ソナタ形式とはなんぞや?と長年思っていたのですが、Wikipediaに答えがあった(笑)
アドルフ・ベルンハルト・マルクスという19世紀半ばに活躍したドイツの音楽評論家が、ベートーヴェンのピアノソナタに見られる提示部~展開部~再現部という構造のことを「ソナタ形式」と呼称したという、ただそれだけのことでした。これが1857年のことです。後付けの理論だから、ソナタ形式に則っていないソナタがたくさんあるのは当然です。
ちなみに1853年にリストがピアノソナタを発表したときに、あまりにもユニークな曲だったから当時の音楽界で大炎上となりました。そうなった理由は、マルクスが理論として示す前から、ソナタとはこういうものだ、という不文律があったからでしょう。
では、その不文律とはどのようなものなのでしょうか。1857年以前の作曲家は、ソナタ楽曲の形式をどのようにとらえていたのでしょう?そしてどのように作曲を学んだのでしょうか?
ソナタ形式にみられる主テーマと対立テーマの提示~それぞれの展開~結論という構造は、基本的な論説(≒物語)の構成であり、それは音楽というより修辞学の範疇の事象になります。録音技術がなかった時代には、音楽は1回しか聞かないことも少なくなく、一発で起承転結が明確にわかるようなはっきりした構造が要求されたはずです。そこから音楽修辞学として発展したと考えられ、その中から生まれたのがソナタ(器楽曲のこと。対義語は「歌曲」)だったと考えられます。
ということで今回はここまで。
ソナタ楽曲の成立過程はとても興味があるので、今後も勉強していきたいと思います。あるピアニストが、リストのピアノソナタは人生を表現していると言っていました。そのとおりだと思います。なぜそのとおりだと思えるのか、きちんとした言葉で説明できるようになるのが目標です。(目標は高く据えるのよ)