特異点ルルの巻

ブレイバーン考察です。

下記の日記で「ブレイバーンの中の人がスミスであることをルルが認識している」と書きましたが、まさか未来のルルが時間遡行していたとは思いませんでした。そのへんのオタクの雑な考察を上回ってくる公式には参りますね。これで暁美ほむらが2人+1体(クーヌス)になってしまいました。

harnoncourt.hatenablog.com

ルルの時間遡行はブレイバーン化したスミスとは様相が違い、未来のルルの人格が現在進行系のドラマの中にいるルルを上書きしてしまいました。

ブレイバーンは時間遡行していることをさんざん匂わせてから満を持してネタバラシしたのに(したので)、ルルは第10話開始から5分で遡行してます。Aパートの半分にもならないタイミングです。こうやって書くと展開が早すぎるように見えますけど、そんなに急いでいないように見える演出がうまいと思います。デスドライヴズ殲滅後の世界がどうなったとか、自衛隊や米軍のメンバーのその後のエピソードを一切出さないのがポイントです。思い切って情報を切り捨てています。これはブレイバーンの演出の最大の特徴だと思います。最初の部隊をハワイにすることで外界と隔絶した状況を作り出し、途中で日本に戻って少し内地の様子を伝えてから、最終決戦はまたハワイで隔絶させてしまう。こうして視点を限定することで、濃密なドラマを描くことができていると感じます。

10話までで匂わせ要素に関しては概ね説明がなされたのでもうこのまま終わってもいいと個人的には思います。近年の日本のドラマは背景要素を全部説明してくれる親切な作品(これは視聴者を信頼していないことの顕れでもある)と、エヴァのように最小限の情報提供に留める作品(視聴者に想像させる)に大別されますが、ブレイバーンは前者だと思います。大張監督は「いろいろ想像してもらって良い。全部が正しい」というスタンスではありますが、その一方で作品としては決して匂わせでは終わらせないといポリシーを貫いていると感じます。

しかし、まだ解消していない伏線と思われる要素がオープニングやエンディング中にいくつかあります。

1.ルルの手に埋め込まれた謎の金属
オープニングでデスドライヴズたちの影が登場する場面でこのパーツと同様な形(ルルのカプセルを取り込む場所)が光ってます。まだなにかありそうな予感がします。

2.破壊されたライジングオルトスとイサミ
ライジングオルトスはブレイバーンの素体にもなった重要なTSです。オープニングに出てくるこのカットはただのイメージだと思ったのですが、大張監督によると重要な伏線とのこと。


3.推して参るブレイバーンとスペルビア
最終回はこの展開になりそうな予感です。


4.スミスとイサミ
状況描写的に2のあとに続いていそうな場面です。これも伏線?

5.エンディング
半裸の理由も最終回まで見ればわかるという話ですがほんとか?舞台の上でやっているので、戦勝パーティの余興だったりする可能性もあるのかもしれない、と思ってますw

 

おまけ:バイクに乗った佐竹氏
大張監督がサタケさんが好きだから2カットも出したそうです。特に伏線はないでしょう(あったりして)

大張さんといえば、10話アバンで登場する破壊されたブレイバーンの原画は大張さんだと思います。鉄血のオルフェンズ最終回での破壊されたガンダム・バルバトスのすごい絵を思い出しました。

ルルの原罪の巻

ブレイバーンの話だっピ。

壮絶な戦いの末、デスドライヴズとブレイバーンは相討ちになったっピ。地球に平和がもたらされたけど、イサミもブレイバーンも死んでしまったっピ。しかもブレイバーンはスミスだったっピ。わたし2度もスミスを死なせてしまったっピ。こんな結末、認めないっピ。ブレイバーンのコアを使って時間を巻き戻してやりなおすっピ。

まずはイサミが一人で突っ走るのを止めなくちゃ。

佐竹のおじさんから習った絞め技で落としたっピ。パイスー脱がせてスミスの部屋に放り込んだから時間稼ぎできるっピ。いまのうちにおじさまに乗らなくちゃ。

(乗れました)

これでイサミもブレイバーンも死なせずにデスドライヴズを倒せるはずだっピ。

もし失敗したら未来の人類も全滅になるかもしれないけど、またやり直せばいいだけだっピ。

 

ルルのこんな暗黒面を微塵も感じさせない演出がすごいっピ!

特異点ブレイバーン(ルイス・スミス+クーヌス)の巻

ブレイバーン考察です。

ブレイバーン9話のネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

まずループ系作品の特徴をおさらいします。時間を巻き戻せる人はループした多重セカイの特異点になり、特異点を消さない限りループから抜け出せない。これがSFのお約束です。ループものを明確に描いた初期の日本のアニメが1980年代に作られた超時空世紀オーガスうる星やつら2ビューティフル・ドリーマーです。近年だとシン・エヴァンゲリオン劇場版が該当します。

エヴァは旧劇場版のラストシーンで特異点碇ユイ碇シンジ)が生存しているのでやり直し可能です。シンエヴァはそれを打開するためにいろいろな人や勢力が動くお話で、最終的にはシンジが自分自身を抹消しようとする→ユイが肩代わりする→ユイが消えると息子であるシンジも当然消える→消え去る前にマリが違うセカイに連れ出す→実はこれがユイとマリの計画でした!という形になりました。ここまでに何度もやり直しているらしいことは、マリやカヲル(カヲルは明らかにループを認識している)が最初から達観しているのと、シンエヴァのラスト近くでマリがイマジナリーなセカイからシンジを連れて脱出するときに「やったー!」と大喜びしていることからもわかります。

ブレイバーンも当然、何度もやり直していると思います。やり直しているのは主にクーヌスでしょう。彼女(?)は満足できる最期が迎えられなかったら、やり直せば良いのです。真っ先に母船を破壊しているのも、あれがデスドライヴスにとって特異点であるからです。クーヌスのループはおそらくこんな感じです。

1:ブレイバーンが現れず早々に人類滅亡。これを何度かやり直す。
2:何度かやり直すうちにスミスと相討ちになるルートに突入する。しかし母船で再生してしまうのでやり直し。ここでスミスに目をつける
3:母船を破壊してからスミスと相討ち。しかしクーヌスと融合したスミスがやり直し。
4:アニメの展開に突入。この時空のクーヌスは満足できる最期を迎えられるので、スミスのやり直しを阻害せず何度もスミスとともにループする。

さて、問題は現在放映中のアニメです。おそらく、ループから離脱するエンドになると推測します。つまりブレイバーンは消滅することになります。

現在のアニメの展開でそれまでのループと違ってくる要因は、おそらくルルだと思います。ルルは最初からブレイバーンの正体がスミスだということを本能的に気づいていて、9話でそれが確信に至ったと思われます。ルルは、スミスをブレイバーンから(=ループから)救い出そうとするでしょう。ただスミスの肉体はすでに消滅しています。どうするのか、今後の展開が楽しみです。

ババーンと推参!バーンブレイバーン/双炎の肖像の巻

TVアニメ「勇気爆発バーンブレイバーン」 ババーンと推参!バーンブレイバーン/双炎の肖像 - EP - ブレイバーン(CV.鈴村健一)/イサミ・アオ(CV.鈴木崚汰)/ルイス・スミス(CV.阿座上洋平)のアルバム  - Apple Music

ブレイバーンのOP/EDのCDです。ヨドバシ.comで予約して無事フラゲしました。

音楽マニア的にはいろいろ気になるところがあったのですが、結論からいうと、予算をかけてない制作ということがわかりました。大張監督がCygamesがかなり予算を出してくれたというような話をしていたので多少の期待はあったので少々残念です。

具体的にどのあたりが低予算か(というかセコい)というと、

金管楽器がトランペット、トロンボーン2本ずつ。ホルンがないのは低予算ならでは。
・コーラスがたった2人(!)
・ストリングス(弦一徹ストリングス)はヴァイオリンだけ多そう。

気になる人はこのあたりの情報をインプットした上で聞いてみましょう。

なお楽曲自体は、とにかくフルで聞け!以上です。

アレンジはシンセサイザーが存在しなかった時代の戦隊ものオマージュということが大きな特徴になっています。上モノはストリングスが中心になります。ホルンが無いので、よくわからない音(後述)が中域で鳴ってます。またロック方向にならないようにギターは控えめです。


1.ババーンと推参!バーンブレイバーン

イントロのシ・ミ・ラ・レと上がるストリングスからヴァイオリン8人が確定します。(4人で2回演奏した可能性もあり)。いずれにしても、けっこうな大編成です。ドンドコ鳴ってるパーカッションは私も使ってるプラグイン音源だと思います。ブラスアレンジは振り切り&割り切っていて、トランペット2声、トロンボーン2声をオクターブ配置で単純化することで、スピード感を出しています。

そしてバーンバーンババーンブレイバーン!のあとのインスト部分がすごく重要です。ここでチェロとヴィオラの刻みが聞こえます。ヴィオラが聞こえるのは珍しい。またトランペットがH音まで到達します。ボーカルの鈴村さんブレイバーンの意見でキーを下げたそうですが、これ以上キーが高いとトランペットがかなり大変になりますので、ナイス判断だと思います。

Aメロに入るとエレキギターの刻みが入ります。さらに薄いエレピらしき楽器がギターのコードをなぞります。これがよくわからない音その1です。このコードのあるなしでAメロの哀愁感が段違いです(これがあるから2コーラス目が泣ける)。合いの手のコーラスやボイスは2x2でエフェクトをうまくつかってその2倍の人数くらいに聞かせています。
Bメロはブラスがあからさまにコードを吹きます。
サビは右チャンネルにウ~ウ~ウ~という2声の謎の音が入ります。これがよくわからない音2です(たぶんプラグインシンセのチェロと、生のチェロ)。ここでヴァイオリンは高音で対旋律を弾いていて、ブラスは合いの手に忙しいのでコード感が希薄になります。普通ならホルンがファーファー吹くところをよくわからない音で代用した形になります。

短い間奏を挟んですぐ2コーラスに入るのは最高です。
2コーラスの歌詞は深読みできるのでぜひ聞いて下さい。
2コーラス後に泣かせるトランペットのソロが入ります。これもキーを下げなかったら(以下略)

最後はフェードアウトでなくヴィシィッ!と終わります。

 

2.双炎の肖像

エンディングの映像がアレでコレなのでイロモノに思われていますが、フルで聞くとメチャクチャ泣ける名曲です。これ最終回に流れたらやばい。

(このEDは作画も撮影技術も本当にすごいです)

まずイントロは、チェロのギコギコ音がすごいですw
この曲は全体的に弦が厚くて、Aメロもチェロがかなり歌います。ブリッジ的なBメロでエレキギターが入るのが面白いです(まともなエレキギターはこれだけ)。サビはコーラスをメロディより下の音程で付けて厚みを増しています。間奏でやっと金管が入ります。
2コーラス目はAメロのあとでウテナ絶対運命黙示録みたいな展開が入ってからサビになります。
そのままCメロに突入して(ここが泣ける)、落ちサビ(もっと泣ける)からのラスサビ、という王道のバラード形式で幕を閉じます。

歌の分担は歌詞カードに書いてありますが、一貫してルイスが先行してイサミが追っかける形になっています。必見ですね。

 

ブレイバーンはヤマトよ永遠にREBEL3199までの暇つぶしちょうどいいと思っていたのですが、予想以上にドハマリしてしまい自分でも困惑していますw

宇宙戦艦ヤマト完結編の音楽の密度が異様に高い件の巻

宇宙戦艦ヤマトシリーズのBGMを採譜して演奏するシリーズの再稼働に向けて準備中です。実はヤマト3で採譜済みの曲が1つ残っているのでこれを先に演奏する予定です。あとは「宇宙戦艦ヤマト音楽全集:見本演奏」の各曲と、ヤマト完結編の楽曲です。ヤマト完結編の音楽は、映画製作とは別に先走って作らており、非常に密度が高い楽曲が揃っています。

それまでのヤマトシリーズでは劇中で使われたBGMとは別に、音楽集や交響組曲という名前のついたアレンジアルバムを出していました。そしてアレンジアルバムのほうが、質が高く、聴き応えもあります。ところが完結編は最初から音楽集を録音してきます。最初が「ファイナルに向けての序曲」というタイトルの付いた大作で(序曲なのにアルバム1枚)、オーケストラがクラシック音楽の大編成になっています。1曲も長く複雑な構成になっていて、初めて聞いたときはとんでもないことが始まったと思いました。

その後に録音された劇中音楽も、ヤマト3までとは異なるアプローチの楽曲が多かったです。ヤマト3までBGMは1コーラスの繰り返しが多かったのですが、完結編では3コーラス(ABA形式)が普通で、ABA-CD-ABAの複合3部形式になっている曲も少なくありません。またほとんどフルオーケストラで演奏されており、コンボ編成や小編成の楽曲は極めて少ないです。そして尺が長い。ヤマト3までは1~2分の曲がたくさんあったのに、完結編では短い曲が減っていて、5分以上の曲がかなりたくさんあります。西崎Pが大作主義的な姿勢を標榜していたこともあり、重めの楽曲を書かないとOKを出さなかったと思われます。というわけで、完結編の楽曲をフルサイズで弾こうとするとすごく大変なんです。

ということでずっと悩んでいたのですが、先に上げた「宇宙戦艦ヤマト音楽全集:見本演奏」の中に完結編の楽曲か複数含まれていまして、どれも楽曲の美味しいところをピックアップする形でコンパクトになっています。なので、これを参考に採譜を進めることにしました。

今日は久しぶりにヤマト完結編のCDを聞きました。採譜用の解像度が高い再生環境で聞いたので、その情報量と密度に圧倒されまくりでした。しかし自分はヤマト完結編で最も重い楽曲であるSYMPHONY OF THE AQUARIUSの採譜ができたし、演奏もそれなりに再現できています。なので、やれるはずと信じて頑張ります。

宇宙戦艦ヤマトシリーズ劇伴(BGM)の編成についての巻

ありがたいことに、ヤマトの楽曲の採譜依頼をたまにいただきます。そのときに感じるのが、作品による楽器編成の違いと、それによる楽曲の微妙な変化です。これは自分が作ったヤマト劇伴解説本(同人誌)ではあまり触れていなかったことなので、少し書いてみようと思った次第です。

 

1.大きな違いは金管楽器の本数
オリジナルシリーズ(旧作と称しておきます)はトランペット4、ホルン4、トロンボーン3、チューバ1が基本です。一方で、ヤマト2199から始まるリメイクシリーズはトランペット3、ホルン3、トロンボーン3、チューバ1です。トランペットとホルンが1本ずつ減っています。このため、肝心なところで制約が生じます。

2.肝心なところとは
同じ楽器が複数あるとハーモニーが演奏できます。3本あればドミソなどの基本的な和音は鳴らせるので、基本的なところは問題ありません。ところが、たまにドミソラとか、ラドレファといった和音を構成する音がぶつかるような響きを使う場面が出てきます。まさに肝心なところですね。こういうときに、3本しかないと対応できません。困ります。

3.リメイクシリーズでの対応法
対応法は2パターンあります。1つは、足りない分をほかのパートから補充する方法です。トランペット3+ホルン1にして、なんとか鳴らすのです。もう一つは、トランペット2+ホルン2という形にして、あえて響きが異なる楽器のアンサンブルにしてしまう方法です。リメイク1作目のヤマト2199は3+1方式ばかりだったんですが、2作目の2202で2+2方式が登場しています。

上記の譜面はアンドロメダの中間部で増四度和音がぶつかるアヴァンギャルドなパートです。トランペットとホルンをそれぞれ増四度で使うことで深みのある響きを作り出しています。これを聞きとったときは、吹奏楽を得意とする宮川彬良先生の真骨頂だなと思いました。

現在制作中のヤマトよ永遠にREBEL3199の音楽は宮川彬良先生のほかに兼松衆先生も加わりますので、どんなサウンドになるのかいまから楽しみです。

勇気爆発バーンブレイバーンの巻

はい、私もまんまと術中に堕ちましたよ。

www.youtube.com

家族が「好きそうだから」と録画しておいてくれたので、無事に1話から見ることができました。ちなみに家族は一足先に見ていて、序盤~中盤までが番組タイトルとはかけ離れたリアル&ハード路線だったので心が折れかけたそうですw