英雄ポロネーズが難しい(と思われている)理由の巻(1)

くだらないネタなのでボツにしようかと思ったのですが、実際に延々と練習してると「う〜ん、こんなところが難しいよね・・・フニャ〜」みたいに考えているので、それをメモってみるのココロ。

スタミナが必要すぎ

ぶっちゃけ、細かな技術的要因よりも、これが最もハードルが高かったりします。12ページもの長丁場の大半がフォルテって、女子はどうやって弾いたらいいのよ?と、本気で心配しちゃいます。仲道郁代さん(激萌え)も、この曲をバリバリ弾ききったあげく「大変ですよね〜。エヘへ(はあと)」と言ってました。いやお前は問題ないだろう、とすべての視聴者が突っ込みを入れたはずです。え〜っと、冗談はともかく、フォルテやフォルティッシモを維持しつつさらにクレシェンド、みたいな展開がけっこうあるので、正攻法で弾くとたいていはドカ弾きになって破綻すると思います。クレシェンドの前に勇気を持って音量を落とせるかどうかがポイントです。(私は、思い切り音量を落としたほうがいいと思います。)あと、トリオのミレドシが辛いという人が多いのですが、あれもガツガツ弾くから死にそうになるだけで、「とにかく軽く」を意識すれば、アラ不思議、何も難しいことはありません。この曲のトリオは弱音で弾く部分が多いので、貴重な休憩場所になります。きちんと意識しておきましょう。

左手の音域が広すぎ

かなりの高音域まで左手で弾かなければならず、手首や肘の柔軟性が要求されます。身体をぐっと右に寄せて弾けばいいんですが、あたしは強引に弾こうとするので、どうしても手首まわりの筋肉が痛くなったりします。しかも大抵の場合次の瞬間には低音に跳躍しなければならないので、微妙な体重移動や視線移動など、よく考慮しないと弾ききれずにミスすることになります。このあたりはホロヴィッツルービンシュタインといった往年の名手を参考にして、無理なく無駄なく、身体の中心軸を安定させて弾くべきだろうと思います。左右に大きく体重移動しながら弾くとどうしても視線が安定しないので、かえってミスが増えると思います。意識的に視界を広く取ってあげることで、安定して弾くことができます。わかってはいるのですが、これが難しい。

手を広げすぎ

10度アルペジョが非常に多いです。このことからも、ショパン重厚長大というより、どちらかというと軽く優美なニュアンスを求めていることが明らかなのですが、フォルテのパッセージをバババン!と弾いた直後にサッと脱力して優美なアルペジョをミスなく決めるのはかなり難しいです。私の場合は10度が届くので、最初から構成音の上に指を置いてからジャラン、ジャランと意識的に少し落ち着いた感じで弾くのですが、届かない人の場合は手首の旋回を使って鳴らすしかなく、かなり厳しいことになると思います。この部分はミスると影響が大きいので、重要な練習課題になってきます。あと主部は左右ともほとんどオクターブなので、手を広げっぱなしになります。普段こういう曲を弾いてない人は、手を広げる筋力や持久力が弱いことが多く、スタミナを消耗する原因になりやすいと思います。無理なく手を広げられるように、そういう系統の課題のエチュードをしっかりさらうべきでしょう。

ピアニストの演奏に影響されすぎ

これは私も苦労したのですが、どうしても聴きなれた演奏に影響されてしまいます。私の場合はよりによってポリーニの影響が出てしまい、アーティキュレーションが曖昧で音量だけはデカいという最悪の状況からのスタートでした(汗)。頭の中をいったんまっさらにして、楽譜に向かいましょう。ピアニストの人は、けっこう和音連打を無頓着に弾いている人が多いです(テンポと迫力優先ですね)。われわれはどうせそんな高速で弾けないので、ちょっと遅くてもいいからニュアンス豊かな演奏を心がけたいものです。