シン・エヴァンゲリオン解説第七回:ネブカドネザルの鍵とアダムスの器についての巻

ネブカドネザルの鍵についていろいろ考察してきましたが、これはアダムスの器であるエヴァンゲリオンを作るのに必要なアイテムである、という自分の中で結論づけました。

「神と魂をつなぐ道標」というのは、シン化(疑似シン化)したエヴァのことを指すと考えられます。魂はリリン(ヒト)の魂、つまり人格のことを意味します。アダムスの器は搭乗者(アドバンスト・綾波シリーズ、式波シリーズ)の魂を贄にしてシン化状態になっているのです。

1.アダムスと槍について

ゴルゴダオブジェクトに槍が6本あったことを考慮するとアダムスは6体いたと考えられます。そこから作られるネブカドネザルの鍵は6つですから、アダムスの器も6体作ることができます。ゲンドウの計画(フォースインパクトと神殺し)のためには、アダムスの器たるエヴァンゲリオンが5体必要ですから、鍵は1つ余ります。こうして作られたのが、フォースインパクトの依代としてのエヴァmark6第13号機と、神殺しの船の運用のための4体のエヴァ(mark 9・10・11・12)です。そして余った鍵で碇ゲンドウ自身が自らの魂を贄として捧げ、アダムスの器になるのです。

なお、当初はmark6もアダムスの器だと考えていましたが誤りでした。mark6はアダムスそのものを素体としたエヴァであり、搭乗するのも第一使徒であるカヲル君ということで、mark6自体がすでに神と同等の存在なのです。ゆえにネブカドネザルの鍵に頼らずともシン化できるのです。

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アダムスの器

アダムスの器の特徴は、稼働にあたり外部電源を必要としないこと*1、ATフィールドを持たないこと、全身がコアであり物理的な攻撃で破壊されても再生すること、目からビームが撃てること、などがあります。ゲンドウはシンジを相手に自身のATフィールドが出たことをかなり驚いていましたが、アダムスの器になったのにATフィールドがあったから驚いたんですね。

エヴァ第13号機は、マリが「アダムスの生き残り」と言っていたので、6体いたアダムスのうち、セカンドインパクトで消失した4体以外の残りを使って作ったものと考えられます。南極には十字架が5つありましたので、セカンドインパクトは5体のアダムスで起こされたはずです。しかし、実際にインパクトを起こしたのは4体で、残りの1体はインパクトを完遂できなかったのでしょう。その証拠に十字架が1本倒れています。この生き残りのアダムスを何らかの方法でネルフのそばまで持ってきているはずです。エヴァ新劇場版:序に出てきた白線の巨人がそれです。このアダムスがエヴァ第13号機の素体になったと思われます。
第13号機もアダムス自体を素体にしていることと、使徒であるカヲル君が搭乗する前提で作られているので、本来であればネブカドネザルの鍵を使う必要はないはずです。しかしゲンドウによってタンデムタイプに改造されたことで鍵が必要になりました。つまり、シンジや式波タイプのクローンといったリリンを利用するためにネブカドネザルの鍵を使ったと考えられます。

カヲル君が乗っていたエヴァMark 6は、セカンドインパクトには参加しなかった1体のアダムスを素体としたエヴァです。エヴァ新劇場版:破で通常のエヴァとは建造方法が異なるというセリフや、Mark 6こそ真のエヴァンゲリオンというゼーレの言葉がアダムスそのものを素体にしたと考えるのが自然です。

ちなみに。

ゲンドウがアダムスの器になったのは、エヴァQでカヲル君が第13の使徒に堕とされ、ゲンドウが「始めよう、冬月」と言った直後です。「第12の使徒を倒した時点で存在している生命の実を持った生物」が13番目の使徒に認定されるのですが、ゲンドウ自身が使徒になってはまずいのです。なので、第12の使徒をカヲル+シンジが乗ったエヴァ第13号機に始末させて、カヲルが第13の使徒になったことを確信してゲンドウはネブカドネザルの鍵を飲み込んだのです。なお第11の使徒真希波・マリ・イラストリアスと考えられますが、彼女は何らかの手段で使徒の力を封印していると思われます。
これらの事情を確実に把握できたのはゲンドウ、冬月、マリ、カヲルの4人です。エヴァQの予告で「マリとXXXXが極秘に会談」というカットがありましたが、会談の相手はゲンドウ解任後にネルフ司令になったカヲルで、双方の認識を合わせた可能性が高いです。ただマリとカヲルは、カヲル自身が第13の使徒に堕ちるまでゲンドウが何を企んでいるのかを理解できませんでした。また加持もゲンドウがネブカドネザルの鍵に執着していることについて何らかの違和感を持っていたとは思います。

なおセカンドインパクト時点ではユイさんは存在しており、ゲンドウも神殺しなどという大それたことは考えていなかったはずです。そして新劇場版:序の白線の巨人が比較的最近できたような状況だったことを考慮すると、南極に残った5本の槍とアダムスの生き残りを回収したのはセカンドインパクトよりだいぶ後で、ユイさんの消失後ではないかと思われます。このあたりは旧TVアニメ版がE計画から人類補完計画に変容したのと同様に、新劇場版でもユイの消失をきっかけに葛城博士が提唱した人類補完計画をゲンドウが捻じ曲げていったと考えられます。

さらに余談ですが、リリスからも鍵を作ることができると思われます。ゼーレのモノリスネブカドネザルの鍵が埋まっているような描写がありましたが、アレです。リリス由来なので生命の実がなく、稼働するには外部電源が必要となります。*2

ヱヴァ:Q】ゼーレのモノリスとネブカドネザルの鍵 - みんなのエヴァンゲリオン(ヱヴァ)ファン

アダムやアダムスは単体生命体なので、関連するアイテムは1:1でしか存在せず、鍵も槍も1体のアダムスに対して1つずつ対応すると推測されますが、リリスは群体生命体を生んだと言われているので、鍵は複製できると考えられます。新劇場版に登場するヒト型のエヴァンゲリオンの一部(零号機、初号機、2号機、3号機、仮設5号機、8号機)はおそらくこのリリス由来の鍵を用いて建造されたと考えられます。ゼーレのモノリスも一種のエヴァでしょう。ゼーレはモノリスに取り込まれていますが、これがゲンドウのいうヒトの形を捨てたということです。

リツコさんが初号機を覚醒させたシンジに対して「ヒトに戻れなくなる!」と言っていたのもおそらくこのような状況になることを想定していたと思われます。

なお、魂(=ヒトの操縦者)がなくても動かせるタイプのエヴァ(mark4、7)にはこのような鍵は使われていない可能性があります。これらのエヴァは魂と神をつなぐ必要がなく、文字通りのロボットだからです。

*1:アダム由来なので生命の実を持っていることになる

*2:エヴァQで冬月先生がモノリスの電源を落としてましたね。