形式の理解
- 序奏
- 主部A⇒オクターブ上で主部Aくりかえし
- 転調して新エピソードB+C
- 主部A復帰
- ホ長調でトリオD(ミレドシ)⇒転調して相変わらずミレドシ⇒繰り返し⇒推移
- トリオE(推移的)
- 再現部A(短縮化)〜コーダ
これ以上カットするところがないほど完璧な構成です。トリオの繰り返しはちょっと冗長な気もしますが、テクニカルな見せ場がここにしかないので、あえて2回やったと思われまず。どちらにしても技術的な難易度は低め。E以外は短い単位のアーティキュレーションのパッセージが多いので、フレージングが細切れになってしまってもそれほど下手に聞こえない、というのがポイントだと思います。さらに、困難なポリフォニーや速いパッセージなどがなく、常識的な範囲で弾けるように作られています。特に和音は基本的には片手3音までと、意外に薄いです。4音の和音と3音の和音では連続して弾いた時の難しさが段違いで、これが曲全体の難易度を下げることに貢献しています。それに加え、4度や6度などの開いた音程差を使って広がり感を得るように工夫していて、要所要所で2度のぶつかりを作って緊張感を演出しています。割と適当に音を並べていた感のあるポロネーズ5番と比較すると、はっきりと音の選別に気を配った様子があります。ショパン先生の体調が悪くなってきて、あまり無理した曲を作りたくなかったのかな?という感じがしなくもないです。
練習ポイント
序奏が地味に難しい。重音はすべて半音進行ではなく1箇所だけ全音進行があり、ここが運指的にかなり困難。あと主部は左手が跳躍しまくりますが余裕があります。ソナタ2番なんかだと、パパパッと両手で跳躍しなければならず視線移動が非常に困難なのですが、この曲は右手=順次進行(ブラインドで弾ける)が多く、視線は左手を注視していれば大丈夫、という感じです。その他では、主部の装飾音の多さがポイントですが、旋律でトリル⇒すぐオクターブ、みたいなパッセージは左手を参加させると一気に難易度が下がります。
あと問題なのはやはり推移的なトリオEで、旋律の息が長い上に転調がグチャグチャなのと、例のfzが頻発していて、ショパン先生がどういうアーティキュレーションで弾くことを要求してるのかよくわかりません。タ・ターンターンタン、というシンコペーションを多少強調したいことはわかるんですが、その奥にポロネーズのリズム(タンタタタンタンタンタン)を隠しているらしいです。ダラダラ続く右手パッセージはC音だけに不規則なアクセントが付くし、この部分は本当に謎です。ここを発展させたのが幻想ポロネーズだな、という感じです。