ルイ・ロルティのリスト=オペラ編曲集の巻

Liszt at the Opera / Louis Lortie (CHANDOS)
いまごろ聴きました。最後に収録された「トリスタンとイゾルテより前奏曲と愛と死」が素晴らしい名演。この曲だけがエンドレス状態です。
前奏曲の部分をロルティ自身がアレンジしているんですけれど、このCDのほかの曲とは明らかに別格でした。要はほかの曲はいらないということです。
タンホイザーは、まあありかなと思ったけれど、トリスタンの前には影が薄い。リストのオペラ編曲は、基本的にエンタメだと思うし、ピアニスティックすぎるので、どうも好きになれません。
演奏技術も相変わらずすごいので、ピアノマニア的には喜べると思いますが、膨大な音符の洪水より、ピアニッシモトリスタン和音のほうが遥かに雄弁なのが恐ろしいのです。かようにロルティが編曲した前奏曲が素晴らしいので、是非とも聴いていただきたい1枚です。
しかし、リストの楽曲の前に、自分で編曲した前奏曲を堂々とつけちゃう根性がいいな!この神経の図太さを見習いましょう、じゃなくて、リストとワーグナーへのリスペクトを見習いましょう(笑)

シャンドスとロルティは、このご時世に毎年CDを出していて、すごいですね。いまどきこんなに新録音のリリースが続くピアニストって、ほかにいないんじゃないんですか?
ファンとしては嬉しい限りです。