こういう話が読みたかった。ドロドロしててステキ。うっとり(笑)。
私はこの作者が嫌いでした。画面から「俺が!俺は!俺の!」という自己中心的なエゴが発散されまくっていて、それがちっともエンターテイナメントに結びついていない。漫画なんか作者のマスターベーションでいいという話もありますが、商業作品としてリリースされていくからにはある程度の社会性をもったものであってほしいと思うのです。しかし、この作者、「ブラックジャックによろしく」の途中から編集とのしがらみなどで精神的に少しおかしくなってしまって、エゴの迷路でグルグル回り続けます。出版社を変更した「新・ブラックジャックによろしく」もその延長線上で、正直見るに耐えなかったのですが、第6巻で(おそらくは作者自身の)汚い人間性としっかり向き合い、考え、最後に「それはエゴだ」という結論に到達して見事に斬り捨てたのは偉いと思います。
この第6巻も相変わらずエンターテイナメントには程遠いものでしたが、よくある医療マンガを超える内容に生まれ変わったと思います。エンターテイナメントまっしぐらだった「医龍」がやっぱり迷走を続けている中で、いち早く抜け出した感じ。しかしこのドロドロ感はたまらないですね。