宇宙戦艦ヤマトシリーズ劇伴(BGM)の編成についての巻

ありがたいことに、ヤマトの楽曲の採譜依頼をたまにいただきます。そのときに感じるのが、作品による楽器編成の違いと、それによる楽曲の微妙な変化です。これは自分が作ったヤマト劇伴解説本(同人誌)ではあまり触れていなかったことなので、少し書いてみようと思った次第です。

 

1.大きな違いは金管楽器の本数
オリジナルシリーズ(旧作と称しておきます)はトランペット4、ホルン4、トロンボーン3、チューバ1が基本です。一方で、ヤマト2199から始まるリメイクシリーズはトランペット3、ホルン3、トロンボーン3、チューバ1です。トランペットとホルンが1本ずつ減っています。このため、肝心なところで制約が生じます。

2.肝心なところとは
同じ楽器が複数あるとハーモニーが演奏できます。3本あればドミソなどの基本的な和音は鳴らせるので、基本的なところは問題ありません。ところが、たまにドミソラとか、ラドレファといった和音を構成する音がぶつかるような響きを使う場面が出てきます。まさに肝心なところですね。こういうときに、3本しかないと対応できません。困ります。

3.リメイクシリーズでの対応法
対応法は2パターンあります。1つは、足りない分をほかのパートから補充する方法です。トランペット3+ホルン1にして、なんとか鳴らすのです。もう一つは、トランペット2+ホルン2という形にして、あえて響きが異なる楽器のアンサンブルにしてしまう方法です。リメイク1作目のヤマト2199は3+1方式ばかりだったんですが、2作目の2202で2+2方式が登場しています。

上記の譜面はアンドロメダの中間部で増四度和音がぶつかるアヴァンギャルドなパートです。トランペットとホルンをそれぞれ増四度で使うことで深みのある響きを作り出しています。これを聞きとったときは、吹奏楽を得意とする宮川彬良先生の真骨頂だなと思いました。

現在制作中のヤマトよ永遠にREBEL3199の音楽は宮川彬良先生のほかに兼松衆先生も加わりますので、どんなサウンドになるのかいまから楽しみです。