたそうで「昭和だよね」と福井さんは言ってたんですが、なにそれ見たい、って感じでしたw

あと予告編でも出ている機動甲冑が外からヤマトを支える件は副監督の小林さんのアイディアだそうです。福井さん的には「機動戦士のあのシーンみたいになるから」(一同笑)という理由で躊躇したそうですが、旧作のセリフの回収もできるし、艦橋のメンバーだけでなく全員でヤマトなんだということをビジュアル的にも印象づけた名シーンになったと思います。

デザイン画が公開された時点では不評もあった機動甲冑の評価が、第四章の公開で180度変わったのが笑えます。福井さんは一貫して「機動戦士」「モビルスーツ」と自虐していましたが。枝松聖さんという方が機動甲冑のディテールアップ作画を担当していて、こまかな汚しやキズなど丁寧に描かれていますので、ブルーレイでご確認いただければと思います。素晴らしい仕事だと思いました。

 

呪縛を乗り越える覚悟を示す宇宙戦艦ヤマト2202 第四章 愛の戦士たち 天命篇の巻

波動砲の呪縛。

ファンの間では昔から言われていたそうですが、宇宙戦艦ヤマトは第一作では波動砲を撃つ対象が人間以外で、その使用も限定されていたのに、「さらば」でいきなりゴーランド艦隊を波動砲で殲滅して以降は、便利な大量破壊兵器としてバンバン使われるようになってしまいました。復活篇では6連波動砲などというものまで登場してしまいます。

そんな波動砲は、リメイク作品であるヤマト2199の終盤で封印されます。封印がなかったとしても、ヤマト2202で無邪気に撃つわけにはいかなかったはずで、何らかの制約は必要だと思いますが、都合よく封印されたので福井晴敏さんはこの設定を使って大きなドラマを仕掛けたのだと思います。それが13回もの話数をかけた、波動砲封印の呪縛からの解放劇です。

どのようにして呪縛が解かれるかは、ぜひ見ていただきたいと思います。すでに多くの人がその場面で感動したことを伝えていますし、私自身も最速上映会の感想でそれらしいことを書いています(笑)

 

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これは当然、旧作にはない展開なので劇伴(BGM)も新曲が用いられています。ヤマトのモチーフ(ヤマト主題歌冒頭の音)から始まっていますが、ヤマト2199で見られたような主題歌の変奏曲ではなく、まったく新しい楽曲として作られています。ぜひご覧になって、聞いていただきたいと思います。何度見ても泣けるシーンです。

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劇場版 マジンガーZ INFINITY 感想の巻

(大人の)東映まんがまつりでした。

自分はロボット自体は割とどうでもいいと考えていますが、CGなのに手描き風のタイミングで動くのは気持ちよかったです。スピーディな動きと巨大感のバランスもよかった。あとエフェクト関係がヤマト2199/2202っぽいなと思ったら、橋本敬史さんが参加しておられました。

永井豪作品なので、相変わらずキャラが色っぽくてドキドキしました。シャープな描線も好きなんだよな~。自分の性癖の減点を再確認できました(笑)

デビルマンのうた on DEVILMAN crybaby の巻

微妙にサビのメロディが違ってたので解説しよう。

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オリジナル・デビルマン和声的短音階のほうが終止感が強いので哀愁感が前面に出てきますが、DEVILMAN crybaby旋律的短音階は終止感が弱まってスタイリッシュな印象を与えます。半音ですけど、けっこう大きな差があると思います。

実は昨夜からずっとこのメロディを反芻していて、和声的短音階のほうが好きだなと思っていたんですが、crybabyの旋律的短音階も現代的で悪くないし、作品には合ってるんじゃないかと思いました。

これにて一件落着~。

 

DEVILMAN crybabyの巻

泣き虫デビルマン

年始からツイッターのTLを盛大にざわつかせた作品です。ようやく見ることができました。途中何度も泣けました。素晴らしいです。

デビルマンのアニメで印象に残っているのは、1987年のOVA版です。粗製乱造OVAの反省からか、非常に丁寧に作られた作品でとても感動したことを覚えています。ただ誕生編とシレーヌ編の2本だけだったのが残念でした。

そこから30年経過して(白目)今回のcrybabyですが、オリジナル要素はあるものの全体の流れは原作漫画の通りで、しっかり完結します。オリジナル要素の多くは、唐突感のあったラストの展開にうまくつながるように追加したエピソードや、現代に合わせて改変したものになります。

この作品は最初から最後まで「愛とは、他者を思いやること」という主張が貫かれているので、テーマとしてはわかりやすいと思います。子供の頃から他者のために涙を流す明は、デビルマンになってもそれは変わらない。その一方で、涙なんか流したことがない了という対比です。

個々のエピソードだと、ミーコのキャラ立ちが極めて素晴らしくて印象に残ったのと、ゲイの高校生ランナーの件が切なくてよかったです。圧倒的な悪魔の力を見せつけられて愛を捨ててしまうデビルマンもいますが、それもまた人間的な打算だと思いました。

あと声優の演技がすさまじくいい。内山昂輝不動明)も熱演だと思いますけど、村瀬歩飛鳥了)がとてつもないポテンシャルを発揮。これは彼の代表作になったと思います。

劇伴は「聲の形」の音楽を担当した牛尾憲輔さんです。最終回の最後に流れた「crybaby」が素晴らしかったので弾きます。