先週末、YMOおじさんを中心として全世界のDTMer界隈が騒然としたニュースが、伝説のシンセサイザーProphet-5(P5)の再販売です。オリジナルはとっくに製造中止の上に、Prophet-6という後継機があるのでP5は再販の予定がないと公式にアナウンスされていたこともあって、中古品がかなり高価で取引されていました。しかしここにきて再販されることになりました。かつて製造されたP5の最終版がRev.3だったので、Rev.4と呼称されています。
実は自分もかつて中古が安かった時代にProphet-5 Rev.2(MIDIつき)という珍しい個体を購入しまして、いろいろ遊んでいたのですが、チューニングが不安定な上に鍵盤が壊れやすくどうしようもなかったので、手放してしまいました。なので、再発されると知ってちょっと胸が痛かったです(おおげさ)
でも大好きなシンセなのでなにか無いかなと思って調べていたところ、U-heというソフト屋がREPROというProphetクローンシンセのソフトを出していることがわかりました。これがすごく評判がよいので買ってみて、さっそく大好きなJapanの曲の音色を作って弾いてみました。
Prophet-5クローンのRepro-5で弾いてみた。これほぼ実機やん😅 pic.twitter.com/V5LAQaX6bG
— コスモピアニスト✨ (@NikHarnoncourt) 2020年10月6日
オリジナルはこれです。ほんの数分で作った音色ですが、まずまず似てるでしょ?
Japan - Nightporter (Oil On Canvas - Live version)
REPROのサイトはこちらです。
製品版がそのまま試用できるので、興味がある方はダウンロードしてみてください。けっこう重いソフトで、最大8音ポリです。ベロシティにも対応しているから実質Prophet-T8ですね。重いといってもVEP(Vienna Ensemble Pro)で起動すればどうということはありませんでした。
Autriaのソフトより本物に近いサウンドだと思いますし、つまみを回したときの挙動までシミュレートされています。またオリジナルの問題点がかなりクリアされています。やるな、お主!という感じのソフトです。難点は、REPRO-1(Pro-Oneのクローン)の設計が基本になっているためか全体的に音圧が高めで、特にユニゾンモードは強烈なので使い方を考える必要があることだと思っています。
やはり実機はピッチが不安定で、常にデチューンがかかったような状態ですからサウンドの芯がボヤケているところがあります。実機に寄せるのであれば、そのあたりをシミュレートする必要があります。Wheel Modなどでフィルターやオシレータを揺らせばいいだけなので割と簡単です。
※REPRO-5:Prophet-5からの改善点
- フィルタースケーリングの拡張
フィルタースケーリングはPro-Oneと同様に0~100の連続可変なのですが、75でFULLになります(レゾナンスを発振させるとドレミが演奏できる)。ということは、100にするとFULLの1.3倍くらいに拡張されたことになります。Prophetはフィルターのキレが良すぎて、FULLでも高音域の倍音が不足しがちで広い音域で実用的に使える音色を作るのが難しかったのですが、これでクリアできます。 - ピッチベンド幅や、モジュレーションホイールの最低値・最高値セット
音色ごとにピッチベンド幅やホイールを上げる値(最低値と最高値)をセットすることができます。Prophetに限りませんが、古いシンセはピッチベンドやモジュレーションホイールの効き具合が固定ということが多かったので、ありがたい機能です。
あとProphetはモジュレーションホイールでLFOの効き具合を決めるのですが(DEPTHを決められるノブがない)、マニュアル操作になるので上げるのを忘れたり、逆に上げすぎたりしてトラブルの要因になっていましたので、これも初期値で設定できるようになっています。 - 回路特性の変更
これはマニアックながら極めて便利な機能です。基盤の絵が表示されて素子の設定を弄ることで特性を変更できます。
LFO波形のインバート(実機のLFOはノコギリ波が上昇形しかないのですがインバートすれば下降形になる)、LFOのDCオフセット変更(デフォルトがユニポーラだが、バイポーラにも変更できる)、フィルターENVのインバート、などなど様々な機能があります。
※Prophet-6や600との違い
これら後発機種とProphet-5との差異はいろいろあるんですが、音作りのパラメータ的にはWheel Modのソースにノイズを使えるのが最大の違いだと感じています。ノイズでオシレータやフィルターをモジュレーションできるので、雑音成分が混ざった音色を作れます。この雑音の混ざり方がランダムなのがよいのです。