オーディオ部屋兼ピアノ部屋ができたの巻

昭和時代に建てられた実家の別宅を解体&整地して戸建ての家を新築しました。それにあわせて念願の(というほどでもない)オーディオ部屋兼ピアノ部屋を作りました。まもなく引き渡しです。この写真は引渡し前の内見時のものになります。

広さ:22畳(短辺が畳2枚分-3.5m程度、長辺5.5枚分10m程度)
天井高:2.4m、高いところで4m強の勾配天井

この部屋に限らず、すべての部屋で広さや形状はほとんど想定通りでした。20年以上前からマンションのモデルルームや戸建てモデルハウスに通い、平面図から立体を脳内に描く能力を練り上げた成果です。我ながら感心しました。しかし照明は想定できませんでした。特にこの部屋が照明不足で暗くなりそうで不安でしたが、天井に配置した横長LEDライトが予想以上に明るく全然問題なかったです。むしろ明るすぎるくらいでした。
(実はリビングの照明が予想以上に暗くて失敗しました。でも自分以外の家族が全員問題なしと判断したのでよしとします)

写真の奥の壁はプロジェクター投影用の白純度が高い平滑な壁紙です。自分はスクリーンが好きでなく壁面投影が基本です。床にはプロジェクター用のコンセントも付けました。壁面コンセントは側面ではなく奥側に付けました。側面に付けると部屋の隅の掃除がしにくくなります。しかしこんなにたくさんのコンセントは要らんかったな。全部で12口もあります(笑)

【室内音響について】
現状の室内音響はかなりライブで残響は2秒くらいです。これも想定通りでした。デフォルト状態はライブにしておいて、オーディオ機器やピアノを入れた後で調整しながら音響を整えることを目論んでいます。
設計面では、とにかく天井高を稼ぐのが重要だと考えました。天井の高さが音の良さに直結するからです。さらに勾配天井であれば定在波を抑制でき、フラッターエコーや低音域のボンツキも軽減できるという利点があります。東京のマンションのオーディオ部屋は天井も床も平行で低音域がかなり強調されてしまったので、今回はうまくいっているといいなと思います。まだ実際に機器を入れて鳴らしていないので期待半分、心配半分といったところです。

【防音について】
周囲が田んぼと畑ばかりですし、最も近い家でも10m以上離れているため音に関してはさほど気兼ねする必要がない立地とはいえ、夜遅くまで音を出すことと他の部屋への音漏れを考慮して、DR30程度の防音性能がある2mm厚の鉛板入石膏ボードを壁材に使いました。一番安いアビテックスと同等の防音性能です。22畳の防音室を作ったら普通は何百万円もかかりますが、この壁材は壁1mあたり数千円の追加で済み非常にコスパが良かったです。この壁材の防音性能はもっとアピールしたほうがいいですよ、とハウスメーカーさん(三井ホーム)にご注進しておきました。ちなみにこの壁材の本来の用途はトイレ音の遮音です。窓は防寒対策でトリプルガラスサッシを使っています。これも単体でかなり防音効果が高いので二重窓にはしていません。鉛入りボードもトリプルガラスも通常の建材と比較するとかなり重いです。音を止めるには重い建材を使うのが最も効果的です。なお外壁は2x6でグラスウール充填です。グラスウール自体は遮音性能は低いものの、これだけの厚みがあるとさすがに重さがありますのである程度は遮音します。
いずれにしても、近年の高断熱高気密住宅は建物自体の防音性能が高いので、さほど神経質にならなくてもいいように思います。さまざまなハウスメーカーのモデルハウスを見学しましたが、窓を閉めていれば外の音はかなりシャットアウトされますし、モデルハウス内の音はあまり外に聞こえません。

【床下補強について】
建築基準法に則った強度があれば、木造家屋の1階にピアノやオーディオ装置を設置する場合でも補強は不要です(2階の場合は補強が必要)。ただハウスメーカーの社内規定があるということで床板支持材を2倍の密度にしています。これも平米あたり数千円の追加で済みました。

【コストについて】
勾配天井の上が屋根であり、天井の造作がなくなった分だけ費用が下がっています。また壁面が一切ない大空間ということで間仕切りをせずに済むため坪当たりの費用が下がっています。防音や補強のコストは合計100万円未満で、ちょうど下がった費用と相殺になるくらいでした。照明や内装もお金さえかければ豪華にできますけれども、レイアウトの自由度やリフォームを考慮するとシンプルにしておいたほうが良いと思って簡素にしました。
全体的なコストも、建材の価格が値上がりする中で上モノは予想より2割安になったので上出来だと思っています。実は一番コストが掛かったのは基礎です。周囲より低い土地で浸水しやすかったため、土地全体を盛土やコンクリ造成で50cm以上ほど嵩上げしています。