平均律集第1巻第5番の巻

5番は前奏曲が難しいので後回しにしています(腕の交差が苦手)。フーガは弾きやすいですのでたまに弾いているのですが、今日は真剣に弾いたところ、良い感触を得たので真剣に仕上げようと思いました。

このフーガは4声ながらポリフォニーとしての難度は相当に低いです。初見時も思ったより弾けましたので、平均律集1、2巻の全曲の中でも難度が低いフーガと言ってよいと思います。

ご覧のように、4動きのある声部が1小節に1つしかない状態が続くため、ポリフォニーに不慣れな人でも譜読みは容易です。

演奏のポイントは32連符フレーズです。最初の小節は5の指で弾き始めるしかないのですが、レミファソファミファレが3435という動きになってバタつきます。完全にこの指の強化を目的とした練習曲ということがわかります。ツェルニー30番練習曲集に似たような課題があることからもわかるように、難度はツェルニー30番と大差がないです。なので自分でも初見で弾けるわけ。

もう一つのポイントが付点音符の弾き方です。3:1でなく5:1くらいで弾く人が多いです。7:1だと鋭すぎると思います。これがバロック奏法のお約束なんですが、8つの32分音符のどこに16分音符をいれるか?というのはけっこう悩ましいので、暗譜できるまではひとまず3:1で弾く方針です。

ちなみに、終盤は下記のように下声部を順次下降させてます。現代のポップスにも通じるキャッチーな進行です。しかしフーガの構造を放棄してとにかく曲を終わらせようとしているのではないか?とも思うのです。

こういうところが、バッハにしては拙い感じがしないでもないです。

平均律集第1巻を弾いていると、楽曲によって音楽の密度がかなり違うことに気づきますが、このフーガは相当に密度が低いです(だから弾きやすい)。ひょっとすると、ヨハン・セバスチャンの息子であるフリーデマンが書いたかもしれないと疑ってます。当時フリーデマンは12歳です。彼は幼少期から父親からの教育を受けていますので、このくらいは書けそうな気もします。